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太宰治のことば

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太宰作品の好きな言葉たち
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#日本文学

本で旅をする『東京八景』

本で旅をする『東京八景』

あいつも、だんだん俗物になって来たね。そのような無智な陰口が、微風と共に、ひそひそ私の耳にはいって来る。 

『東京八景』太宰治

本。

①読みたい・見たい本があるとき→ネット
②迷いを払拭したいとき→本屋
③会話をしたいとき→図書館

本1つとっても、求めるものによって
用いる方法が異なる。

興味のない人からしたら、
・欲しいものを欲しいとき買う
・近くに寄れたから本屋に寄る

目的のために

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ひとり『風の便り』

ひとり『風の便り』

真の尊敬というものは、お互いの近親感を消滅させて、遠い距離を置いて淋しく眺め合う事なのでしょうか。私は今は、生れてはじめて孤独です。

『風の便り』太宰治

この1ヶ月間いろんな過ごし方をしてきた。

・知らない土地で1週間暮らす
・一人暮らし
・実家に帰る

どれが居場所なのかはわからないけれど
決して独りを感じることはなかった。

知らない場所で出会う人の優しさとか
いつものまちにも、故郷を思

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インチキ『斜陽』

インチキ『斜陽』

とにかくね、生きているのだからね、
インチキをやっているに違いないのさ。

『斜陽』太宰治

「インチキ」っていうとずるく聞こえるこれど
「生きながらえるための工夫」って解釈すると
すごくスッキリする。

どれだけしんどくても、疲れていても
「インチキ」することによって、楽になることもある。

それでも、人との関係だけは「インチキ」したくない。

出会いは幅広く。
大切にしたい人とは、深く関係構築

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うっせぇわ精神『一問一答』

うっせぇわ精神『一問一答』

人間は、正直でなければならない、と最近つくづく感じます。

ごまかそうとするから、生活がむずかしく、ややこしくなるのです。正直に言い、正直に進んで行くと、生活は実に簡単になります。失敗という事が無いのです。失敗というのは、ごまかそうとして、ごまかし切れなかった場合の事を言うのです。

『一問一答」太宰治

好きも嫌いも言語化できる方がいい。

楽しいんだか辛いんだか悲しいんだか嬉しいんだか
感情

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強くなる『懶惰の歌留多』

強くなる『懶惰の歌留多』

憎まれて憎まれて強くなる。

『懶惰の歌留多』太宰治

人に嫌なことはしない。
自分がされて嫌なことは人にしないように。
迷惑をかけることは全然いい。
でも、嫌なことはしてはいけない。

怖いなとか、嫌だなって思うことがあって
助けて欲しいって思ったときに手を差し伸べてくれる
優しい人もたくさんいるけれど
自分より弱いってわかってて嫌がらせをするっていう
陰湿な人もいる。

女でいることが悔しいっ

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桜桃忌『六月十九日』

桜桃忌『六月十九日』

『なんの用意も無しにnoteにむかった。
こういうのを本当の随筆というのかも知れない。
きょうは、六月十九日である。曇天である。』

『六月十九日』の中で

なんだか、がっかりした。
自分の平凡な身の上が不満であった。

平凡ではなかった。決して平凡ではなく
凡人でもなく、ただ「人間」のために生きた。

この日が来るたびに救われた。
お墓の前に行って、その時読みたい1冊を開く。

迷って、悩んで走

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どうでもいい。『女の決闘』

どうでもいい。『女の決闘』

あいつは邪魔だ! 賢夫人だ。賢夫人のままで死なせてやれ。ああ、もうどうでもいい。私の知ったことか。せいぜい華やかにやるがいい、と今は全く道義を越えて、目前の異様な戦慄の光景をむさぼるように見つめていました。
『女の決闘』太宰治

