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雑感記録(75)

【僕の音楽遍歴】


僕は音楽を掛けながらドライブをするのが好きだ。こういう書き方をすると誤解されてしまうのだが、ドライブをするのが好きという訳では決してない。そもそも僕は車の運転が苦手だ。下手というのも勿論あるが、行き先を決めないと行けないところが面倒なのだ。赴くままに運転するときもあるが、結局帰り道や交通状況をいちいち考えなければならないのが面倒だ。雪が降って路面が凍っているだの、祭りがあるから道路が混雑するから迂回路を考えなきゃとか、通常考えなければならないことに加えてそういった余計なことも考えなければならないからだ。

だから僕は趣向を変えて、ドライブを愉しむことから車の中で聴く音楽を愉しむ方向へ舵を切った。要はドライブや車の運転を愉しむことを目的とするのではなく、車で音楽を聴くことを目的としてドライブをする。ドライブはただ音楽を聴くための1つの手段として僕の中で設定した。これが結構愉しいのだ。毎回毎回同じ所へドライブするのだけれども、流れる曲が変わったり、同じ曲が流れてもその日の精神状態で違って聞えるとか色々と発見があったりする。

今日も今日とて、午前中に自身の用事やらそういったことの準備をしていたのだが、煮詰まってしまったので音楽を聴きにドライブしてきた。やはり音楽は良いなと思いながら車を走らす。

僕の音楽遍歴は振り返ってみると凄く変な感じなのだ。何というか、振れ幅とでも言うのだろうか、しっちゃかめっちゃかしている部分がある。色々と紆余曲折(とそこまで大層なもんではないが…)して現在に至るのである。今日は僕の音楽遍歴を辿ってみようと思う。


僕の鮮烈に覚えている音楽体験は小学生の頃だ。父親の車に乗っている時だった。初めて聞いた時の衝撃は忘れることが出来ない。父親も音楽が好きかどうかはよく分からないが、所謂ロックが好きだったらしい。その時車に流れてきたのがQUEENのI Was Born To Love Youだった。

これを聞いたときの衝撃は未だ忘れられない。英語で何を歌ってるのかよく分からないけれど、音楽のカッコよさに触れた最初の体験だったように思う。父親に「この人のCDを貸してくれ」と言って小学生ながらによく聞きこんでいた。

あと母親の影響もあるように思う。母親は洋楽という訳ではなく、1980年代とかそこら辺りの邦楽を好きでよく聞いていたように思う。その時は米米クラブとかCCBとか聞いていたような記憶があるが、1番僕に響いたのはやっぱり山下達郎だった。初めて聞いた時の声のあの感じに僕はほだされてしまった。結局小さい頃からずっと聞いてる曲は多分、山下達郎だけなんじゃないかな…。新譜も必ず出たら買うようにしてるし…。

僕は小学生から中学生までは、父親の影響と母親の影響を存分に受けて洋楽と(僕からしたら昔の)邦楽を中心に聞いていたように思う。

中学生の頃はとりわけ、昼食の時間に何故かThe Beatlesがエンドレスで流れていたのでThe Beatlesも結構聞いてきた。僕は個人的にLet It BeとYesterdayが凄く好きなんだな。


高校生ぐらいになってくると、何というかこれ自分で言うのも恥ずかしいのだが、「皆が知らない洋楽聞いてるのカッコいいんじゃね?」という謎の病気に罹りひたすら洋楽を聞いていた。父親の影響もあって洋楽に耐性はあったし、ロック聞いていたからもっと深堀できるんじゃねえか?と僕は一人迷走を始めた。

最初に辿り着いたのは誰しもが必ず通るOasisだ。今でもたまに聞くのだが、やっぱり良いんだよな。WhateverとDon't Look Back In Angerは耳が腐るほど鬼リピートしたのは覚えている。

当時はそれとなく英語を勉強していたので、「ああ何となくこういうことなんかな」と手探りで歌詞について考えていたりしたが、Don't Look Back In Angerだけは正直あまり分からなかったというのが実情である。まだWhateverの方が何となく言いたいことが分かるなという感覚であったように思う。

