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余命宣告された方の、一日旅行のお手伝い。【ユニバーサルツーリズム】

まだまだ余談は許さないのですが、やっと緊急事態宣言が明けてきました。

私が思い描いてきた、


【寝たきりや、お身体の不自由な方への旅行・ユニバーサルツーリズム】

実は昨年コロナ禍の真っ最中に頂いたある方のと想い出の旅をご紹介したいと思います。
この方とご家族様とは特に親しくさせて頂きました。

10月某日、ご入院されている病院から別府港にてフェリーで愛媛県へのお墓参り・同窓会という一日旅行のお手伝いをさせていただきました。

最初は患者さまの娘さまからのご相談から。

「父は入院中で移動はリクライニング車イスで介助が必要だけど、どうしてもお墓参りに連れて行きたい。。。船には乗れたとしても寝たきりの父には階段を上がり、後日へ行く手段がないので困っている。また、愛媛に到着してもそこからの移動をどうすれば良いのか分からず困っています」

と、娘様がお電話を下さいました。

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そこで、移動手段や船内の移動についてのリサーチと到着後の港の様子、緊急時の対応に加え、お父様のお身体の状態を担当のソーシャルワーカー様や看護師様に伺い、何度も何度も入念に打ち合わせをさせていただきました。

お墓参り、同窓会当日のお天気は快晴。
病院に到着するとマスク越しにもわかる程の笑顔で患者様であるお父様と、娘様、お孫様が準備万端で待っていてくださいました。

ご入院されている病院のソーシャルワーカー様や、看護師様からのお父さまの容態に関する申し送りの後、担当医の先生もお見えでした。
先生もこの事を応援してくださっており、先生のオーケーが出なければここまで来る事は難しいのです。

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「じゃ行こうか!」

お父様の掛け声と共に私達のお墓参り•同窓会の旅がはじまりました。

リクライニング車イスのまま当社の民間救急車両に乗り込み、フェリーへの移動はフェリー会社の皆様もお手伝いしてくださいました。

フェリーの中は、感染症対策も考慮し、最上階の個室を利用させていただきました。船にはエレベーターがなく、階段でしか上がれないのでスタッフが介助器具を使用してお部屋へと向かいます。

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個室へ到着し、リラックス出来る様にマットレスへ移乗すると早速の朝ごはんです。朝ごはんは奥様がご用意してくれた手作りのお弁当。新米のおにぎりはお米がキラキラと輝いており、食事の介助でひと口お食べになると、「新米の銀シャリはたまらんねー。おいしいー」とお父様は笑顔で大喜びされていました。

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どうしても病院では塩分やカロリーを重視したお食事により、美味しさを追求したものでは無いので、外で自由に食べる食事はとても嬉しいのだろうなぁとコチラも勝手にしてやったり気分。笑

愛媛県に到着後は、フェリーからまた当社の民間救急車両に乗り込み、今回の目的地ご先祖様のお墓へ向けて出発です。
お墓に到着すると、もう既にお父様のご親族様やご友人様が、お父様の到着を首を長くして待たれておいででした。どうやらご兄弟さまがご連絡係をしてくれた様です。

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車イスを押して緩やかな坂道を登りきるとご先祖様の立派なお墓がありました。
お父様とそして娘様、お孫様、ご親族様みんなでお経を唱え、お墓参りをされました。
「来れて良かった。。。」とお父様の心からの声を聞かせていただきました。

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お墓から戻ると続々とお父様のご友人様が集まられ、皆様顔を見合わせて笑顔で「あの時はこうだった。。。」と懐かしいお話をされて笑い声が響きわたり、その光景を見守る娘様も安堵の表情を浮かべられていました。
その当時は「べっぴんさん」だった女性のお友達に、

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「あんたやっぱ可愛かね〜」

など、
その満面のお顔はとても輝いていて、見ている私たちもホッコリする様な表情でした。
次から次へと駆けつけてくるご友人との会話を見ていると、今までで最高の笑顔が出てきた。
その笑顔の何と楽しそうな事かと、私たちも嬉しくなるばかりなんです。

名残を惜しみつつ、いく先を次の方向へ。
ご自身が生まれ育った生家にてお仏壇参り。昔を懐かしんでおられました。

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私達スタッフにもご友人の皆様から、

「一緒に来てくれて、連れて来てくれてありがとう」

と、感謝のお言葉やお褒めのお言葉を沢山いただきました。

楽しい語らいのひと時があっという間に過ぎ、ご友人様とまた会う約束をされ、最後の目的地の産まれ育ったご実家へ向かいました。
帰りのフェリーの時間もあり、ご実家ではゆっくりお時間を取ることができませんでしたが、ご実家を眺め、懐かしんでいらっしゃいました。


お父様は、帰りのフェリーでは、一日の疲れがどっとでたのか、ゆっくり横になり休まれました。
娘様へ、今回のお墓参り・同窓会についてお尋ねすると、

「とにかく連れて行きたかった。行くと決めたら病院のソーシャルワーカーさんも先生も許可してくださって、応援してくれて本当に感謝しています。
病気でもこんな事ができるって事をもっともっとみんなに知ってほしい。写真も全て記事に載せてくれていいですよ。」

と、とても力強くお話をしてくださいました。

行く先にバリア(障害)があっても、医療行為が必要な方でも私達、民間救急なら叶える事が出来る、【ユニバーサルツーリズム】の取り組みがまた一歩実現したこの日の一日旅行。


娘さまとお孫様とそのご家族の、お父様との強い絆を感じる事が出来、そのうえ私達も嬉しい気持ちになれた旅行となりました。  

サポート内容
❶フェリーへのリクライニング車椅子への乗車確認とフェリー会社とのお打ち合わせ。 
❷チケット購入
❸介護士2名+看護師の介助による階段を上っての客室誘導・食事介助
❹看護師による投薬管理・バイタルチェック・体位交換
❺愛のあるサプライズ(笑)

              

そしてこの話にはその後の展開もありました。私の【命のお仕事】の中でもとても心に残る物語へと続きます。

https://note.com/life99/n/n2afef4a11439

    

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