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春のような温かさがいつもある学校に… 仲間のためなら一歩もひかない 〜心の宝物217

🌷額に汗を光らせて


コロナ機の学校
この日の3年生の廊下も、子供達が生き生きと掃除に取り組んでいました。
彼ももちろんその一人。

二つに折りたたんだ雑巾に両手を添え、全体重をかけて廊下を磨いていました。壁とリノリウム張りの廊下の際のところに、ピタリと雑巾をあて、一枚のタイルを前後に何度も全力で。納得いくまで磨き終えると隣のタイルへ。
漫然とでなく、明らかにそうしようと決意して取り組んでいることが伝わりました。

「ありがとう。気持ちが伝わるよ」
声をかけますが、彼は軽くうなずくだけで、再び作業に没頭します。
邪魔をしないよう、その場を離れて見守ります。彼の姿が緩むことはありません。

🌷仲間のためなら一歩も引かない


ある日の朝の会、彼が司会をしている場面に出くわしました。
てきぱきと会を進めて、おわりの挨拶になりました。
彼が「起立!」と声をかけました。全員が勢いよく立ち上がります。
毎日のルーティンです。
続いて間髪入れず、「礼、解散!」と声が続くはずでした。事実、幾人かの子は、それを予想して、自分のリズムで先に礼をして、座ろうとさえしていました。

しかし、彼は、学級全体を見渡したまま声を発しません。身じろぎすらしません。
それまでの、ややばらついた空気が、さっと引き締まりました。時間の流れが、止まりました。
彼も、担任の先生も、言葉を発しません。

他の子たちの背筋が、次々と伸びていきました。先に礼をしていた子たちも、居住まいを正しました。
やがて、全員が背筋を伸ばして、彼に目を注ぎました。

学級全員の意識が自分に、朝の会を全員で挨拶して終えることに集中したことを確認して、彼は初めて「礼」と声をかけました。そして、全員が礼を終え、再度意識をそろえて、姿としては静止して、自分に注目したことを確認して「解散」と声をかけます。

緊張からの解放感と、やり切った充実感をにじませながら、子供達は笑顔で休み時間に入っていきました。

 君が何かをやり切ることを、何よりも大切にしていることがよくわかる。
 自分自身の行動として徹していることも、それが自分や仲間の成長につながると信じたら、一歩も退かず仲間に求めることも。

 同じ場面で同じように行動できる人がどれほどいるだろう。
  
そうした方がいいとわかっていても、相手から、仲間からの反発を恐れる気持ちに耐えきれなくて、一声が出せない、行動することができない。
そういう迷いを日々経験しながら、私たちは生きている。

君の行動は、そんなときに、私たちが迷いを振り払う光明になると思う。
仲間はきっと君から大きな勇気を受け取っただろう。何より私が強くそう感じている。
大切なところで勇気を発揮できる自分に向かって歩き続けることを、君に約束する。

そんな思いでお伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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