ショートショート 構って

急に寂しくなったので、
僕は家から出て、
「おーい! 誰か俺と話しようぜ!
俺とオレンジでも食べながら話しようぜ!
ドラマでもアニメでも最新家電でも
話題は何でもいい!
とにかく俺とお話しようぜ!
俺は今寂しいんだ!
誰か俺に構ってくれ!
構ってくれないなら
俺は何するか分かんないぜ!
全然俺、今から人を傷つけてもいいからね! だって寂しささえ紛れたら、
それでいいんだから!
ねぇ! 誰も構ってくれないの!?
じゃあ俺やっちゃうよ!
しでかしちゃうよ!
悲しきモンスターが生まれちゃうよ!
いいの!?
別に話すのが嫌なら
トランプでもボードゲームでも
映画鑑賞でも構わないよ!
なんならツチノコ探しでも良い!
絶対に見つかる訳のないツチノコ探しでも
俺は全然良い!
それでも寂しさは紛れるからね!
ねぇ、どう!? 条件はユルユルだよ!
誰かどうですか!
って俺、恐くないからね!
みんな、もしかしてビビってる!?
それは心外! 俺、優しいから!
誰か構ってよ!
ねぇ! ねぇ! ねぇ!
あああああ!」
と、
みんなに聞こえるよう、
大声を飛ばした。

でも、誰も俺に構ってくれなかった。
だから俺は結局、この後、
凄惨な事件を起こしたんだ……。

悪いのは……
構ってくれなかったみんなだからな!
俺は悪くない、悪くねーよ!

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