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自律・自走する開発体制を求めて。LINE NEWSが実践する「アジャイル開発」。

こんにちは。LINE NEWS企画チームです。LINE NEWS編集部、LINE校閲チームに続いて、企画チームも、LINE NEWSのプロダクト企画に携わるメンバーやプロダクトにかける思いについて、発信しています。

今回スポットを当てるのは、チームやプロダクトではなくLINE NEWSの開発体制について。様々なプロジェクトが並行して走っているだけでなく、突発的な案件も発生することの多いLINE NEWSにおいて、企画者と開発者のスムーズな連携は欠かせません。そのためLINE NEWSでは、プロダクトやソフトウェアの開発手法の一つである「アジャイル開発」を取り入れています。

この「アジャイル開発」、導入当初から今に至るまでいろいろな試行錯誤があり、現在はLINE NEWSならではの形で運用されているのだとか。その導入の背景や意図、導入後の変化など、アジャイルを活用したLINE NEWSの開発体制について、開発から大槻友諒さん、前澤春樹さん、企画から武田真太朗さんに来ていただき、お話を伺いました。

大槻友諒(おおつき・ともあき)
フロントエンド開発センター UIT3室 副室長。2016年入社。前職では勤怠管理アプリのバックエンドの開発を経験。入社後は、LINE NEWSを始め、様々なサービスのフロントエンドの開発を担当。アジャイル開発の導入については検討段階から携わり、スクラムマスターを担っていたことも。

前澤春樹(まえざわ・はるき)
NEWSサービス開発チームマネージャー。2014年入社。フィールドエンジニア、組み込みエンジニア、インフラエンジニアなどの職種を経て、LINEへ。LINE NEWSのアカウントメディアプラットフォーム、LINE MOOKなど、新規プロダクトの開発を歴任。

武田真太朗(たけだ・しんたろう)
LINE NEWSのプロダクトバックログを管理し、ビジョンや優先順位を明確にするPPO(Proxy Product Owner)を担当。2015年入社。インターネット広告会社にてWebプロデューサーとして勤務後、フリーランスを経て、LINEへ。 入社後は LINE NEWSの広告マネタイズを担当し、新規広告メニューの立ち上げや運用型広告の導入/改善を行って売上成長をリード。 2021年から現職にも携わり、今年1月から専任に。

― 2018年頃から徐々に、LINE NEWSはアジャイル開発体制への移行をスタートしました。何をきっかけに、この体制を取ることになったのでしょうか。

大槻:当時、開発の立場から見て主に二つの課題を感じていました。一つは、企画からリリースまでのリードタイムが長いこと。もう一つは、バックエンドとフロントエンドのマネージャーに仕事が集中してしまい、ボトルネックになってしまっていたこと。

武田:ちょうどLINE NEWSというサービス自体が急激に大きくなっていく時期で、企画者も開発者も増えていくし、並行して動く案件もどんどん増えていく、という状況が、どちらの課題にも共通する背景としてあったと思います。

大槻:関わる人や案件が増えると、コードレビューを待つ時間やチケットの更新に気づかずに作業が止まってしまう時間など、担当者間で仕事を受け渡しする際にタイムロスが発生しがちですし、マネージャー一人が仕事を集約して捌くことは難しいですからね。

武田:企画側から見ると、2017年にLINEの中に「ニュースタブ」ができ、プロダクトとしてのフェーズが変わったことも大きかったと思います。以前よりは多くのことができる体制になったものの、それまで採用されていたウォーターフォール形式の企画・開発体制では、その人員の規模を生かしきることができていないとも感じていました。そこで、もっとクイックに、機動力を持って、ユーザーに喜んでもらえるプロダクトを届けられる体制が求められていたんですよね。

大槻:そうですね。これらの課題をすべて解消するのは難しいことでしたが、企画、フロントエンド、バックエンド、QA(品質保証をするテスター)がスモールチームを作って動く体制なら解決できそうだということで、企画・開発みんなで相談しあい、スクラムを用いたアジャイル開発体制の導入をするようになりました。

前澤:現在の開発体制について補足をすると、LINE NEWSに関わっている開発メンバーは30名ほどで、今は3つのスクラムチームに分かれてアジャイル開発体制を取って進めています。案件によっては国内外のグループ会社と協業するものもあります。

自ら考え、機能的に動く“自律した”チームを目指して

前澤:LINE NEWSのアジャイル開発体制において、特徴的だなと思うのは“自律性”。これは導入当初から強く意識していたところで、デイリースクラムで何を確認するのか、どれくらいのスパンでレトロスペクティブをするのかなど、スクラムの進め方はチームそれぞれがやり方を考えて、自分たちで決めているんです。

武田:どのツールをスクラムに使うのかも、自由ですよね?

前澤:チームごとにバラバラですね。なるべくみんなに任せて、当事者意識を持って仕事に取り組んでほしいなと思っています。あとは通常スクラムチームにはいるはずのスクラムマスターという役割は、LINE NEWSの開発スクラムチームにはありません。スクラムを導入したばかりの頃は、スクラムマスターがいた時期もあったんですが…。あ、大槻さん、スクラムマスターやってましたよね?(笑)

大槻:その節はけっこういろいろありました(笑)。そもそもスクラムって、自分たちの仕事の仕方は自分たちで考えるという、チームの自律性を強く求められるフレームワーク。でも、LINE NEWSの開発に関わっているのはスクラムに慣れたメンバーばかりじゃないですし、いきなりスクラムしますと言われても、アイデアが浮かばないとか、お互いにアイデアは出るけど最終的に決められないとか、意思決定に辿りつくまでに壁があって…。

