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春のような温かさがいつもある学校に… 黙して行動することの重みと温もり 〜心の宝物268

🌷静かな誠実さ

山に囲まれた小さな学校
その通学班のリーダーは、6年生の彼でした。3歳下の妹の優しいお兄さんである如く、通学班をきちんとまとめて登校してきます。
決して威張らず怒らず、天真爛漫な下級生のありのままを受け止めつつ、羽目を外す寸前で穏やかに声をかければ、はしゃぎまわっていた下級生も自分を取り戻します。

言葉少なな彼の内なる、穏やかなリーダーシップは、卒業を4か月後に控えたこの頃から、すっかり落ち着き、頼もしくなった6年生集団の中で、隠しきれない輝きを増していきます。

🌷黙して行動することの重みと温もり

この頃、代表委員会は、「挨拶」の一層の充実を目指して取り組んでいました。この時期めざしたのは「立ち止まり 目を見て」という2項目でした。

例えば廊下などで出会ったとき、すれ違いざまに挨拶するだけでは気持ちが伝わり切らない、だから立ち止まって、その人の目を見て挨拶しようという試みでした。
とても美しい正論ですが、そもそも挨拶の苦手な子にとってはとてつもなく高いハードルです。次のステップではそういうところにも目を向けてくれるだろうと期待しつつ、子どもたちの取組を応援していました。

彼は、集会でこの取組が伝えられた翌朝から実践しました。
いつもの朝も、玄関で歩きながらではありますが、思いの伝わる挨拶を届けてくれていました。
しかし、その日は、玄関のドアの手前で明らかに一度立ち止まり、フロアにいる私に目をくれて「おはようございます」とはっきり告げました。
彼の内なる力強さと温もりが、真っ直ぐに心に届く挨拶でした。

学級でも、その他の場面でも、君が、声高に何かを語る場面に出会ったことがない。激したりすることはもちろん、正当な主張であっても、よほど求められ場面ではない限り、君は、言葉でなく行動で主張してきた。
その姿が、雄弁な言葉と同じほど、いや、それ以上の重みと説得力を、そうして温もりを伝えることを、私も含めて、全校の仲間が君から学んだ。

「沈黙は金」という言葉は、余計な一言を避けるための戒めのようだが、君は、君自身の言葉と行動の選択の積み重ねで、それ以外の意味にも解釈できることを、私たちに教えてくれた。多弁でないことは、時に大きな価値に、感動につながることを教えてくれた。

君のあり方に自分を重ね、自分は自分でいいのだと思えた子が多くいるだろう。
その子たちと同様に、私も君の、優しさと揺るがぬ強さを尊敬する。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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