私の静かな夏休み /madoromi diary 2020 summer #1DENIM HOSTEL float
このマガジンでは、まどろみ文庫を運営するDENIM HOSTEL floatがある岡山県倉敷市児島唐琴町とそのまわりのとっておきの読書スポットとそこで読むのにぴったりな本を紹介していきます。
ちょっと時間を巻き戻してまずは2020年の夏から。
巻末にスポットと本の詳細をまとめています。
それではどうぞ、ごゆっくり📚
-DAY 1-
今年の夏は、オリンピックも、地元の花火大会も、いつもクーラーの聞いた部屋で見てる甲子園も、友達と今年こそはいこうねって話してたフェスも、全部消えてしまったから、なんだか静かな毎日でした。
家でダラダラするのも最高だけど、このまま夏を見送るのはさすがにちょっと寂しいな。ふと、思い立った私は、本を片手に旅に出ました。
目的地は、瀬戸内海を望む小さな丘の上に立つ宿DENIM HOSTEL float。
JR新大阪駅から新幹線とマリンライナーを乗り継いで、片道1時間半で最寄りのJR児島駅に到着。関西からだと意外と遠足感覚で行けちゃいます。
JR児島駅からは、バスがおすすめ。タクシーやレンタカーもいいけど、バスだとちょっとその土地に住んでる人の気持ちが味わえます。
バスに乗った後は、児島の観光名所 ジーンズストリートを横切ってしばらく走ると、海が見える道に出ます。突如現れる瀬戸内の壮大な風景に見惚れているうちに王子ヶ岳登山口駅に到着。DENIM HOSTEL floatは目の前は海、背後は山、右と左は1本の道路のなんだか秘密基地みたいな場所にあります。
floatのおすすめポイントはたくさんあるけど、一番はやっぱり部屋からの絶景。椅子に腰を下ろすと水平線が目線の高さに来るので、本当にふわふわ海に浮いている様な気持ちになります。
部屋の壁はデニムのカラーを意識したインディゴブルー。
海と、空と、いろいろな青に囲まれています。
部屋にはテレビも時計もないので、何かに夢中になっていると、あっという間に時間が過ぎていることもあります。この感覚は、子どもの頃に公園で遊んでいた時とかに近い気がします。
海辺の部屋に泊まると、夜眠る直前の記憶も朝目覚めた直後の記憶も、遠くから微かに聞こえる波の音が入っていることがあります。心地良くて安心出来て、どこか懐かしいそんな音に満ちています。
そこにはずっと優しい時間が流れていて、忙しい毎日や暗いニュースで知らず知らずのうちにトゲトゲした心をそっと包んでくれます。
ここは世界の中心でも果てでもないけど、ほんの少しの間、日常から自由に
なれる場所で、想像の世界にいつもより深く潜れる場所です。
海って意外と飽きないもんで、結局初日は、紙の上で光る文字と夏の太陽でキラキラしてる海を往復してたら日が暮れました。
私の静かな夏休みはそんな小規模な逃避行から始まりました。
明日は何処へ行こうかな。
<DAY 2につづく>
book:「庭とエスキース」奥山淳志 みすず書房 2019
今回紹介する「庭とエスキース」はある運命の出会いについてのお話。
って言っても、ロミオとジュリエットとか君の名はみたいなラブストーリーではなくて、出会うのはカメラマンの青年と山の中に小屋をつくってひとりで住んでるおじいちゃん。青年は、偶然出会ったこの風変わりなおじいさんの不思議な魅力に憑りつかれ、おじいさんの死がふたりを分かつまでのまでの14年間折に触れて彼の小屋を訪れてはたわいもない話をして写真を撮る。
人が生きることの美しさと哀しさ、同じ時間を共有できることのかけがえのない喜び、出会いと別れのどうしようもなさ。そんな、しばらく忘れていたけど心の奥底にしまっていた様な感情が静かに込み上げてくる一冊です。
location: DENIM HOSTEL float 客室
model:haruki
text&photo:yuki
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