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プライドではなく「覚悟」を持つということ。

歳を重ねていくと、プライドだけが高くなっていくタイプの人がいる。

10代や20代のときの考えや価値観は、そのときには有用で役立つものであったかもしれないが、30代や40代、あるいは50代になっても昔のままの考えや価値観を持っていると、仕事や恋愛、人間関係などがうまくいかなくなるケースも多い。

私は同年代の友達や知り合いはいなく、ほとんどが年上の人たちである。同じ30代でも歳が離れていて、40代や50代の友達もいる。幅広い年代の人と話ができるのは視野が広がるのでとても良いことだ。

私のように色々と考えがちな人は、ちょっと油断すると自分の考えで頭がガチガチに固まってしまうので、定期的に性別や年代、考え方や価値観が違う人と交流することが大切だと実感している。

今回はその中の一人、Nさんの話である。

Nさんは昔の職場で仲良くなった人であり、年齢は50歳、独身で今は派遣社員として働いている。彼のことは嫌いなわけではないけれど、私とはさまざまな点で考え方が真逆なタイプである。

たとえば、彼はもう50歳という年齢で自分の人生や将来を悲観的に考え、ほとんど諦めて生きている。

これから先も良いことはなく、毎日仕事で疲れて休日は体を休めて寝るだけ、友達もいないし恋人もできない。タバコを吸っているので近い将来病気になって死ぬんじゃないか、と彼は笑って言っていた。

綺麗事に聞こえるかもしれないが、私の考えでは人生は何歳からでもやり直せるし、今までの悪い習慣を改善していけば、何歳からでもハッピーな人生を送れると信じている。

たとえお金がなくたって、結婚できなくなって、それが人生の幸せを決めるわけではない。それらは一つの物差しであって、それらがなくても楽しい人生は歩めると本気で信じている。

だから彼も悪い習慣さえ直す気があれば、もっと楽しく生きられるのではないかと思う。

お金に不安があるのであれば転職したり、副業したりすればいい。もう50歳だからお金なんて稼げないというのは単なる言い訳だ。それは「自分には稼ぐ能力がない」と決めつけ、行動するのがめんどうなのでそう自分に言い聞かせているだけである。

友達がいないと言うのであれば、何かしらのコミュニティを見つけて参加してみればいい。恋人が欲しいのであれば、マッチングアプリをやってみるのもいい。

病気になるのが怖かったり、体が重くて体調が重い日が多いというのであれば、タバコとお酒をやめ、ジャンクフードではなく健康的な食事をすればいい。

これらはすべて自分次第でどうとでもできることであり、決してできないことではない。

しかし、彼は頑なに行動しようとしない。

なぜか?彼のプライドが邪魔をしているからである。

もう50歳なのに、今さら仕事を頑張るのは馬鹿らしい。お金は欲しいけど、稼ぐよりも適当に気楽に生きていたい。友達も欲しいけど、コミュニティに参加するのは恥ずかしい。マッチングアプリもどうせ良い人なんていないし、そもそもこんなおっさん誰も相手にしない。そして今さらタバコとお酒なんてやめられない。

これが彼の主張である。

すべて「できない」ベースで物事を考え、「どうすればできるか」ではなく「なぜできないのか」ばかりを考えて今の自分を正当化しているように聞こえる。

何をするにもかっこ悪いことはしたくないとプライドだけは一丁前だが、そうやってプライドだけ一丁前で現状に嘆いてばかりの今のあなたの人生はかっこ悪くないのだろうかと聞きたくなる。

もちろん、彼が今のままで十分幸せだ、楽しい人生を生きているというのであれば何の問題もないだろう。どんな生き方をしようが、自分が納得できていればそれでいいからだ。

でも、現状に不満を抱え、会うと愚痴と文句ばかり言ってくるのであれば、少しは努力して現状を変えてみようとする気にはならないのだろうか。

普通ならこうした友達はネガティブな影響を受けるだけだから、付き合わないのがいいと思うだろう。

だが、さきほど言ったように私は彼のことは嫌いではないし、話をしていて腹が立つわけでもイライラするわけでも、ネガティブな気分になるわけでもない。

ただ純粋になぜそこまで不満を抱えているのに、自分を変えようとしないのかが不思議なのである。

50歳という年齢が自分を変えるのに多大なエネルギーを必要とするのはわかる。30代からでも自分の生活や考えを変えるのはとても難しい。それなら50代になればもっとも難しいだろう。

でもそれは難しいだけで不可能なわけではない。

人は歳をとると変わらないとよく言われるが、そんなことはない。それは覚悟の問題なのだ。

本当に危機感を感じ、今までの生き方を変えたいと本気で思えば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人生が変わっていく。

実際、もう一人の50代であるSさんは、50歳になるまで暴飲暴食し、お酒もタバコもガツガツやるタイプだったが、ある日めまいがして病院に行ったことをきっかけに生活習慣のすべてを作り変えた。

今ではタバコもお酒もやめ、毎日22時には寝て5時に起き、散歩してから仕事へ行き、帰宅したら必ず自炊をし、ゆっくりお風呂に入って寝るというシンプルな生活をしている。

Sさんはめまいという症状をきっかけに自分を変えた。つまり、病院に行ったその日から自分を変えると覚悟を決めたのだ。

若い頃に持っていたプライドを、歳をとってからも持ち続けると痛い目に合う。そのプライドは単なる頑固とわがままに変わり、自分を変える障害になってしまう。

何歳だろうと覚悟さえあれば自分も人生も変えられる。ちっぽけなプライドを持ち続け、自分を守っていても何も変わらないのだ。

プライドなんてものは捨て去り、これまでの生活への執着を断ち切れば、新しい人生の道が見えてくる。

生き方はいつでも変えられる。必要なのはお金でも意志の強さでも行動力でもない。

ただひとつ、覚悟さえあればいいのだ。


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