【北米エンタメニュースまとめ】映画「呪術廻戦」が海外興行収入が100億円突破、メタバースの標準化団体が結成 、ホテルのメンバーシップをNFTで発売
北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。
業界ニュース
Viz Media、2023年春の出版予定作品を公表
北米の出版社は日本のように週刊雑誌を持っていないため、季節ごとに日本で出版された作品から翻訳したい作品を選び、公表しています。この度公表された大手出版社VizMediaの2023年春の出版予定作品では、週刊少年ジャンプ掲載作品が中心でした。
個人的には「ハイキュー!!」のイラストレーションブックが入ったことがうれしい。単行本以外が翻訳されるのは確実な需要があると見越してのこと。ハイキューの北米市場での根強い人気を感じさせます。
クランチロール、『チェンソーマン』の配信権獲得
漫画人気の起点となるアニメ配信市場について。人気漫画「チェンソーマン」のアニメ化が待たれる中、すでに大手配信会社のクランチロールが日本以外での配信権を獲得しました。しかも字幕と吹き替えを用意するという念の入れよう。すでに「チェンソーマン」はアニメ化前から北米市場で単行本が売れていますが、アニメ配信でさらに単行本の普及に拍車がかかりそうです。
クランチロール、欧州事業再編
そのクランチロールですが、欧州の独立していたフランスの「KAZE」、ドイツの「アニマックス」を統合するというニュースが伝わっています。特にフランスのKAZEはアニメ配信だけでなくフランス市場で漫画の出版事業でも大きなシェアを持っています。クランチロールは現在は「北米のアニメ配信会社」というイメージが強いですが、フランスの出版事業を今後どうするのかという部分は会社全体の戦略を左右することになりそうです。(もしクランチロールがこれから日本のマンガの翻訳版の出版事業を強化するとなれば、VizMediaの強力なライバルが登場することになります。)
映画「呪術廻戦」、海外興行収入が100億円突破
日本のアニメの海外進出の最近の柱の一つが劇場版の映画館での上映です。その中で、映画「呪術廻戦」の海外興行収入が100億円を突破したという話題。どのぐらいすごいかというと、北米の日本の映画市場、歴代4位だそうです。
テクノロジーニュース
NFTを買えば「バットマン」のストーリーに意見できる?
北米のエンタメ企業の間ではWeb3のテクノロジーのひとつ、NFTの利用が広がっています。例えばWarner Brothers Consumer Products と DC Comicsは「バットマン」のNFTを販売しました。記事によるとこのNFTのオーナーは将来のバットマンのストーリーやキャラクター、アートデザインに意見できる可能性があるそうです。
私はNFTの本質は値上がり益を狙うのではなく、コンテンツを中心としたコミュニティの形成のためのツールだと考えています。とすると、日本のコンテンツ企業もこうしたバットマンの活用方法は作品によっては有効なのかもしれません。
インスタグラム、NFTに対応
NFTへの関心はコンテンツ企業にとどまりません。テクノロジー企業も関心が高く、このインスタグラムの動きもそのひとつ。一部のインスタグラムを使うクリエイターに対し、自分のNFTをファンに提供できる機能の提供を始めたというものです。NFTをやり取りできるプラットフォームとしてはOpenSeaが有名ですが、プラットフォームを持つWeb2企業が参入すれば競争は厳しくなりそう。クリエイター側としてはどのプラットフォームが自分のファンにとってNFTを入手しやすいか考えることも迫られそうです。
EBay、NFTマーケットプレイス企業を買収
Web3の考えに基づいた企業の活躍が目覚ましいですが、すでにプラットフォームを持つWeb2企業も座してみているだけというわけではありません。こちらは個人間売買サイトを手掛けるEBayによるNFTマーケットプレイス企業の買収という話題です。EBayは外部企業と提携し、すでにNFTコレクションを発表しています。今回の買収は、NFT事業への注力のひとつなのかもしれません。
Moonpay、大手映画会社とNFTプラットフォームを立ち上げ
NFTのプラットフォームという点では新規参入も相次いでいます。こちらは、Moonpayというクレジットカードなどで仮想通貨を購入できるサービスを提供する企業が、ユニバーサルピクチャーズなどと組んでNFTプラットフォームを立ち上げるというもの。映画会社のコンテンツを利用したNFTが提供されると想定されますし、Moonpayのサービスと組み合わせれば仮想通貨を持っていなくてもNFTをクレジットカードで変えることにもつながります。NFTの一段の普及を後押しすることになるでしょう。
公開した絵が勝手にNFTとして販売されたらどうする?
