見出し画像

春のような温かさがいつもある学校に… 君が仲間と登った山の高さと険しさを想う 〜心の宝物188

🌷プライドとリーダーシップ


山に囲まれた小さな学校
秋深まるこの頃、二ツ森山から吹きおろす冷たい風がグラウンドに落ち葉を巻き上げています。そんな寒さをものともせず、たくましい子供たちは、休み時間には走り回って遊んでいます。北風に頬を真っ赤に染めて、元気いっぱいにはしゃいでいる姿を見ると、昨今はあまり言われなくなった「こどもは風の子」という言葉が思い浮かびます。

そんなある日の休み時間、6年生の彼は、1年生の女子児童が泣いているのに気づきます。抜群の運動神経と強いリーダーシップの持ち主。プライドが高く、強面のところもありますが、それは繊細な感性の裏返し。この日も持ち前の広い視野で、グラウンドの片隅で泣いている子に気づいたのでした。

🌷君が仲間と登った山の高さと険しさを思うと心が震えて仕方がない


気づくが早いか、彼はあっという間に駆け寄りました。膝をついてその子と視線を合わせ、優しく事情を聴きます。はじめはその子も驚いたようですが、寄り添う彼の思いをすぐに感じ取り、泣きながら友達との行き違いを伝えます。彼は笑顔で聴きつつ、頭をなでて励ましながら、その子の手を引いて担任の先生のところまで連れて行きました。

このエピソードを、1年生の担任の先生や、その場にいた複数の子たちから伝え聞いたとき、私は、うれしい気持ちでいっぱいになりました。
泣いている1年生の女子児童を気遣い寄り添うという行動を、彼が何の怯みもなく選択し、貫いたことに、彼や学級が登った山の高さが見える気がしたからです。

これまでも幾度か触れましたが、彼ら6年生の学級集団は、保育園から変わらぬ人間関係の中で、学級集団として苦しんだ時期がありました。「平等」という言葉が、学級目標に入るような、入れなければならないような時間、真面目さが遠ざけられ、偽悪的な言動で学級の空気が形成されるような時期が確かにありました。その空気の中でも、彼はやはりリーダーでした。

そんな彼にとって今回の行動は、とりようによっては、自身や仲間の、ある時期の生き方を否定するものであり、価値観を変えられない他者から見るなら宗旨替えそのものです。
仲間や担任の先生への信頼と安心がなければ、選択することは難しい。「成長」などという言葉で簡単に表現すべきでない、高く険しい山を登ることです。大人が思うよりもずっと大きな勇気を必要とする行動を選択した彼と仲間と先生との歩みに対する心からの感動をお伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?