図書室 月桃

福岡/市崎 “司書のいる本屋”の司書 ⁡ 雑記とレファレンスを少し | ゆっくり…

図書室 月桃

福岡/市崎 “司書のいる本屋”の司書 ⁡ 雑記とレファレンスを少し | ゆっくりどうぞ |

マガジン

  • 月桃記

    調 | つりあいがとれる。ととのう。ととのえる。 音声・文章などの展開に感ぜられる気分。

  • 考 -kou-

    月桃のなかで本と一緒にかんがえたこと

  • 学 -reference -

    月桃のなかで誰かと一緒にしらべたこと

記事一覧

夜が秋になっていて

空の色と三日月の色が深くて静かで 秋だなあと思った 夜の虫も秋になっていて 深呼吸したくなる 0810

図書室 月桃
2週間前
4

パリ五輪がはじまっていた

パリ五輪がはじまって なんだかんだと思いを巡らせ あんまりにも世間と乖離しているわたし 家にテレビないからな たまに実家へ帰ってだらだらとニュースを眺めていても …

図書室 月桃
3週間前
2

ふつうにいたい

普通でいたい 何者ともいえぬひとり ただひたすらに私でいたい 昨日仕事中のはしりがき みんなと同じでいたいのではなくて 私という範囲内の通常を行使させてほしい 特…

図書室 月桃
3週間前
6

調

“ 調 ” 月桃を始めるときにこの場所の軸にしようと決めたこと 重なり合って散らばっていたひとつひとつの考え事たちが きれいに整列してくれたから たくさん言葉を並べ…

図書室 月桃
4週間前
3

零したくないもの

最近のこころ綻ぶ瞬間たち 夏の空 入道雲 夕焼け 夏の草木 温もった川水から逃れてひと所に集まる水鳥と亀 木漏れ日を日傘に浴びるふたりの老女 汗 護国神社の朝日 早起き…

図書室 月桃
1か月前
4

夏の読書

暑すぎてやる気が出ないのはたぶん私だけじゃない 「あつーーい」なんて 言わなくてもわかるような台詞を一日中言っている 夏が来たな、とすこし前に思ったはずなのに 夏…

図書室 月桃
1か月前
11

あつーーーーーーい!

だるだるの身なりで水族館に行きたい、𓆞 𓇼𓈒𓆉 𓂃𓈒𓏸 𓂃◌𓈒𓐍 0719

図書室 月桃
1か月前
1

#夏 のはなし

びっくりした あの子のnoteを読んで 夏のはじまりを愛らしく描いていて好きな文章だななんてことを思っていた 一方的に知っているだけの子なのに その言葉選びのおかげか …

図書室 月桃
1か月前

雨の日、わたしと本

夏 朝に月桃を開くようになってから 涼しい時間は 読みたい本とノートと辞書を抱えて 外の机で読書に勤しむようになった 街ゆく人と挨拶をしながら出会う言葉たちは 心に…

図書室 月桃
1か月前
6

志賀直哉と木漏れ日の彼女たち

バイトの買い出し中 木陰を歩く2人の女性 個人的に好みの あの空気を纏ったマダムふたり 木漏れ日を日傘に浴びながら ひとつずつ歩くふたりは 志賀直哉の話をしていた 「…

図書室 月桃
1か月前
4

金曜日、雨の夜、若者たち

霧雨の夜 向こうから 自転車を漕ぐ“いかにも”な三人の若い男たち 馬鹿みたいに大きな声で 愛の歌を歌いながら わたしの横を過ぎていった おい、青春だな なんて思いな…

図書室 月桃
1か月前
5

余白に含まれるもの

立川談志が手塚治虫について話す番組を観た 昨日、再放送していたのをたまたま観たのだけれど 久しぶりにテレビ画面に釘付けだった あの語りに聴き入っていた ああいう大…

図書室 月桃
2か月前
2

梅雨

夏の日照りが続いていたここ数日 やっと梅雨がきた 止む予感のしない雨を眺めながら 地を打つ雨音を聞きながら 夏の雨の匂いを吸いこみながら 今日の本を選ぶ 頁を捲る 言…

図書室 月桃
2か月前
4

『東京都同情塔』を読んだ

単行本ではなくて掲載誌で読んだせいもあるだろう はじめ文体への拒否反応があったけれど 気づけばわたしも九段理江の建築物に住んでいたと思う あんな爆薬みたいな小説久…