この当時、僕は初めてのスマホデビューをぶちかまし、YouTubeが手軽に見れるようになったお陰で色々とディグることが出来るようになったのである。しかし、アーティストの名前も知らないもんだからディグろうにもディグれない訳だ。これは困ったな…と思った時たまたま関連でGuns N' Rosesがあった。その時にWelcome To The Jungleを聞いたのだが、結構面白かった。

何かやべえ奴がカッコいい音楽やってんな!というのが初めて抱いた感情で、こりゃ面白そうだと思ってGunsの関連に出てくる曲とか色々聞いてみようと思って聞き始めた。これが僕とメタルの出会いだった。メタルとのお付き合いは最近減ってしまったけれども、時たま聞くことがある。

Gunsの次に僕に刺激を与えたのはAC/DCだった。声が凄く特徴的だったから最初はそれに慣れるのが結構苦労したというと変だけれども、そのカッコよさに次第に惹かれていったのは事実だ。

そして僕はギターのカッコよさにここで気づく。凄いテクニックを見せつけられて、こんな風に引けたらカッコいいだろうなと思いつつも「俺には出来ねえや」と諦めた。だから、聞く専になって色んなテクニックを聞いていくことにした。そうして辿り着いたのがYngwie MalmsteenとDragonforceそして我らがジャパメタのLOUDNESSだ。

インギーは初めて聞いた時に、ボーカルなしでギターだけでここまで出来るの凄いなという衝撃があった。僕はあまりインストって苦手なんだけど、不思議とインギーのは聞けたのだ。恐るべしギターテク…。ただ、Dragonforceとかまで行き過ぎるともはや頭おかしいんじゃないか?ってくらいに凄い。ちょっとファンタジー感ある歌詞でとっつきにくいかもしれないが、ギターを聞くという点では良いかもしれない。

LOUDNESSは僕は個人的に日本で誇れるメタルバンドだと思っていて、日本のメタルシーンの火付け役的な存在な訳で…。ちなみにだが、これはしばしば言われることなのだが初めてライトハンド奏法をしたのはVan HalenではなくLOUDNESSの高崎晃だとかいう噂が…。真偽は定かではないが…。

まあ。高校時代は本当にメタルに侵食されていた時代だったような気がする。これは大学3年ぐらいまで尾を引くのだが、今思えばこれはこれで愉しかったなと思う。メタルの人たちは本当に頭がぶっ飛んでて、エピソードというかそういうのも込みで愉しかった。


大学時代の初期はとにかくメタルにご執心だったが、とりわけブラックメタルに心血注いでいた気がする。要はデス声という奴だ。最初によく聞いていたのはライトな感じのデス声で、今でもよく聞くのがIn Flamesだ。多分、今聞いているメタルバンドの中で未だに追っかけているバンドだ。新譜が出たら大抵買うようにはしている。

これはマジで意味わからなくて、何で観覧車の中で騒いでるんだというところが愉しいPVだ。最近はデス声中心ではなく、非常に聞きやすくなっているので結構オススメ出来るメタルバンドである。

あとよく聞いていたのは、Morbid Angelとデス声の由来になったバンドであるDEATH、あとはそうだな…Behemothあたりをよく聞いていた。

大学の時、何が1番まずかったかというとDISC UNIONに出会ってしまったことだと思う。そこでメタルのCDを漁りまくってひたすら聞いていた。今思い返してみても何故デスメタルに走ったのかよく分からないが、ただ1つ言えることはストレス発散にはなっていたように思う。

Behemothあたりになってくるともはや何言ってるか分からないんだけれども、不思議と心地が良くて聞き続けられてしまうのだ。意外とうるさい音楽と敬遠されがちだが、あながちそうでもないと僕は個人的に思う。リフレッシュしたいときなんかはよくデスメタル聞くし。

そうそう、ちなみに僕が人生で聞いたブラックメタルの中で聞き取れなかったのがNileというバンドなんだが、何言ってるかわからなさ過ぎてもはや愉しいまであるのでぜひ聞いてみて欲しい。

そして転機が訪れる。大学3年の12月。友人とMOROHAのライブに行ったのだ。人生初のライブで凄く愉しかったのだが、何よりMOROHAのラップに心打たれてしまい、「ラップって面白いな」となりそれ以来HIP-HOPに僕はご執心である。