前澤:その意思決定をマネージャーに任せると元の木阿弥ですしね。そこで、スクラムマスターでもなく、マネージャーでもなく、チームメンバーの一人をリードとして意思決定の役割を任せることにした、と。ただ、リードはあくまで困った時の意思決定役。意思決定に困らない限りは、チーム内で決めることがほとんどです。

大槻:これはチームの自律性に大きく繋がったんじゃないかなと思います。チームメンバーが迷ったら代わりにリードが決めるという体制を取ったことで、チームは「何をどこまで自分たちで決めるべきか」を学ぶことができ、同時にマネージャーの過度な介入を避けられます。当時3チーム分のスクラムマスターがいなかったという特殊な状況下でもチームの自律性を大きく損なわなかった要因でもあり、結果的にLINE NEWSのスクラムチームの独自性が出ている部分と言えるかもしれないですね。チームメンバー同士の連携やサポートもしやすいので、スクラムを経験したことのない方がLINE NEWSの開発チームに入ってもいきなり最初から高い自律性を要求されることもありません。様々なバックグラウンドを持つ方が関わりやすいスクラムチームになっていると思います。

大槻:あと、LINE NEWSの開発体制では、3つのスクラムチームがそれぞれで仕事をセルフアサインするのも特徴かなと思います。「これをやってください」とマネージャーが指示を出すのではなく、「その仕事はうちのチームでやります」と自分たちで仕事を取ってくるのは、僕自身も好きなところですね。そうすることで、どの仕事に対しても意欲的でいられるというか。

武田:仕事の取り合いになっている時もありますよね(笑)。

大槻:ありますね。どっちもやりたいってなっている時が…。

武田:そういう時は面白い決め方をしていますよね(笑)。

前澤:ルーレットを回して決めています(笑)。ただ仕事をこなしていくというよりは、ゲーム性みたいなところも取り入れて、同じプロジェクトメンバーとして楽しくやろうっていう雰囲気があるのは、うちのいいところだなって感じています。

アジャイル開発体制を円滑にする、企画×開発の対話

― LINE NEWSというサービスの特性上、例えば、新型コロナの発生や大きな災害など、突発的に起こる事象に対応しなければいけないのではないかと思います。サービスを安定的に走らせていく上で、何か特に工夫していることや、気をつけていることはありますか?

武田:工夫の一つとして挙げられるのは、動いている案件を優先度の高いものから順に並べた「プロダクトバックログ」ですかね。この「プロダクトバックログ」を見ることで、エンジニアが何から着手したらいいのかが、一目で分かるようになっています。

前澤:そうですね。基本的にはこのプロダクトバックログを上から順番に消化していくんですけど、とはいえ、突発的な作業はどうしても出てきます。そうそう予定通りにはならないよというところは、開発チームみんなで共通認識を都度、取っていますね。

武田:企画としても、突発的な案件が入る時にはその理由や背景をきちんと話して、開発のみなさんに理解してもらってから、というのは意識しています。アジャイル開発というシステムはもちろんいいんだけど、そのシステムを上手く回していくのには、やっぱり企画と開発の間のコミュニケーションが肝だと思っているんです。突発的な案件だけではなくて、普段から「こういう背景があって、こういうことをやりたいんだ」と、自分の案件について自分の言葉で開発に関わるみなさんに話をすることは、すごく大切。そういう意味でも、週に一度開かれる案件説明会はいい機会だなと思っています。

案件説明会:毎週、LINE NEWSの企画とスクラムチームのメンバーが集まる会。この場では、企画担当者が自身の担当する案件について、企画背景や概要、リリース希望時期までをスクラムチームに向けて説明する。

武田:案件説明会で自分の担当する案件を説明する際、企画のみんなに伝えているのは、ただ単に「これを作ってください」という話をするのではなくて、「こういう課題があって」、「解決するために、こういう企画を考えていて」、「こんな未来を描いているから、一緒にやりましょう」という文脈を意識して話すこと。エンジニア含め、いかにチームとして気持ちよく仕事ができるかが企画者の腕の見せどころだし、コミュニケーションとして頑張らないといけない部分だと思うんですよね。

前澤:企画の背景や企画者の思考が見えづらかったりするので、そういう情報はありがたいです。開発としても、技術的に不可能っていうことはほぼないけれど、時間的な制約やリソースに限りがあるから、「これだけの時間はかかるけど、実現できる」、「この機能は諦めないといけないけど、希望日にリリースできる」と、開発視点で出せる選択肢の提案を、その背景も含めて話すようなコミュニケーションを心がけています。

―企画と開発の関係性は今、理想の形を築けていると言えそうですか?

武田:いい関係性だと思ってはいますけど、まだまだ改善の余地はありそうですよね。

前澤:開発と企画の間にある壁がどんどんなくなるといいなあと、個人的には思っています。なかなか開発に話しかけるのは恐縮するな、みたいな方もいらっしゃるので。お互いフランクに話せるようになればいいなと。

武田:LINE NEWSに関わってきた年数もバラバラですし、バックグラウンドも様々なので、開発のみなさんとの距離感が難しいと感じている人もまだいる気はします。そういう方たちをちゃんと巻き込んで進んでいくのに、企画、フロントエンド、バックエンド、QAで成り立つスクラムチームの実践が上手く寄与していくだろうと思います。

大槻:そうですね。個人的には、やっぱり自律性が一番大事だと思っているので、企画も開発も、それぞれのチームが自分たちでもっと良いやり方を見つけて、自分たちが理想だと思う関係性、チーム像を目指して変化し続けてくれるといいなと思っています。

photo / Keiko Ichihara

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