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1万メートルの上空にて、日本を振り返ってみた 

 二か月間もNoteを離れていたので、もう忘れられていても不思議はないが、一応生存報告まで。

 最近のヨーロッパ便はアラスカ方面を飛行することが多いようで、ロシア上空を飛行していた時と比較して、海の上空を飛行している距離が長い。そのためであろうか、揺れている時間が長時間になって来た。

「激しく揺れていても機体には全く影響はありません!」

 全日空のキャプテンは、こう強調して下さる。この言葉に慰められる乗客は多いのではないのであろうか。頻繁に機上の人となる世界のNoterさんならば、「はいはい、そんなこといちいち言われなくとも知っていますよ」、となるかもしれないが、飛行が苦手な人間にとっては揺れに関する説明はありがたい。このような親切な説明は日本の航空会社特有のものかもしれない。


機内の写真。私が泥酔していたわけではなく、激しい揺れのためにフォーカスが出来なかった

 

全日空の深夜便にて提供される間食セット。あまりの揺れにサービスは一時停止。そのため後部席の方々はしばらく待つ羽目になっていた


 このような場合は、何とかして「揺れからの恐怖心」から思考を離脱させなければならない。そのために、今回の日本滞在に関して驚いたこと、再認識をしたことなどを、一般人なりに少し考察してみた。

 まず、驚愕したことは、

 近所の人達が往々にして、小さくなっていた。高齢になると骨が縮んだり、腰が曲がったりするが、最近までは目線が同じ位置であったような方々も皆小さくなっており、薄くなった頭のてっぺんが見える。

 その小さくなった人々が、両側に重そうな買い物袋をぶら下げて、ヘルメットも被らずに狭い車道を自転車でヨタヨタと走っていらっしゃる。

 こちらでは15歳以下の子供に関しては、ヘルメット着用が義務であるが、15歳以上の私でさえ、着用しないとまわりからの非難が激しいため、今は出来るだけヘルメットを着用している。自転車に乗っている方々は、細心の注意を払ってサイクリングをして頂きたい。


横濱山手 外人墓地前

 
 ある時、小さくなった女性が電車の中で、50歳代ぐらいの男性に、「うっせーんだよ」と怒鳴られている場面を目撃した。高齢の相手に限らず、何故、他人に威嚇するような口の利き方をしなければいけないのかは理解不可能である。どうしても何かを申さなければならなければ、せめて国語辞典にあるような語彙で注意を出来なかったものであろうか。書くは易しであるが。


横濱 元町の花屋さん


 スーツケースの空港宅配サービスなどをお願いすると、運送会社の車から小さくなった人が疲れ切った表情で降りてくる。まだそれほど小さくない私にでさえ重く感じられる23キロのスーツケーツを渡しながら「手伝いましょうか?」、と訊ねると、「大丈夫です、慣れていますから」、と疲労の奥からも明るい笑みを見せる。

 どの職業を選んでも自由であるが、高齢の方にはもう少し肉体的に楽な仕事はないものだろうか、と余計な憂慮をせざるを得ない。


横濱 元町


 小さくなった人達、あるいはアナログ派の方達は、昨今、ファミレスでも苦労をしている。タブレット等で注文しなければいけないレストランも昨今では多いが、タブレットがフリーズしてしまったり、トラブル処理に時間が掛かる時もある。デジタル注文に慣れていない客の場合、従業員が付き添いで教える羽目になるので、本末転倒である印象も受ける。

 デジタル注文は、デジタル派の人が多い地区では効率化が計れるかもしれないが、アナログ派の多い地区では、アナログ派の客層を逃してしまう危惧もあるのでは?あるいは、アナログ派はタブレットのない近所のレストラン等へ流れて、近所の活性化が計れるのであろうか。

 スウェーデンに関しては、ファストフードチェーンに関してはデジタル化が進んでいるが、通常のレストランでは、未だに生身の人間が注文を取りに来てくれている。南欧ほどではないが、こちらでも心付けを渡す習慣が残っているからであろうか。


山手234番館 カルチャセンター

 
 また、海外の携帯電話しか持っていないと、苦労することも多い。ある回転寿司レストランを予約しようと電話をした時のことであるが、携帯のアプリがないと予約は不可能であるという。海外の電話なので日本のアプリをインストール出来ない、例外として電話予約をさせてくれないか、と電話で15分間押し問答をしてみたが、結局、埒があかなかった。

 これはかなり以前からも感じていたことであるが、サービス産業でさえ融通の利かない状況が多々あり、平社員に関しては、些細なことでさえ自身の裁量で行うことが許可されていない印象を受ける。


横濱 波止場近く


 デジタル人間とアナログ人間の財テク格差は今後も広がって行くであろう。友人と一緒にある周遊券を購入した時のこと。友人はウェブサイトから2600円程度で購入したが、まったく同じ内容の券を横濱駅の切符売り場で購入する場合は4100円であった。


横濱 赤レンガ倉庫

 
 
 とまあ、気が付いた取り留めのないことを何点か羅列させて頂いたが、半分程度は削除した。他の方々も綴っていらっしゃるようなことであるが、たまに一時帰国をして違和感を感じたことを挙げさせて頂いた。

 どちらかというと批判に響いたかもしれないが、逆に日本の良いところを羅列していたら、到底一記事では収まらない。


 しかし、今回の滞在に関しては、特記事項もある。

 ついにNoter友との初対面が実現したのである。さらに、今回お会い出来なかったNoter友のお二方と電話でお話をさせて頂くことが出来た。この件に関しては、彼女たちに確認を頂いたあと、是非、後日綴らせて頂きたい。

 今回は、家の事情が複雑になり、また、滞在期間の半分をスウェーデン客人達のアテンドに費やすことにもなり、自分の時間というものがほとんど確保出来なかった。しかし、客人達が私の紹介したかった日本を体験する様子を窺うのは至福の喜びでもあった。


横濱 みなとみらい 屋形船?


 週末に、知人の誕生会にて彼らに再会したので、気になっていたことを訊ねてみた、「日本で一番印象に残ったことは何か」、と。

「いろいろあるけど、一番印象に残ったものを一つだけ選ばなければいけないとしたら、音だな。いつもどこからかいろいろな音がしていた」、と彼らは返答した。

「音?」

 想定外の回答ではあったが、妙に納得が行った。


 そんな話をしながら知人の家を後にした午後、

 陽はすでに暮れており、銀色の世界には私達の足音以外の音は響いていなかった。


ストックホルム 警察庁裏の公園


ご無沙汰をしてしまっておりますが、ご訪問有難うございました。
どうか皆様がインフルエンザ等に罹患しておりませんように。亀のペースですが、皆様のところに楽しみにお伺いさせて頂きますね。


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