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Efficiency v.s. Effectiveness

プログラミング関連用語が続いたので、少し趣向を変えて E はもう少し広い範囲で使われる用語を取り上げてみます。この用語も業種によってだいぶニュアンスが違うこともあるようですが、原義にはどのような違いがあるのでしょうか?


はじめに

技術用語に限らず、広く使われている efficiency と effectiveness との違いについて、今回も語源から考察していきたいと思います。

Efficiency

「効率的」と訳されることが多い efficiency ですが、その原義はなんでしょうか?

中英語 (Middle English, ME)

Efficiency を見るとラテン語 effĭcĭentĭa に由来するようですが、それは形容詞 efficientem から派生したようで、この先は efficient を追ったほうがよさそうえす。
そして efficient は中英語からすでに efficient であったようです。

古フランス語 (Old French, OF)

中英語の efficient は古フランス語でも efficient であったようで、そこから借用した可能性があります。

ラテン語 (Latin, L)

一方で、ラテン語から直接借用した可能性も示されており、その場合、efficientem (accomplishing) という現在分詞からの借用と考えられるようです。また、さらに effĭcĕre (to effect) に由来するようです。
あれ? Efficiency が effect に繋がっている!? また、語源で繋がってしまい混迷を深めるパタンか!?
まずは、何かを達成すること、もたらすことというイメージで捉えておきたいと思います。
なお、effĭcĕre は Etymonline によると ex- (out) + făcĕre (to do) に遡れるようですが、解像度を増すことには繋がらなさそうです。敢えて言うなら、外に結果が出て来るイメージでしょうか。

印欧祖語 (Proto-Indo-Europian, PIE)

Etymonline によると făcĕre はさらに印欧語根の  *dhe- (to set, put) に遡れるようです。

Effectiveness

「効果的」と訳されることが多い effectiveness ですが、その原義はなんでしょうか?

中英語 (Middle English, ME)

KDEE では effectiveness で立項されていないので、派生元の形容詞 effective を見てみたいと思いますが、そもそも effectvie 自体が名詞 effect からの派生であって、effect (名詞) → effective (形容詞) → effectiveness (名詞) という経路で意味を派生させてきたというややこしい単語ですね。
中英語では effectif であり、こちらも意外性はありません。

古フランス語 (Old French, OF)

そしてこちらも同様に古フランス語でも effectif ですが、やはり、ラテン語からの直接借用説もあるようです。

ラテン語 (Latin, L)

ラテン語説を取る場合、effectīvus からの借用ということになるようで、Online Latin Dictionary によると

  1. creative, involving product

  2. of practical implementation

  3. effective and productive

を意味しているとのことで、何かを生み出したり、実効性のある形で実現するイメージでしょうか? 3. など effective に戻ってしまうので困りますが。
そして、Etymonline によると派生元の名詞 effect は effĭcĕre に遡れるとのことで、えっ? ちょっと待って! Efficient と合流している!?
まずい、まずい、まずい。

まとめ

語源で身につく技術用語を謳ってみたものの、語源を遡ると同一起源だったというオチのようです。
Effectiveness は目標が目的に沿って正しく設定されそのとおりの成果が出ているか、efficiency は行動が目標に向かって正しい方向に最短距離で進んでいるかという違いがあるというイメージだったのですが、語源からはそのようなニュアンスを汲み取ることができませんでした。
語源を遡るのは楽しいものの、語源がすべてを解決してくれるというわけではないという当たり前のことに改めて気づかされました。
もちろん、当初の語義からどのように意味を発展・派生させてきたのかを追うことも楽しいので、その観点でもう少し味わってみたいと思います。

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