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【ニュースで学ぶESG用語#05】「脱炭素」とは?

1. 用語解説

そもそも、「脱炭素」とはどのような定義で使われているのでしょうか。いくつかのサイトでの定義をまとめてみました。

脱炭素とは、地球温暖化の原因となる代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の排出量をゼロにしようという取り組みのことです。また、二酸化炭素排出が実質ゼロになった社会のことを「脱炭素社会」といいます。地球温暖化の加速を受けて、世界全体で脱炭素に向けた取り組みが推進されています。

日本においては、2020年10月に、当時の菅義偉内閣総理大臣が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と、所信表明演説の中で述べました。

これを受けて、環境省では「2050年までに年間で12億トンを超える温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること」を目標として、産業構造や経済社会の変革に取り組んでいます。ここでいう「実質ゼロにする」というのは、後述する「カーボンニュートラル」の概念のことを指しています。

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ

企業、産業、国の炭素排出量を削減するプロセス。脱炭素化は、世界が低炭素経済に移行するための重要な要素です。

Schroders

脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量が実質ゼロとなった社会のこと。主にCO2の排出削減を目指し、取り組みが行われている。

“実質ゼロ”とは、温室効果ガスの排出量から森林保全活動や植林などによる「吸収量」を差し引いて、排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を指している。

世界の平均気温は1850〜1900年の産業革命以前からすでに約1℃上昇しているといい、地球温暖化による気候危機や資源エネルギー問題が深刻化している。こうした環境課題の解決に向け、世界各国が脱炭素社会の実現を目標に掲げている。

日本政府は2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を目指すことを宣言した。日本国内では現在、年間12億トンを超える温室効果ガスが排出されており、環境省はこれを2050年までに実質ゼロとすることを目標に様々な対策を行っている。

IDEA FOR GOOD

2. ニュース・記事でどのように使われるか

それでは、「脱炭素」という言葉が実際のニュースや記事でどのように使用されているのか、いくつか見ていきましょう。

企業が工場など生産現場でのカーボンニュートラル(脱炭素)へ向けた取り組みを加速させている。脱炭素というと太陽光発電などの再生可能エネルギーが注目されがちだが、生産工程の効率化や仮想空間を使った脱炭素のシミュレーション、水素の活用など、取り組みは多岐にわたる。二酸化炭素排出量ゼロで醸造したことをPRする日本酒も登場するなど、脱炭素への対応はビジネス上の戦略として不可欠なものになりつつある。

産経新聞

では、自動車の脱炭素化はどのような方法で実現できるのでしょうか?ひとつには、CASEのうちの「E」にあたる、「電動化」を推進することです。また、燃料をガソリンからバイオ燃料や「合成燃料」(CO2を資源として活用し、水素と組み合わせて製造した燃料。サイト内リンクを開く「エンジン車でも脱炭素?グリーンな液体燃料『合成燃料』とは」参照)などに置き換える方法も考えられています。

「電動化」といってもさまざまな手法が存在します。電気を動力源として使う自動車を「電動車」と呼びますが、動力源の100%が電気である「電気自動車(EV)」のほかにも、ガソリンと電気の両方を使う「ハイブリッド自動車(HV・HEV)」や「プラグイン・ハイブリッド自動車(PHV・PHEV)」、水素を使って電気をつくる「燃料電池自動車(FCV・FCEV)」があります。

これらの電動車には、それぞれに長所と短所があります。たとえば、EVは走行時のCO2排出はゼロですが、コストの高さ、航続距離(積んだ燃料で走行できる距離の長さ)が短いなどの短所があります。また、搭載する電池の製造過程ではCO2が排出されます。

経済産業省 資源エネルギー庁


用語の意味を理解したうえで、実際のニュースや記事を読んでみると、また違った視点から新たな発見が見えてくるのではないでしょうか。

それではまた、次の用語解説でお会いいたしましょう。

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