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わたしの珍職業:AV制作会社(上京編)


初回のお話はこちら


人生の道しるべをみつけたわたしは、例えるならスーパーマリオでスターをゲットしたときのような無敵な感覚にいた。


たとえが古くてよくわからん?

それはスマン(汗)

とにかく自分のまわりがキラキラと輝き、これからの未来に希望が満ち溢れていたのだ。

わたしに残された期間は約1か月。

やるべきことは親や彼、友人へ報告とマンションの解約。

就職が決まったんだもん、反対されるわけがないよね。


謎の自信を引っさげて実家へ戻った。

自分のことしか考えず行動するのがわたしの悪い癖。

わかっているのに今も大して変わらず、身勝手な行いや言動で旦那を怒らせるのもしばしば。

さておきまさか自分がこれからすることに反対されるなんて1ミリも予想しておらず、帰省が説得大会になるとは思いもしなかった。

この場面の記憶が少し曖昧なもんで間違っているかもしれないけど、話し合いの場にいたのは母と兄に加え妹だったはず。

アダルトビデオ会社で働くことを、事前に母親へ伝えていたのかは覚えてない。

ピリついた雰囲気の中、家族会議が行われたのは確か。

なぜAV制作会社なのか?

東京で何がしたいのか?

他にやることはないのか?

そんなことを母や兄に何度も聞かれ、やめておけと言われた。

実際のところ応募したのって、AVがつくられているところを知りたい、見たいという安易な動機だけ。

SODでビデオ監督になる!

アダルト業界に革命を起こすんだ!!

そういった野望はゼロ。

100%興味本位。

そもそもが思いつきの行動だもん、どうしてそれがしたいのかなんてわからない。

自分が変われるかもしれないチャンスを失いたくない。

手にしたおもちゃを放したくない子供のようにダダをこねるだけ。

わたしが出来たのは。

わたしに向いているのが何なのかわからず、やりたいこともなかった。

でもこのままじゃダメなんだ!何かしなきゃ!

必死にもがくもヒントさえ掴めず、自分でも完全に道を見失ってた所に現れた1つの光。

もう後には引き返せない。

皆に反対されても行くって決めたんだ。

なんて固い決意はあるもの、彼らが納得する答えは与えられず当然話は平行線。

わたしはあくまでヘアメイクのアシスタントとして採用されたのであって、それがたまたまアダルト業界という話なんだ。

こじつけのような言い訳をして。

「引っ越しだって自分でするし、東京での生活も1人でやってみせる」

「親に援助してほしいなんて言ってないんだから、いいじゃないのよ!」

「とにかく何と言われようが行くからね」

家族の言い分には聞く耳を一切持たず押しきった。


次は彼氏。

非常に申し訳ないけど、どんな風に話したのか全く覚えていない。

たぶん就職決まったし、東京に行くわ。

こんな感じで伝え相手の気持ちなんて完全無視。

つくづく酷い女。


夜な夜な遊んでいた専門学校時代の友人には

「1週間後、東京行くから!」

それだけ伝えたらしい。

これは今でも彼女に会うたびイジられる。

こうして事後報告会は、わたしのわがまま+強引な形で幕を閉じることに。


20年以上前はAV女優が芸能人化しメディアに出るなんて稀で、今よりアダルト業界に対する偏見も多かったはず。

親からするとヘアメイクをしたいなら、別にアダルトの世界でなくてもいいじゃないか?そう思うよね。

間違いない。

なのに賛成していないとはいえ最後は「好きなようにしなさい」そう言ってくれた母には感謝してる。

言い出したらゆうことを聞かないわたしの性格をわかっているから、やるだけやればいいってなものだろう。

イノシシ並みに我が道を突き進むわたしは、すぐにアパートを探すため東京へ。

向かった先はSODから程近くのエイブル。

今もそこに店舗があるのかはナゾだけどね。

「こんにちは、あの~家を探しているのですが~」

「はい、どうぞ!条件をお聞かせいただけますか?」

「このあたりから徒歩圏内で、フローリング、家賃は6万円台なら嬉しいです」

「なるほど~6万円台ですとユニットバスになりますがどうでしょう?」

「できればセパレートがいいけど、無理だろうから大丈夫です」

「それならここなんておすすめですよ」

「オートロックつきでフローリング、家賃6.7万。でもって6階」

「おっ、いいじゃん!すぐにでも内見したいのですが可能ですか?」

「もちろん!お時間あるなら今から見に行きますか?」

「是非!」

とんとん拍子に内見まですすめて。

そのアパートは青梅街道沿い、丸の内線東高円寺駅より徒歩約5分。

SODオフィスのある新中野から1駅と通いやすいのが魅力。

築浅ではないけど、外観は小ぎれいでちゃんとしたマンション。

一応管理人さん室もあるようだ。

玄関に入るとすぐ横にバストイレに洗濯置き場、そして縦長の部屋には小さなキッチン。

6畳1K。

縦長だからか狭く感じた。

キッチンは渦巻きの電気ストーブと年季あるタイプ。

ちなみに大阪(ミナミ)で住んでいたアパートが新築、フローリング、バストイレ別、ほぼ正方形の6畳1Kで家賃6.3万。


渦巻きキッチンとか見たことないよ~(汗)

まぁ、料理しないからいいんだけど。

バストイレが極小なのが気になるなぁ…。

でも贅沢いってられないし、6万円台で見つかるだけ良しよね。

欲を出せばキリがない。

何よりわたしには内見に時間を費やせるほどの余裕もない。

「あの、ここに決めます!申し込みさせてください!!」

問題なく審査は通り、東京での家が決まった。

狭いしコバエがよく出るアパートだったけど、結局ここに5年くらいは住んだのよね。

こうして大阪へ戻りミナミのアパートを引き払い、本格的に東京へ向け引っ越し準備を開始。

節約のため新しい家具は一切買わず、ベッドやテーブル、チェストなど手持ちをそのまま東京に運んだ。

たしか引っ越しは知り合いに紹介してもらった業者さんにお願いしたんだっけな。


さて話はお付き合いしてた彼氏へ戻してと。

大阪から気軽に会いに行けるような場所じゃない東京でしょ?

そんな大切なこと何の相談もなしに勝手に決めるなんて信じられん!

しかもアダルトって何それ?ナニすんの?

こんな感じでいろいろ言われたと思う。

自分のことなのに記憶がかなり薄く…。

反対されたような気はするけど、都合の悪いことは記憶から抹消してしまい。

結局この彼とは東京に越してから別れたり、ヨリを戻したり関係は続くことに。

こうして周りの反対を押し切った東京進出は、わたしの人生において大きなターニングポイントとなるのであった。

アダルトお仕事編へつづく。


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