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なぜ光の道が大混雑しているのか | 日本の光通信速度、23位に転落 5Gの足かせに

こちらの日経新聞の記事より。これはわかりやすく言うと、高速道路に繋がる一般道の広さが今までの100倍になるのに(5G)、高速道路(インターネット)の拡幅工事が遅れて料金所で車が詰まってしまうイメージです。

これは自分の体感とも一致します。長年暮らしたインドのネットの速度の遅さには相当辟易としていましたが、日本に帰ってきてガッカリしたのが思ったよりネットが速いと感じられなかったことです。例えばグーグルマップの表示は時間がかかるし、Amazon Primeも時々止まってしまいます。

確かにこの状況では、5Gのケーパビリティを最大限に活かせないかもしれません。ケータイ(無線)の通信技術を示す5G(現行の4Gの100倍速い)と、光通信・光ファイバーとの関係はわかりづらいのですが、仕組みとしては以下のようになっていて(NTTの例)、電柱やマンホールの下を通る光ファイバー≒光通信の容量が詰まってきているという話です。

ユーザー → 電波(4G/5G) → ドコモの無線基地局 → 光通信(NTT東西等※) → インターネット → Google/YouTube/Netflixなど
※ダークファイバを活用してドコモ等が直接インターネットに接続している場合もあります。

23位というのは残念なように思えますが、記事のグラフによると米国や韓国も同様の状況であり、推測するに「国土が広い」または「人口密度」が高い国は投資が追いついていないように思えます。一方で対比に出てきているシンガポールや台湾は人口密度は高めとは言え、国土は圧倒的に米国や日本より小さいです。データからは見えないですが、米国・日本・韓国の状況をポジティブに捉えるとテクノロジーへの依存度が高い(ネットの利用率が高い)と言える可能性もあります。

光通信に負担をかけるものと言えば、YouTube、Netflix、Amazon Primeに代表される「動画」ですが、昨今急速に企業で利用が始まったクラウドも容量を食います。メールやオフィスソフトは従来デスクトップ上だけでありましたが、今はほとんどがネット上(クラウド上)です。これをまた例えると、高速道路(インターネット)上のサービスエリアがクラウドサービスに相当します。サービスエリアが肥大化して、どんどん車が来てしまうのですが、サービスエリアのオーナーが高速道路の拡幅工事にお金を払ってくれないから、サービスエリアの拡大と高速道路の拡幅工事のペースが合っていないのが現状です。

一方で、速いに越したことはないですが、ネットが「切れない」「落ちない」ということも重要で、日本は特に災害が多い国なので、速くするというよりは、地震等にも耐えうる堅牢なシステムへお金を投資してきたと言えます。23位は残念ですが、一方で目に見えづらいこうした「鉄壁の守り」の部分で世界にアピールできないものかと思います。ネットそしてクラウドへの依存が高まっている今、改めての「切れない」「落ちない」の真価が見直されるべきではないかと感じています。

いずれにせよ、こういった記事やデータが議論を呼び起こし、「絶対に切れない」+「速い」を世界で最初に日本が実現できるようになるといいなと思っています。通信事業者の自助努力でやるべきことも多くありますが、投資の効率化のために、行政や他分野の企業とも連携しながらコンパクトシティやスマートシティの実現と結びつけていくこともできると思います。

【参考】拙筆ですが、以前5Gについて書いた記事はこちらです。


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