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「自己」肯定感ではなく「自分」肯定感ではないか。「自己実在感」も提案したい。

はじめに

いつからかよく聴くようになった「自己肯定感」という言葉。3、4年ほど前からこの自己と肯定感が並ぶことに違和感を持ち始めていました。

その後、ふとしたことがきっかけで何が違和感なのか、より適切な表現は何なのか?が浮かんだので、プロジェクトを共にする仲間たちに伝えていましたが、今回記事にしてみようと思いました。

「自己肯定感」ではなく「自分肯定感」!?

結論から言うと、私は「自己肯定感」という言葉を用いて広まっていることは「自分肯定感」と表現する方が適切だと思っています

この違いを理解するためには「自己」と「自分」の違いについて知る必要があります。

以下の「自己と自分」の定義(レンズ)は、一般的なものというよりは15年近く前に当時のメンターに教わって以来、しっくりくるので使い続けているものとなります。

・自己
意識が内なる自然とつながっている私

・自分
意識が内なる自然と分かれている私

この定義(レンズ)においては「私たちは内なる自然を持っていて、生まれてから自我が芽生えるまでは、意識はこの内なる自然と一体化している」と捉えます。

自我が芽生えるということは、この内なる自然と分離した(だから私という感覚を持つことができるということでもある)、という意味となります。そのため、自我が芽生えてからの私のことを自分と呼びます。

そこから、ある意味で「再び」内なる自然とつながり直すことができた私のことを自己と呼んでいます。

この定義に立つならば「自己」とは絶え間ない流れ(時間)・分かれていない関係(空間)のようなものであり、肯定・否定が生まれる次元とは異なっていると言えます。言い換えれば、自己と「肯定感」は共存できないと捉えています。

裏を返せば、「肯定感」は、内なる自然と分離している自分と同じ次元にあり、共存することができるので「自分肯定感」「自分否定感」という表現の方が適切だと思ったのです。

「自己実在感」とは何か?

では、「自己」は何であれば共存できるのかというと、私が考えるのは「実在感」なのです。

「自己実在感」とは現時点では「今ここの身体感覚(体重・呼吸・皮膚感覚・聴覚に意識が向いている)を実際に感じていながら、観察者としての私にも気がついている状態」合わせて「私が、私と一緒に居ると感じられている状態」としています。

(この定義をみると、マインドフルネス状態と何が違うねん!?というツッコミが聞こえてきそうですが、パフォーマンスアップが目的のマインドフルネスではなく、その状態であること自体が目的といったニュアンスであれば、重なるものが大きいと思えます。このあたりはまた相似と相違について考えてみたいと思っています。)

どちらが良い悪いではなく、その乗り物が効果的な時期がある

私は成人発達理論を知る前は、1つの人間の発達を表す「天然複雑自然(じねん)」というモデルを学んでいました。

これは「人間は天然で生まれ、複雑を経て、自然(じねん)に至る」という3つのフェーズを表しています。

まず、天然。これは先に紹介した「内なる自然とつながれている状態」天真爛漫・無邪気、そういった言葉が似合う状態のこと。これを例えるなら天から与えられて「自動的に」そういう状態であれているという意味合いで天然と呼びます。

その子どもが自我が芽生えると自他の区別が生まれ、あらゆることの分別が生まれ、世の中はどんどん複雑になっていく。苦しみは、分離感からくると
教わったことがありますが、苦しみと望みが生まれるフェーズと言えます。
 
このフェーズのことを「複雑」と呼びます。
 
この分離の世界、複雑のようにしか思えない世界の中で、かつて子ども時代には自動で至れていた状態に自ずから然るができるようになっている、そのフェーズ・状態のことを自然(じねん)と呼びます。

このモデルと「自分肯定感」と「自己実在感」を照らし合わせることができます。

まず、「自分肯定感」ですが、こちらは「複雑」のフェーズに当てはまりますし、そのフェーズで効果的な乗り物と言えます。

そして人生を生きていく中で「自分肯定感」を高めるという方法論ではどうも抜け出せなくなった時に、初めて光が当たり始めるのが「自己実在感」であり、これは「天然」のフェーズで効果的な乗り物と言えます。

そして、自己実在感という、例えるなら内なる土壌(インナーソイル)が発見され、耕されるために必要な前提条件は、現時点では「身体感覚を発達させること」や「中庸マインドを醸成すること」だと捉えています。

このあたりは、成人発達理論でいうオレンジ→グリーン→ティールと通ずるものがあると捉えています。

参照記事はこちら。

さいごに

今回は「自分肯定感」と「自己実在感」という造語について紹介しました。引き続き、探究し、これらについても解像度を高めていきたいと思っています。


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