NFTの普及、プラットフォーム間の競争と市場は広がっているものの、誰もがNFTのもとになるイラストレーションをかけるわけではありません。とすると悲しいかな、勝手に公開されているイラストレーションをNFTとしてしまう例も出てくる。この記事はそうした被害にあったクリエイターがいかに取り下げに至ったかをまとめたものです。そろそろクリエイター側も「NFTはやっていない」と事前注意をしておく時期になってきているのかもしれません。海外のファンが多いクリエイターなどは要注意だそうです。
メタバースの標準化団体が結成 Metaなどが参加
Web3で注目されているもうひとつのテクノロジーがメタバースです。すでにMetaを含む複数の企業がメタバース空間を立ち上げていますがこの度標準化団体が結成されました。個人が自分の個人情報を保有しながら複数のプラットフォームを行き来することが想定されるWeb3の世界では、技術の標準化は重要なポイントです。早いタイミングで標準化が進めば普及を後押しすることになります。「メタバース進化論」でバーチャル美少女ねむさんはMeta(旧・Facebook)の作るメタバースがオープンネットワークではなく、利用者の囲い込みになることを警戒していました。今回標準化団体にMetaが入ったことで、少なくともMetaは標準化の方向にそろえようという意思が今のところはあるのかもしれません。
ソラナラボ、Web3スマホを発表
そしてそのプラットフォーム競争の中で一歩先を行くのがブロックチェーンプロジェクトです。ブロックチェーン「ソラナ」を開発するソラナラボはWeb3に特化したスマートフォン「Saga」を発売すると発表しました。予約状況もブロックチェーン上に記録されるためリアルタイムでみられるのですが、なかなか好調な出足だそうです。
サイズやメモリーは既存のスマホの中程度ぐらいですが、秘密鍵の保護プログラム、NFT電子市場や分散型取引プラットフォームを搭載するいった特徴を持ちます。Web2の世界で私たちが身に染みて実感しているように、覇権(分散志向のWeb3でそういう方向性があるのか疑問ですが)を取るには、ソフトとハードのプラットフォームのどちらも抑えることが優位性につながっていました。ソラナはその点で一歩先に踏み込んだことになります。
NFTのお祭り「NFT.NYC2022」開催 現地リポート続々
6月20~23日、NYCでNFTのお祭り「NFT.NYC2022」が開催されました。日本からもNFT関連の人々が大勢参加され、一部の方はリポートを公開されています。
実はこのイベントでは、MADworldや講談社、Animoca Brands Japanが共同で参加しており、「GHOST IN The SHELL」や「Fairy Tale」のNFTを展示していたそうです。
NFTホルダーも順調に国内外で増えていることですし、世界のいろいろなところでWeb3関連のイベントは細分化されながら増えていきそうです。
今週の注目プロジェクト
「ルパン三世」シリーズのNFT発売へ
おそらくこれから増えてくるとみられる「世界で人気のある日本コンテンツ×NFT」のひとつ。コンテンツ企業がいかにWeb3と関係を持つかは悩ましいところですが、NFTの発行というのは第一歩として有効でしょう。
『キャプテン翼』がメタバース・Web3ゲームプラットフォームの「The Sandbox」と提携
海外人気が高いキャプテン翼も当然進出してきますよね。こちらは「バーチャルな土地「LAND(ランド)」で、「キャプテン翼LAND」の開発を進め、サッカー場などの施設やキャラクター提供を目指すとのこと」です。将来的にはキャラクターのNFT販売まで踏み込むのでしょうか。(その場合複数の人が1人のキャラクターのNFTを持てるのかどうかとか考えてしまう。●体限定発売とかなのでしょうか)
ホテルのメンバーシップ、NFTで発売
こちらは非常に面白いプロジェクトです。NFTで販売するのは「NOT A HOTEL」が展開するホテルに宿泊できるメンバーシップ。しかもメンバーは毎年ある日がホテルに泊まれる日として設定される。自分で利用してもいいし、難しければNFTとして誰かに転売することもできる。既存のホテル会員権などの仕組みに比べると「鍵が届いた日に旅先が決まる」というサプライズ感、セカンダリーマーケットで販売できる仕組み、誰かにプレゼントできるという点で優れていると思います。実際に鍵が届いて、旅をしてみたらさらに思わぬサプライズが待っていたとなれば、NFT自体の価値もさらにあがりそうです。
ファンを作りコミュニティを形成するためのNFTとしてよく考えられ、参考にしたい仕組みです。
注目イベント
Web3、NFT関連のイベントは7月に日本でも開かれます。
こちらのサイトにまとまっています。テクノロジー中心からテクノロジーと実装のブリッジまで幅広い。私はNon Fungible TokyoとWeb3 conference 2022とStar Web3 Seminarに参加する予定です。
追記
毎週参考にしている菊池健さんのマンガ業界ニュースです。やっぱりうれしいのは、縦読みフルカラーコミックアプリ「HykeComic」の正式サービススタートですよね。ちょっとなかなかWebtoonにはまることができなかったのですが、先日HykeComicさんの作品紹介のスペースを聞いていたら「これは」というものがありました。ぜひ新しい雑誌を立ち上げたぐらいの気持ちで続けていってほしいし、ここから映像化作品とかもでてきてほしいです。(可能であれば韓国のWebtoonのように早くに英語・スペイン語あたりを対応するといいのではないかと思います)
今週はここまでー。Web3の記事は理念なども含めてまだ消化不良な記事が多いのですが引き続き勉強していきたいと思います。
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