見出し画像

京橋のビル裏で号泣しかけた

フォトフェスティバル「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」の一環として実施されている屋外写真展「Tokyo Dialogue 2022」。
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2020年より東京駅東側の公開空地で都市型屋外写真祭を実施しており、今年は建設途中の新戸田ビルの工事仮囲上で行われている。
参加作家は、写真家:伊丹豪・清水裕貴・木村和平、書き手:穂村弘・堀本裕樹・蜂飼耳の計6名。
仕事帰りに鑑賞してきたので、その様子を記録していく。

KYOBASHI ART WALL

アーティゾン美術館の正面右側に面している仮囲。こちらはまた別の企画としてアートを展示していた。
看板の説明によると、戸田建設が行っている新進アーティスト活動支援プロジェクト「KYOBASHI ART WALL」とのこと。
目的地に着く前に早くも見応えあり。

Tokyo Dialogue 2022

KYOBASHI ART WALLに沿って進み東側に回ると、大通りと打って変わった静けさの中に作品が見えてくる。
写真はかなり大きく筆者の背丈を余裕で越しており、道路を挟んだ向こう側から観ないと全体像が掴めないほど。
一方俳句や短歌、詩は控えめな佇まいで思わず近づいてまじまじと読みたくなる。

どちらも工事現場のものと思われる強烈なライトで煌々と照らされている。

以下、個人的にグッときた3枚。

伊丹豪×穂村弘

筆者がもう少し疲れていたらその場で号泣したであろう作品。もしこれが短歌だけだったら単なるメルヘンチックな恋人の歌になりそうだが、横に道路の写真があることでグッと現実味を帯び、無い記憶すら呼び起こしてくる。「バブリーなあの頃とその終焉。そして今、妥協の上に成り立つ平和な日常」という印象。

伊丹豪×穂村弘

シンプルに猫と書いてあるので好き。
本当は「猫というのは平和で気ままなイメージ、海は自然の脅威と包容力を表してる。ぐんぐん変わるという一言には数えきれない出会いと別れ、破壊と創造、生と死が含まれていて」なんて解釈もできるかもしれない。
もしくは「目まぐるしい日常を鳥瞰してみたら今まで気づかなかったものが見えてくるし、それはあなたを優しく包みこむ」というメッセージかもしれない。

が、シンプルに猫が好き。

木村和平×蜂飼耳

こちらは1行目で窓が主人公かと思いきや、ビルの中で労働に勤しむ我々の様子が描かれている、いや逆に我々が窓の外に見ている大きな雲のことだったりして、なんていろんな想像ができる作品。日々に忙殺されるサラリーマンを悲観的に描かないって素敵だ。

通行の妨げにならないよう注意して撮影

筆者自身、アートの中でも写真の分野はなかなか馴染めず苦手意識すら持っていた。しかし今回は言葉が添えられていたからか、案外すんなりと受け止めることができた。

写真展の情報は以下のとおり。

屋外写真展「Tokyo Dialogue 2022
会期:2022101日(土)〜1030日(日)
会場TODA BUILDING(仮称)工事仮囲(東面)
住所:東京都中央区京橋1-7-1
料金:無料

美術手帖より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?