図書室 月桃
2か月前
5

所有する、とは 、大人になる、とは

いろいろのものを手放したい 最近よくわたしの中にやってくる気持ち そこにあるものがわたしに所有されている 、、、 これがどうもむずがゆい、なんかいや 手放したい衝動…

図書室 月桃
2か月前
4

あの花のこたえ

note見ました けやき通りの香り名前わかりましたか と、 あの香りのこたえを教えてもらったのが少し前のこと 仕事に行く楽しみができました なんてよろこんで 思ったより…

図書室 月桃
2か月前
3

夜が秋になっていて

空の色と三日月の色が深くて静かで 秋だなあと思った 夜の虫も秋になっていて 深呼吸したくなる 0810

パリ五輪がはじまっていた

パリ五輪がはじまって なんだかんだと思いを巡らせ あんまりにも世間と乖離しているわたし 家にテレビないからな たまに実家へ帰ってだらだらとニュースを眺めていても 我ながら心配になるくらい知らないことばかり 今日は 図書館駐車場を横切る車体に反射した光が 図書館いっぱいをきらめかせた瞬間にとても感動した そんなことばかりに心が向いている わたしの夏 0803

ふつうにいたい

普通でいたい 何者ともいえぬひとり ただひたすらに私でいたい 昨日仕事中のはしりがき みんなと同じでいたいのではなくて 私という範囲内の通常を行使させてほしい 特別になりたいわけではなくて ごくありふれた私という判断をさせてほしい 無理してまでも頑張らせないでほしい そう思うのはきっと私が上に行かなきゃと思い込んでいるから 背伸びをすることが悪いことなんじゃなくて、私には合わないということ だから背伸びしないままの私でいることを許されたい あれ、堂々巡りしているよ

調

“ 調 ” 月桃を始めるときにこの場所の軸にしようと決めたこと 重なり合って散らばっていたひとつひとつの考え事たちが きれいに整列してくれたから たくさん言葉を並べなくても文章をつくることができるわたしを取り戻した 考え事が減ったわけではないのだけれど心地よい 自分を調えた そういえば父親がはじめて入院したのが数日前のはなし 怪我だから大したことはないのだけれど なにせ退屈に耐えられぬ人だから きっといろいろに思うことがあるんだろうと見当される せめてもの退屈しのぎに

零したくないもの

最近のこころ綻ぶ瞬間たち 夏の空 入道雲 夕焼け 夏の草木 温もった川水から逃れてひと所に集まる水鳥と亀 木漏れ日を日傘に浴びるふたりの老女 汗 護国神社の朝日 早起き 水 葉に透ける陽射し 露草のつぼみ mol-74のおと おはようございますのいろんな顔 学校休んだひと 氷水で素麺をしめるときの温度 百日紅の花と青空 雨 通り雨 閉店後の灯り 木陰で汗を拭うひと “今日会わない?”とか“このあと暇?” 日の出 本を開くひと 本を選ぶひと 言葉に満たされていくひと わたしに

夏の読書

暑すぎてやる気が出ないのはたぶん私だけじゃない 「あつーーい」なんて 言わなくてもわかるような台詞を一日中言っている 夏が来たな、とすこし前に思ったはずなのに 夏はこれからか、と日々わたしの夏は更新される 月桃の中も11時を回ると外気との境がゆらぐ 本を開くものの 意識は文字と風とのあいだで行き来していて 湿度の高い空気を必死に吸い込む お客さまとゆっくり話なんてしていたら体温は上がり 互いに汗を伝わせながら夏の会話というものを噛み締めることになる それでも、ときお

あつーーーーーーい!

だるだるの身なりで水族館に行きたい、𓆞 𓇼𓈒𓆉 𓂃𓈒𓏸 𓂃◌𓈒𓐍 0719

#夏 のはなし

びっくりした あの子のnoteを読んで 夏のはじまりを愛らしく描いていて好きな文章だななんてことを思っていた 一方的に知っているだけの子なのに その言葉選びのおかげか “あの頃友達の心の中”みたいでうれしくなったりするなんてことも思っていた そんなことを思いながらスクロールを続けると 末尾に我が物顔で「あなたへのおすすめ」が流れてくる そしてそこには 「#夏」の記事がとりどりのタイトルでずらーっっっと並んでいた 特別だったはずの何かが 沢山の人にいやに簡単に消費されてい