昔からこれがやりたい!
こんなことしてたい!って突っ走ってきたけど
急になんかどうでも良くなって
なんでもいいや。ってなるこの虚しさはなんだろう。

楽しく生きたい。

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別世界。『フォスフォレッセンス』

別世界。『フォスフォレッセンス』

私は、この社会と、全く切りはなされた別の世界で生きている数時間を持っている。
それは、私の眠っている間の数時間である。

『フォスフォレッセンス』太宰治

1948年6月13日。
太宰が亡くなった日。

この日に雨が降ると、こんな日に亡くなったのか。
と、思いを馳せずにはいられない。

「眠っている」時間と同じように
「別の世界で生きている」時間があるとすれば
太宰の作品を読んで、自分と太宰の残し

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道で、声をかけられるとき『正義と微笑』

道で、声をかけられるとき『正義と微笑』

僕は、金曜日という日には、奇妙に思案深くなる男だったのだ。前から、そんな癖があったのである。変にくすぐったい日であった。

『正義と微笑』太宰治

歩くペースは人の1.5倍で、声をかけられないように
ひたすら前を向いてズンズン突き進むタイプ。
知り合いでさえ、声かけにくい。という私が
どういうわけか、人に声をかけられるようになった。

最近これといった変化があるわけでもない。
自分の中ではそう思っ

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人生は冒険『お伽草子』

人生は冒険『お伽草子』

好奇心を爆発させるのも冒険、また、好奇心を抑制するのも、やっぱり冒険、どちらも危険さ。
人には、宿命というものがあるんだよ。

『お伽草子 浦島さん』太宰治

旅に出たいと思ったきっかけはいくつかある。
でも、影響を与えたひとつはスタンド・バイ・ミー
(たまたま今日放送もしてる!)

以前、ネイル中にぼーっとみてたのがきっかけ。

『あの12歳の時のような友達はもうできない、もう二度と』

若い頃

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決行するとき。『悶悶日記』

決行するとき。『悶悶日記』

私の身がわりになったのだ。
これだけ、こわさなければ、私は生きて居れなかった。
後悔なし。

『悶悶日記』太宰治

5/31(月)から景色の良いホテルに引きこもる。
バスの時間がー、雨がー、準備がーと言い訳して
土壇場でキャンセルをしようとしたけれど
もう逃げるのやめる。

いつもしないようなこと。
非日常の中でのルールは「YES」と「好奇心に従う」

行きたい場所、してみたいこと、食べたいもの。

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くやしさ『おさん』

くやしさ『おさん』

つくづく僕は感心する事があるんだ。
どうして、君たちは、そんなにまじめで、まっとうなんだろうね。世の中を立派に生きとおすように生れついた人と、そうでない人と、はじめからはっきり区別がついているんじゃないかしら。

『おさん」太宰治

起こったことは起こったこととして
受け止めるより他ない。

反省して、改善策を生み出して円滑に進める。
これ以外は何もできない。

感情的になっても、意味がないと頭で

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好きなクラシックがあると言ったら、笑われた夜

好きなクラシックがあると言ったら、笑われた夜

池水は 濁りに濁り 
藤波の 影もうつらず 雨ふりしきる
伊藤左千夫

しとしと降る、雨の夜。
その音を聴きながら、本を読むのが好きで
窓から眺める雨が好き。

外に出る日、雨が降るのは嫌い。
風情よりも濡れる感覚が好きになれない。

梅雨。

6月が近づいてくる。
お墓参りにいく季節。
太宰治の命日・桜桃忌がやってくる。

太宰が死ぬとき、伊藤左千夫のこの歌を残した。

雨が降り続いて、池の水は

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ひとりになれない時代、それでもひとりの時間は必要『正義と微笑』

ひとりになれない時代、それでもひとりの時間は必要『正義と微笑』

一人三役くらいで対話の朗読など、いまの僕の力では危かしいし、一人で長い台詞を言う場面は、一つの戯曲にせいぜい二つか三つ、いや何も無い事さえあって、意外にも少いものなのだ。

『正義と微笑』太宰治

本はバトンだ。

作家の書いた想いある作品は
誰かの愛する本というバトンになって
その本を愛する人の大切な人にも受け継がれる。

学生の頃、何にも興味がなくてどうでもいいと
嘆いて、ただ苦しくて本を読も

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