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顔を貸す

今までしてきたいろんな仕事(+らしきもの)について書いています。

今回は高校生の時の瞬間アルバイト(?)。内容はちょっと微妙なんですが、もう何十年も経っているので時効ということで。

今どきの良い子はマネしてはいけません。

少女漫画家ファンクラブにて

高校生の時、演劇部の友人と某漫画家さんのファンクラブに入っていました。会費は郵便局の定額小為替で支払い、手づくりの会報が郵便で届きます。あの頃の推し活は郵便局頼り。

そのほかの活動として時々都内で会合がありました。お花見など外に出ることもたまにありましたが、会場はたいてい、お茶の水にあった「名曲喫茶 丘」。皆で奥のボックス席のようなところに陣取ります。

ちょっと通好みの漫画家さんだったせいか、メンバーは出版社勤務の方やアングラでは少々有名だった劇団の関係者がいたりして大人&ややアカデミック&マニアックな雰囲気。私たちは唯一の現役高校生で、少し背伸びして毎回参加していました。

今のように情報が溢れていない時代。「名曲喫茶 丘」での会合は貴重な情報源でもありました。コミケもそんなにメジャーではない頃で、会場が変わるの?とか今年はやるの?とか、そういう情報(うわさ)もここで得ていました。

コミケはその頃に何回か行きましたが、今とは様子がだいぶ違っていましたね。ニュースを見るといつもしみじみ思います。

突然、仕事のオファー

ある日、いつもの通り「丘」に集まってあれこれ話していると、劇団関係者のメンバーが「ちょっとアルバイトあるんだけど、みんなどう?」と切り出しました。

顔を貸してくれたら3,000円払うというのです。なんだそれ?

聞いてみると、ある雑誌の読者投稿ページで、記事はあるんだけど載せる顔写真がないというのです。で、顔だけ借りたいので、写真を撮らせてくれたら3,000円払います、と。ちゃんと雑誌の名前と発売日、記事内容なども説明してくれました。

顔写真を撮らせるなんて今だったら警戒するところですが、当時はデジタルではなかったのでその辺わりとおおらか。そこにいた全員が面白がってやることになり、そのまま「丘」の店内で撮影会が始まりました。この辺りの席は奥まっていてオープンなのに個室…ぽくはあるものの、自宅のようなふるまい。傍若無人。

撮影会といっても壁の前に立って、順番に証明写真のように一眼レフで撮られるだけなんですが、その場で3,000円もらいました。

「私の節約術」

自分たちの顔が素材として使われるというのが面白く、発売当日、早速本屋に買いに行きました。ところがその雑誌、女性向けとはいえアダルト系の記事や袋とじ(!)のページもあり完全大人向。素知らぬ顔でレジに出して購入し、高校へ……。

今考えると、そんな本を顔が知れてる近所の本屋で買うってどうよとか、なぜ学校へ持っていった、とか疑問はありますが、とにかくなぜか演劇部の部室で部員全員で掲載ページを確認。

該当記事は「私の節約術」という特集。神妙な顔をして写っているファンクラブ会員に違う名前と年齢・職業がくっつき、そこには妙に慎ましい家計の節約術が切々と綴られていて(完全にご家庭記事)友人と大笑い。

さらに友人が20代のOLということになっていたのに対し、私は30代の主婦になっていて(高校生なのに!)、これはちょっと納得がいかないと憤って、そしてまた大笑いしたのでした。

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