雨の日、わたしと本

夏 朝に月桃を開くようになってから 涼しい時間は 読みたい本とノートと辞書を抱えて 外の机で読書に勤しむようになった 街ゆく人と挨拶をしながら出会う言葉たちは 心に涼をもたらしてくれる 夏は俄雨に降られることが多い 降ったり止んだり 強くなったりやわらかい雨になったり 今朝も目が覚めると外はザーザー降りだった 月桃に着いて子どもたちと朝の挨拶を交わし終えるころ そろそろ雨もあがったかと いつものように外の机へ落ち着く 今日は月桃におく新しい詩集『attoiumani_n

志賀直哉と木漏れ日の彼女たち

バイトの買い出し中 木陰を歩く2人の女性 個人的に好みの あの空気を纏ったマダムふたり 木漏れ日を日傘に浴びながら ひとつずつ歩くふたりは 志賀直哉の話をしていた 「志賀直哉さん」と呼んでいた 翌日にもその景色を忘れられず 図書館で志賀直哉の本を探した 全集と志賀直哉宛書簡集を借りた 幾年か前に尾道で 志賀直哉の本ばかりを置いた店に入ったことを思い出した わたしはこの9月に尾道を経由して岡山をたずねる予定がある あらあら繋がってしまった、という心地 あの店には立ち寄ら

金曜日、雨の夜、若者たち

霧雨の夜 向こうから 自転車を漕ぐ“いかにも”な三人の若い男たち 馬鹿みたいに大きな声で 愛の歌を歌いながら わたしの横を過ぎていった おい、青春だな なんて思いながらニヤついていたわたしは もうあの頃には戻れないということでよいですか 若者よ、 雨だったから許せたんだぞ まだ21時だったから許せたんだぞ 深夜だったら、、! 、、許せてしまったかもしれんな。 なんならカメラ向けてたかもしれんな。 きっとわたしは とっくの昔に大人になっていたんだと気づかされる そ

余白に含まれるもの

立川談志が手塚治虫について話す番組を観た 昨日、再放送していたのをたまたま観たのだけれど 久しぶりにテレビ画面に釘付けだった あの語りに聴き入っていた ああいう大人は今どこにいるんだろう 居なくなってはいないはずなのに 呑みこんだことばに あの間に あの瞳に 一番伝えたかったことがあって それがわたしにも分かる ああ、これがすべてなんだと伝わる そんなことを語り部がいう意味 簡単なことばはよく拡散されよく目立ち、遠く大きく響きやすい なぜならそのことばは軽いから 風に

梅雨

夏の日照りが続いていたここ数日 やっと梅雨がきた 止む予感のしない雨を眺めながら 地を打つ雨音を聞きながら 夏の雨の匂いを吸いこみながら 今日の本を選ぶ 頁を捲る 言葉に身を預ける 雨の日は図書室へ 雨の日の月桃は贅沢です 今日のお客さまは 小雨の中自転車できて ひとしきり本を読み、雨音に包まれ、風に吹かれて そして少し強くなった雨を浴びながら 自転車で帰っていかれました そのつもりで来たんだろうなという身なり そんな姿がうれしくて わたしも帰り道は雨に見惚れたりして

『東京都同情塔』を読んだ

単行本ではなくて掲載誌で読んだせいもあるだろう はじめ文体への拒否反応があったけれど 気づけばわたしも九段理江の建築物に住んでいたと思う あんな爆薬みたいな小説久しぶりに読んだ 感想なんていらないから 言葉を愛する人にたくさん読まれてほしい 月桃に「読んだよ」とだけ知らせに来てほしい 0617

所有する、とは 、大人になる、とは

いろいろのものを手放したい 最近よくわたしの中にやってくる気持ち そこにあるものがわたしに所有されている 、、、 これがどうもむずがゆい、なんかいや 手放したい衝動に駆られる 一方で 所有させないで欲しいというのは 責任逃れな気もする そもそも所有しているという考え方も少々傲慢だなと思うのに わたしのものではないままそこにいて欲しいなんて わがまま極まりないよなあ 少女漫画に出てくるあの最後に成敗される悪い男と同じだなあ なんて思う わたしの相手は人ではないのだけれど

あの花のこたえ

note見ました けやき通りの香り名前わかりましたか と、 あの香りのこたえを教えてもらったのが少し前のこと 仕事に行く楽しみができました なんてよろこんで 思ったより上空に咲いてるんで確かめようもないですが、、 とのことで 自転車をよろよろ走らせながら上空を眺める自分を想像した 今日はカメラを持って仕事に行く あの花を写真に残したい テイカカズラ あのあと何度もあの花には振られていた 一度目は満開に咲き乱れる彼らを見つけたけれど 自転車の速さに心を置いていかれて止