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春のような温かさがいつもある学校に… この場面で、走ることを選択する君の強靭さに、心から敬意を表したい 〜心の宝物199

🌷給食の後


コロナ機の学校
給食終了を告げるチャイムが鳴り、子供達が三々五々、教室から出てきました。この日は掃除がある日です。

学校の大切な営みとして、掃除の取組が子どもたちの意識にも上ってきました。一人一人の温度差はもちろんありますが、児童の環境委員会の呼びかけや先生方の指導のおかげで、利他的行為として、そのために自分の力を尽くすことを選択する難しさやよさを、体験を通して学ぶ場として、掃除の時間を大切にする気持ちは、ずいぶん共有できるようになっていました。

とはいえ、暑い中で、寒い中で、力を使う活動であることに変わりはありません。ほとんどの児童にとって、楽しくて仕方がない活動であるはずもありません。重い、とは言わないまでも、おずおずとした足取りで、全校が掃除に向けて動き始めていました。

🌷この場面で 走ることを選択する君の強靭さに 心から敬意を表したい


そんな全校のたしかな、ゆったりしたうねりの中で、2年生の彼の姿が目を引きました。
職員室外テラス掃除の分担場所まで、懸命に走って移動してきたのです。
まるで遅刻を回避するかのような切迫感に、時計を見ましたが、開始まではまだ十分に余裕があります。
到着するや、用具ロッカーを開けてほうきを取り出し、一心に砂埃を集め始めます。それから少しして、間もなく掃除が始まることを告げる音声放送が流れ始めました。多くの子が少し足を速めた頃、彼は既にかなりの部分を、ほうきで掃き終えていました。

後でそっと、思うところを尋ねてみました。
「始まる前から時間いっぱいやってみようと思ったから」
丸く優しい顔を少しこわばらせ、彼は、緊張気味に答えてくれました。

笑顔と言葉で、周囲に協働する空気を創る力がありますが、流されて同調することは決してありません。自分の考えをしっかり持って発言し、行動する姿は周囲から信頼されていました。
どうしてそう思ったのだろうと重ねて問うてみました。
委員長が放送で呼びかけていたから、上級生の姿が格好よかったから。
少し考えて、彼は真剣な表情でそう答えました。

なるほど、そんなことがあったのだね。確かにそれらは君の行動のきっかけにはなっただろう。
しかし、それだけではないと思う。
それだけでは、開始時間のはるか前から、掃除場所へ走るあの必死さのエネルギーにはならないと私は思う。
仲間の声や姿を心に入れることと、それらを、自分を駆り立てるエネルギーに変えることとの間には、実は少し距離がある。そうすることが、自分にとっても、周囲にとっても何か素敵で温かいものを生み出すのではないか、やってみるだけの値打ちがあるのではないか。

面倒でないと言えばうそになる。
うん。
でも、やってみよう。

仲間の声や姿を心に入れるしなやかさ、自ら行動することを決意する強さ。
全て君の内にあったものだよ。
あの場面で、走ることを選択する君の強靭さにあこがれる。
心から敬意を表したい。

そんな思いでお伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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