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【作品紹介】シリーズ『タイムカプセル』

シリーズ『タイムカプセル』 


能面には「創作面」というジャンルがある。
伝統的な型を踏襲せず、新たに考案された面を創作面と呼び習わす。

脚本家でもある作者が、創作面に短いストーリーとセリフを付加したシリーズ作品。


時空を越える『タイムカプセル』。
我々は、今これらのタイムカプセルと遭遇した。

タイムカプセルの中にいた彼らが我々に伝えたセリフから導きだされる地球の運命とは!?

我々はこのタイムカプセルを開けるべきではなかったのかもしれない。
開けてしまったタイムカプセルを再び閉じ、宇宙へと放出する。
彼らのセリフから導き出された結末を、少しでも遠い未来に先送りするために。


作品名:プロトタイプ ーPrototypeー 



2022年作 木材・顔料・プラスティック

彼は、過去と未来が混在する不可思議な存在だった。
朽ちた木や剥落した塗装は数百年前につくられた能面であることを示しており、しかし同時に肉が抉られた顔の一部は近未来的なメカニックなパーツが露出したアンドロイドであり、いくつかの傷口は今まさに再生されているようであった。
彼は我々にこう尋ねた。

——When is it now?
Am I in the future or the past?
Only if the future exists.


作品名:地球のアバター —Avatar of Blue earthー

 


2022年作 木材・顔料・プラスティック

彼女は地球の化身である。
今から46億年前、地球ができたその時から、地球の表面で起こる出来事をただじっと見つめている。
我々人類が何をしても、ただ見ているだけだった。
彼女はこれまで何も言わなかった。
彼女が我々に言った恐らく最初で最後になる言葉。

——It is time to say goodbye to myself.


作品名:かぐや姫 —Princess Kaguya—

 


2022年作 木材・顔料・プラスティック

千年以上も前に書かれた日本最古のSF小説「竹取物語」の主人公、かぐや姫。
彼女は月から地球へ来た宇宙人だ。
彼女は地球人からの求婚にはそっぽを向いてばかりいて、決して目を合わせてくれなかった。
彼女はとうの昔に月へと帰ってしまっていた。
彼女はあいかわらずそっぽを向いたまま、こう言った。

——I won’t be back to the earth.
I can’t,if I want.


作品名:アマビエ2020 ーAMABIE2020ー


 
2022年作 木材・顔料・プラスティック

数百年前、江戸時代の瓦版に描かれていた災厄を予知する妖怪アマビエ。
災厄が来るのを予知すると姿を現し、「私の写しを描いて世に広めなさい」と言うそうだ。
その存在はほとんど知られることなく、突如として2020年の日本に出現した。
彼女はこう言った。

——Make a lot of my clones all over the earth.



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