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「怒る」のも「閉じこもる」のも、自分を守っている。(ポリヴェーガル理論)


ポリヴェーガル理論は、新しい自律神経の理解


吉里恒明さんの「はじめての『最新メンタルヘルス』入門」を基に説明します。

これまでは、一般的に自律神経は「交感神経」「副交感神経」の
2つに分けて説明されています。
新しい自立神経理論の「ポリヴェーガル理論」では「自律神経」を
3つに分けて説明されています。

「(赤)交感神経」
「(緑)腹側神経複合体」
「(青)背側神経複合体」


「自律神経」が反応して、自分を守っている状態なので、「赤(交感神経)」「(緑)腹側神経複合体」「青(背側神経複合体)」のそれぞれは、どれも大切で、どれが「いい」「悪い」はありません。

メンタルヘルスの領域では、クライアントさんに、自分の状態を知ってもらうのに、「ポリヴェーガル理論」で説明をするのが理解しやすいので、
私の師匠である吉里恒昭さんは、「ポリ語」という言葉を作って活動されています。

からだ(自律神経)は環境刺激に反応している


私たちは、何かの刺激に対して、いろいろな反応をします。

それぞれの神経の状態は、以下のとおりです。
自分の「身体」「考え」「感情」の状態から、
自分が今どのような状態なのかを観察してみてください。

・「交感神経(赤)」

「戦う」か「逃げる」を目的としているときに機能する神経(勝負神経)

騒音、気温、気圧、光の明暗、紫外線などの物理的な刺激もストレス。
薬、サプリメント、お酒、タバコ、環境ホルモン等の化学的ストレス。
細菌、ウィルス、花粉、動植物、埃、食べ物や飲み物等

外部刺激だけでなく、体の内側(こころや身体の状態)から刺激を受ける。
体のコンディションが悪かったり、体が痛かったり・だるかったり、
気分や感情がすぐれなかったり、危険なことを思い出したり

(図:日経メディカル、日経BPより)

【身体】の反応
動悸、高血圧、息苦しさ、視野が狭い、眼球飛び出る、力む、脈が早い、
体が赤い、内臓(消化器・泌尿器)は抑制、呼吸は浅く早い、震える、汗、口が「いー」、口が乾く、歯を食いしばる、前のめり、拳を握る、
指をさす、ガンを飛ばす、

【考え】が自動的に生まれる。すべき、だめ、許さない、ちゃんと、完璧に、ミスなく完全に、絶対、倒せ、直せ、やっつけろ、急げ、間違えるな、喜ばせろ、負けるな、勝たねば、逃げろ、やばい、早く、怒られないように、ばれたくない、助けて、馬鹿にされたくない。

【感情】が自動的に生まれる
イライラ、怒り、憎しみ、殺意、闘争心、意地、支配欲、焦燥感、恐怖心
不安、心配、不信、懐疑心、敵対心、動揺、軽蔑、神経質


・「青(背側神経複合体)」

災難が去るまで固まる(省エネ)で過ごす神経(充電神経)
青が働くのは、
①赤の時間が長く続いたとき
②赤で対処できない程危険な状況のとき
③体のコンディションが不調とき

(図:日経メディカル、日経BPより)

【身体】
脱力、気だるい、倦怠感、寒気、低血圧、徐脈、注意力低下、
見えにくい、聞こえにくい、失神、全身が青い(蒼白)、声が小さい、
表情が乏しい、呼吸は浅く緩い、動きが遅い、頭が真っ白、考えられない、生産的なことができない、記憶が曖昧、解離、ため息、

考え】もうだめだ、情けない、終わった(終わりたい)、どうせ、
何をしてもうまくいかない、ひとりになりたい、やりたくない
行きたくない、手段が尽きた、どうでもいい、燃え尽きた、わからない

【感情】憂うつ、悲しみ、自暴自棄、無感情、無感動、無力感、
希望のない、孤独、あきらめ、不信、罪悪感、迷惑をかけた
放心、途方に暮れた、死にたい、消えたい、亡くしたい


・「緑(腹側神経複合体)」

「今、ここ」が安心でき、安全な場所だと体(自律神経)が感じた時
一旦青になって、一人になり充電や休息ができたとき、
敵が去って味方や仲間と一緒にいるとき、

(図:日経メディカル、日経BPより)

【身体】
柔らかい穏やかな表情、目が輝く、抑揚のある表情豊かな声
落ち着いた脈拍と血圧、ゆっくりとした呼吸、伸びやかな姿勢
重心がふらついていない(逃げも戦いもしていない)、動きがスムーズ
笑顔、オープンな姿勢、懐があいている、顔も声も動きも表情豊か

【考え】
なんだろう、みんなあつまれ、どんなことが起こるかな、
それゆけ、お楽しみ、やってみよう、ありがたいな、どうにかなるな
守られているな、お陰様だな、もっとできるようになりたいな
それでいいな、そのままでいいな、どうなるのかな

【感情】
穏やか、平和、感謝、愛、好奇心、楽しい、嬉しい、守られ感、
安心感、安全感、委ねる感じ、お任せ感、一体感、存在感、

ポリヴェーガル理論の活用


私は、結構「怒りっぽい」ところがあって、子どもの頃、親に注意されたりしていました。
そいう自分自身の「赤(交感神経)」の反応が嫌いでしたが、この理論を知ってから、「赤」になるのは自分の大事なものを守っているのだと思えるようになり、「赤」になる自分を受け入れることができるようになりました。

ま「青(背側神経複合体)」の反応である「疲れた」とか「身体がだるい」等の状態になったら、無理をしないでさっさと休むようにしています。

そして、「緑(腹側迷走神経複合体)」を増やすためにお風呂でゆっくり音楽を聴いて、リラックスしたり、畑仕事をしたり等「緑」を増やすようなこともしています。
多分、「右脳」を刺激することは、「緑」が増えるのではないかと思います。

マインドフルネス=瞑想も「緑」を増やす方法の一つですが、
「青」の状態の方は、目を閉じることが不安になったりする場合もあります。
それは、「安心・安全な場」が保たれていないことなので、「緑」のためには「安心・安全な場」が最も大切なことを覚えておいてくださいね。

自律神経」が反応して、自分を守っている状態なので、

「赤(交感神経)」
「緑(腹側迷走神経複合体)」
「青(背側迷走神経複合体)」

それぞれがどれも大切で、どれが「いい」「悪い」はありません。
まずは、自分自身の状態を観察するところから始めてくださいね。


吉里恒昭さんの書籍


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