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Libya Updates #32: November 2020 Week 2
こんにちは🕊
今週1週間のリビアをめぐる動きを整理しました。
■リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。停戦へ向けた協議が進む一方、現地での戦闘を繰り返してきた。
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1. 女性法律家 ベンガジで殺害
リビア第2の都市ベンガジで10日、女性法律家で活動家のハナン・アルバラッシ氏が武装勢力に銃撃され、死亡した。犯行は日中に行われ、犯人は分かっていない。
アルバラッシ氏は人権問題や政治の腐敗について訴えてきた人物で、ハフタル勢力に批判的な姿勢を示してきた。
メディアやSNSを通した積極的な発言も目立っていた。アルバラッシ氏が殺害される数時間前にFacebookに投稿した動画は、ハフタル勢力を批判する内容だった。
■ 国際社会の反応
国連リビア特別ミッション (UNSMIL) は同日中に声明を発表。事件を強く非難するとともに、HoRに対して捜査を行うよう求めた。
在リビア英国大使館も非難声明を出している。
جريمة مأساوية وغير معقولة. ندين استخدام العنف هذا، الذي تهدد حرية التعبير لكل الليبيين. الآن، من اللازم أن يكون هناك تحقيق سريع ومحايد لتعريف المرتكبين. المملكة المتحدة مستعدة لاستخدام العقوبات ضد منتهكي حقوق الإنسان. https://t.co/suuVNqhYBV
— UK in Libya🇬🇧🇱🇾 (@UKinLibya) November 11, 2020
米国大使館は10月末から東西を結ぶ国内線が再開したことを受け、ベンガジからトリポリに到着した一部の客が不当に拘束されていることに言及。市民の失踪や殺害がこれ以上起きることのないよう訴えた。
■NGOなどの反応
アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチ (HRW) などの国際NGOなども事件を非難。
HRWはHoRに対して、事件の捜査を早急に行うことを呼び掛けた。
国内外で活動するリビア人らを含むNGOなど6団体も声明を発表。リビアの人権侵害に対する独立した調査活動をただちに行うよう、国際社会へ呼びかけた。
2. 停戦へ向けた動き
一方、停戦へ向けた動きも進んでいる。
UNSMILは12日、リビアの東西を結ぶ沿岸部の道路の封鎖を解くことでGNAとHoR両勢力が合意したことを明らかにした。両勢力は道路の再開通に向け、地雷の撤去や戦闘員の撤退にも取り組む予定だという。
国外からの傭兵は順次、トリポリとベンガジに送られる予定で、1月23日に帰還する計画だ。
さらに、両勢力は18ヶ月以内に選挙を行うことにも合意したという。
UNSMILは先月23日、GNAとハフタル勢力側が「永続的」な停戦合意に達したことを発表。3ヶ月以内に全ての軍勢力や外国の傭兵が撤退することを決定した。リビア全土で封鎖されている道路の開通や空の移動も再開することなども定めた。
軍事部門での交渉も進展を見せた。
交渉に参加しているメンバーの1人は11日、シルトから両勢力の軍事部隊が撤退したことを発表した。
3. 新型コロナウイルス
リビアでは12日 (現地時間) 時点で、累計70885人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は6,298人。日に平均約900人近い新規感染者が確認されている計算。累計死者数は970人で、1週間で70人の増加。
リビアでは5月頃まで、感染者数は数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月で、新規感染者数は増加の一途を辿っている。
リビアの人口は689万人ほど。
情勢不安の続いてきた同国では、パンデミック以前より医療保険制度がきちんと整備されていない状態。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。
4月から5月にかけて、医療施設への攻撃も多発。6月から7月頃には市民が地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いでいた。
4. 移民・難民
リビア沖で12日、移民・難民を載せた船が転覆し、少なくとも74人が死亡した。
IOMによると、今年に入ってから既に900人以上が地中海を渡ろうとして命を落としている。
カダフィ体制の崩壊後の混乱で、サブサハラアフリカ諸国よりリビアを経由し、欧州を目指す移民・難民が急増。密輸業者の台頭も確認されている。
EUなどとの協力のもと、同国は移民・難民が地中海を渡るのを阻止しようとしてきた。
だがリビアに留め置かれた移民・難民らの一部はGNA政府や武装勢力により収容施設へと送られることもある。収容施設では生きるために必要なものへのアクセスも絶たれ、外へ助けを求めることもできない。難民・移民から金銭を巻き上げるために脅しをしているほか、リビア人が暴行や性暴力を行なっていることも分かっている。
EUなどがこうした現状を知りながらリビア当局との協力を続けているとして、国際NGOなどが批判を続けてきた。
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