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葬儀屋さんの読書感想文。【DIY葬儀ハンドブック】。

やっと、やっとの思いでこのことについて語れる日がやってきました。長い月日が流れたような・・・)汗。

私の業界である葬儀業界に、ある意味大喧嘩を仕掛けているとも言えそうなこのタイトル、【DIY葬儀ハンドブック】。文字通り葬儀で喪主を経験したこともある著者さんが、

「我々葬儀社に依頼することなくお葬式をする方法」。

を描かれているというこの書籍。ある意味心臓ドキドキ且つ興味がありすぎたのでこの本のことを知った瞬間に購入していた代物です。以前内容を含めてご紹介します!と、豪語していたにもかかわらず・・・

この記事を書いたのが一か月前の7月18日。なんてこったい・・・

すんません。


と、いうわけで早速ご紹介と個人的レビューを語りたいと思います!

DIY葬儀ハンドブックの概要。

序章から始まり、第1章~第8章、そして最終章と約10部に分けてあります。

序章では葬儀の形式などをわかりやすく紹介する、「最近の葬儀事情」。

そして次の章からは、葬儀の迎える方の目線に立ち、

「臨終前に準備すべきこと」

「臨終」

「ご遺体搬送」

「遺体安置」

「火葬」

「納骨」

と、お葬式のみならずお葬式の後のことまで細やかに為すべきことを書かれています。そしてすごいのは、

「お寺様や法要」についての事。

「通夜・告別式」。

最後の章では、お葬式を準備するための心得までが書かれています。

DIY葬儀とはどういう方へ向けて書かれているのか?

DIY葬儀とはご家族が自分で葬儀を行うために書かれています。が、それは

「家族だけで直葬する」ことに限定されています。それは何故か?

私が思っていた事と、著者さんの考え方は同じで、個人的な要約は次の通りです。

「祭壇を飾り、お坊さんを読んで通夜や葬儀といった儀式までは自分たち家族で行うことは到底不可能だということをご紹介したうえで直葬する方には何とか自分たちでできるよ。」

このような本です。ですからすべてのお葬式が家族だけで出来るためのマニュアルではありません。でも、やり方については非常に分かりやすくイラスト付きで描かれており、臨終時から火葬場へ向けての出棺まで、分かりやすくて面白いです。特に解説が素晴らしいのは、

臨終時の際に病院で亡くなる場合の対処法、

高齢者施設で亡くなる場合の対処法、

警察で検死が行われた場合(急死)の対処法まで、

ストレッチャーへのご尊体の乗せ方やご尊体を階段で登る方法など、事細やかに書かれているところに感心しました。

そして、葬儀に最低限必要とされる棺桶やお骨壺などの購入方法や準備の仕方が書かれています。うまく行えば3万円でも直葬が出来る驚きの方法まで紹介されています。

DIY葬儀を行うと、後でこんなことも出てくる。(メリットとデメリット)

先程全体的な流れをご紹介した中で、お葬式の後のことや僧侶の方との接し方まで書いてありますと紹介しました。これはお寺様との付き合い方において、DIY葬儀を行う=お寺さまとトラブルになりますよ~という警告まで書かれています。

そう、DIY葬儀は前提が儀式を行なわない、「直葬」なので、

そもそも通夜・葬儀という、お寺様を一番必要とする部分にお寺様をスルーするような葬儀をするわけですから、

【そのお寺様と縁を切る覚悟が必要】だとも、そのことについての事後のお寺様とのことについても書かれています。それだけではなく、なぜそのようなタイミングで僧侶の方をお招きするのか?こういった点についても分かりやすく書かれています。

そして、生前故人様と親しくされていた方・ご友人・ご近所への葬儀をお伝えしないことによる不義理なども書かれています。まあこの部分は葬儀社へ依頼して、家族葬や直葬をすれば同じようなことになりますが。

私の見解でもやはり著者さん同様、このようなアドバイスをするでしょう。

DIY葬儀ハンドブックに関する私の感想・総評は。

私が解釈するに、この本は私共葬儀社が「直葬」という葬儀スタイルにおいて、臨終から御葬式に至るまでにしている作業や裏方業務を赤裸々に描かれています。正直この本をご覧になった全ての方がDIY葬儀をしたいか?私はNO!だと思いました。なぜならば本当に手抜きすることなく説明されたことを悲しみの最中にあるご家族が行うことは相当大変だと思わされます。

そういった意味では、むしろ著者さんはお葬式ってこれだけ大変なんだよ。

だけどその気になればみんなで出来るよ。

この様なメッセージを感じます。

でもこの本は、そういった葬儀費用を抑えたい方だけでは無く、

「大切な方を失ったときに本当に後悔せずに良いお葬式がしたい!」

この様な方に、是非読んでいただきたいと思います。

理由は、最初の章と最終章、そしてあとがきにあります。

最初の章ではお葬式のスタイルについて書かれていますが、規模感だけでなく、費用やそれぞれの葬儀スタイルの持つメリット・デメリットが書かれています、

最終章では、葬儀社の選び方が書かれていますがこの内容は、大規模葬儀社~小規模葬儀社まで、選定するポイントだったり互助会についても詳しく書かれています。この本を読んでDIY葬儀をあきらめたとしても得るものはとても大きいですし、何より葬儀社を選ぶご家族様からの目線を書いてあることは、私の気を引き締めるものがあります。

そして葬儀の後にしなければならない納骨や散骨・手元供養だったり、お寺様との上手な付き合い方へのヒントも満載です。

最後にあとがきで書かれており、私の心をつかんだのは、著者の選んだ葬儀スタイルでした。お寺様を呼び、お通夜・お葬式まできちんと行われたのですが、料理にはこだわりをもち、亡くなられたお父様が生前好きだった老舗うどん屋さんの弁当を持参したり精進落としの料理もふぐ料理を自ら手配されたそうですが、この本を手に取り、遺族という立場で故人への愛を表現することこそ人を葬ることの本質というか、心が求めているものだと感じました。

8月10日、御盆間近。本年初盆を当社でお迎えさせていただく方のことをあらためて葬儀社の立場として追慕しつつ、来期からの葬儀への振り返りとして心にこの本とのご縁を刻みたいと思います。拝

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