最初は「なんだこの声!?」みたいな感じで敬遠していたのだけれども、よく聞くと歌詞が凄く良かった。ちょうど就活を始めなければならない時期で、大学から出て行かなければならくなった。その時、どうしたらいいか分からなくて精神的に路頭に迷っていた。そんな中でMOROHAに出会い、何というか「好きなことを諦めちゃいけないよな」と強く感じるようになって、今もこうして好きなように好きなことを書き続けている。

様々なHIP-HOPの曲を聞くうちに僕は感じた。僕らの等身大がそこにはあって、僕らと地続きな世界がそこに存在している。僕らの生活の延長線なんだなと感じるようになった。

今までは、何となくカッコよさや何を言っているか分からないけれど、雰囲気で聞いていたけど歌詞について考えたことないよなと強く感じるようになった。勿論、曲調が良くてとか雰囲気がカッコよくて意味わかんないけど聞くというのも大切だと思う。だが、僕の中でそこが変わった気がする。

しばしば、歌詞の良さというのが問題になったりする。歌詞はあまり意味のないような女々しい内容が続くが、曲調が凄く良くてヒットしたということがよくあるように思われる。中身スカスカだけど外装がめちゃくちゃ良くて聞き入ってしまうというようなことなのかな。僕は曲りなりにも文学をやって来た人間で、言葉を取扱ってきた人間な訳だ。そんな人間が言葉について考えることを放棄していいのかと考えてしまったのだ。

だから最近は考える練習の一端としてHIP-HOPをひたすら聞くようにしている。単純に言葉の並びが面白いというのがある。音と意味を合わせる作業というのは、ある意味で小説書いてるようなものではないのかなと感じるのだ。上手く表現出来ないのだけれども、小説が技術だとしたらHIP-HOPも言葉の技術と音楽の技術を駆使した言わばハイブリッドなんじゃないかとさえ思えてしまうのだ。

勿論、中には「なんだ、このクソみたいな歌詞は」というのも沢山ある。しかし、だとしても言葉の音を合わせて意味も合わせるという作業は単純な作業ではないと僕は思う。それこそ言葉に対する技術力がないと出来ない業であると感じている。

そういうところもあって最近はずっとHIP-HOPを聞いている。多分だけれども形式を突き詰めて行った先にある内容というのがしっかり出来ていて、ある意味で本来的な詩として成立しているのではないかと僕は少なくとも感じている。和歌や漢詩と言ったそういったところの源流を今もなお違う形で継承しているようなそんな雰囲気さえある。

しかし、HIP-HOPの発祥は外国であり、日本独自な訳では決してない。ただ、日本人がこうもすんなり受け入れられることが出来たのはやはりそういった和歌の文化や漢詩の文化というものがあったからであると思われて仕方がない。しかも日本人は漢字とひらがなとカタカナと、そして英語まで駆使して表現してさえいる。その力は見事なものだと僕は毎度聞くたびに感嘆している。

最近は15MUSが僕のお気に入りで、やたらめったら聞いている。何よりも歌詞が凄く響く。それこそ身近さのレヴェルが他のアーティストと比較すると、非常に僕らの生活に近い感じがして堪らなくいい。

この曲は好きでよく聞くのだが、サビのところが何故か響く。というより、この曲名がcityっていうところと歌詞を考慮すると大分面白いなとも思うのだ。ぜひ聞いてみて欲しい。

これが1番15MUSの中では好きだ。これこそ僕らとの生活の地続きな中で生まれた世界線で、しかもどこか優しさすら感じる。先に挙げたMOROHAなどはメッセージ性が強すぎて、「自分もこうしなきゃいけないな!」とある種の強迫観念に駆られてしんどくなるのだけれども、これは優しさに溢れている。

何と言うか「こういうこともあるよね」という優しさ。共感が全てではないと僕自身思うのだけれども、こうやって生活の断片を上手に切り取っているあたりが堪らなく身に染みる。人生の節目節目で聞きたいアーティストである。


さて、ここまで長ったらしく書いた訳だが、実際に書きたかったのは最近の「歌詞」問題についてのことだ。最後の方でちょっとしか触れることが出来なかったが、まあこれもこれでいいだろう。

僕のタイピングの赴くままに任せて。駄文の嵐。よしなに。

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