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少子化を喜ぶ 食糧と所得

少子高齢化社会.それは今の日本を代表する言葉のように国民の中で叫ばれ、政府のマニュフェストとしても掲げられる問題になった.

現場では医療看護系をはじめ、運送や教育現場にも影響が出始めていると言われている.

そんな少子高齢化が叫ばれる社会になった今日にあざ笑うかのように出題したテーマだが、これは全くを持って間違っていない.子供が減ることは喜ばしいことなのである.

誤解がないように言っておくが私は別に脱資本主義者ではない.これは本当に喜ばしいことであると述べる善良な市民であることを前に出しておく.なぜならば少子化は所得が高く、国としての発展の規模が一定上ある土地でしか起こらないからだ.

次の資料は世界の所得別に統計を出した資料である.

https://datatopics.worldbank.org/sdgatlas/archive/2017/the-world-by-income.html

日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国が赤くなっているのはhigh incomeと言った12,476ドル以上の所得が平均としてある国々である.

逆に真っ青で示されているのは平均所得が1,025ドル以下の国々であるコンゴ共和国や中央アフリカと言った国が挙げられる.

2017年の資料と少し時間に影響はあるものの今の社会とそれほど変化はないだろう.

アフリカの国々では未だ貧困が厳しい現状があり一部の生活者、約1億人弱の人は毎日水を汲むために往復数十キロを歩いている.教育を受けることもなければ多くの子どもが1歳を迎える前に病気や飢餓によって死亡してしまう.

こういった国々での出生率は圧倒的に多い.例えば先ほど例に出したコンゴ民主共和国ではじめ女性一人あたりの出生率は5.56人となっている.この内の約0.6人の子どもが死亡している.(1000人中約60人弱の死亡の割合だ.)この幼児死亡率の割合は年々低下し平成18年時で1.3人が死亡していた割合を考えると医療制度などの充実さや教育の問題が徐々にカバーできていると思われる.

こういった国々もいい世界になっているという証拠だ.

少し話は逸れたが、今の日本は少子化だが幼児1000人あたりに2人しか死んでいない国だ.割合にして0.002%という驚愕的な数字を叩き出している国だ.要は女性一人あたりの出生率は低くとも死亡率が圧倒的に低い国として立っているということだ.

先ほどのコンゴなどの死亡率が高い国々では必要以上に子どもを産む傾向がある.アフリカに大家族が多いイメージがあるかもしれないがその通りで、子どもに死なれてしまうと農業や生産物の面で影響が出てしまうため、必要以上に子どもを産む必要があるのだ.

その点、日本では確実に「産んだら守る」というプロセスが出来上がっている.今は家で子どもを産む人はいなくなったし、隣町から医者が来るなんてことはほぼない.

人間は病院で始まって病院で終わると言われるくらいに安全な環境下で管理され一定期間が過ぎるまで保護してくれる.

次に1988年の所得分布図を紹介する.

少し表現の方法が変わっているが先ほどよりも中国やインド、東南アジア諸国の所得レベルが下がっているのが見て取れる.

この国々、特に中国では世界の所得レベルを4つに分割した時に最低の部分に値している.

中国では文化大革命など政府の失敗が相次ぎ経済の面で冬を迎えていた.1980年代には平均出生率が女性一人当たり2.74人だったが、10年前の1970年で女性一人当たり6.09人と圧倒的な出生率を持っていた.

この10年間は多くな変化と言ってもいいだろう文化大革命が終わり社会に徐々に希望の兆しが見えはじめた頃だ.

今では完全に先進国と呼ばれる国の仲間入りを果たし出生率は女性一人当たり1.28人となっている.

ここまで資料となぞってきたように出生率というのは社会の所得と大きく関係している.所得レベルが上がり、社会が成熟してくると自然と出生率は下がるのだ.

それは医療制度もそうだが、大きな部分では教育が功を制している.今の時代は教育の中に「性教育」というのがスタンダードになってきている.セックスする時にはコンドームを使いましょう.ありきたりなワードだ.しかしそれを理解できているのは教育を受けれているからである.

教育レベルの低い国ではコンドームの必要性を唱える暇はないしそもそもコンドーム自体存在しているのか怪しい.その点教育を受けられるようになった子どもたちは自分たちで子どもを産むかどうかについてコントロールすることができる.

宗教を前に出されることも多いが、宗教は出生率にそれほど大きく影響を及ぼしていいないのもまた事実である.キリスト教(カトリック)の教えではコンドームの使用はタブーとされているがそれを守っているのは4割弱で6割の人々はコンドームを使用して避妊を行えている.神の教えは避妊にそれほど影響は与えられていないと言える.

自分たちのカバーできるキャパを考え自分たちで産むか産まないかの判断を下せているのは社会が成熟し、個人レベルで教育が一定水準まで達していることを示唆している.

そこを理解し女性一人当たりの出生率が低いことには喜びを感じるべきである.

世界の人口増加の要因はアフリカではなく寿命の拡大

よくアフリカなどの国では出生率が高く、今後の世界では食糧不足が深刻化していくだろうと言われることがある.しかしこれは半分正解で半分不正解だ.まず、今後人口が増加していくのはほぼ間違いないだろう.そしてアフリカの国々では人口が伸びていくのもまた事実だ.

しかしこの根底にある問題点は子どもの増加ではなく、成人の増加による人口増加であることを理解しなくてはならない.

次のデータは世界人口の推移予測を表している.

このデータから成人(20歳以上)の割合が年々増えていくことが理解できるはずだ.そして子供の数はほとんど増加していないことも理解できる.

実際に子供の人口推移では年間20億人から年間20億人に人口は推移していくと言われ、子供の数は横ばいになっていくと言われている.ということは今後の世界の人口増加の原因は出生率の多い国が子供の数を増やしてしまうからではなく、一定水準の医療制度と教育水準が向上した国の成人の数の増加によるものだと理解できるはずだ.

なのでアフリカの国々が今後世界の食糧危機を引き起こす国として考えるのは思い違いであって、それよりも先進国内で発生している食品ロスに目を向けていくべきだ.2100年になると人口は100億人規模まで拡大していくと言われている.その後は100億人で横ばいになると言われているが、今の世界に人口100億人を抱えるだけの食糧は残されていない.早急に食糧問題は解決しなくてはいけない問題だが、それをアフリカなどの出生率の高い国々に押し当てるのは間違っている.

だからといって人口を減らすべきだという話は間違っている.それは倫理観に欠けている.「汝殺すなかれ」は人の根底にある行動規範なはずだ.食糧のキャパを100億人まで広げられるのか.それはまだわからない.しかし解決しなければならない.

食品ロスの世界的問題点は先進国にある

この節では少しあなたのデータに対する見方を考え直すキッカケを作ろうと思う.君は大きいな思い違いをしている可能性がある.この節を見て少しでも考え方を改めてほしい.

これは世界の食品ロスを国の順番に並べたものだ.ではここで問題を出す.今の世界の食品ロスの問題を引き起こしている国はどこだろう.

多くの人が間違いなく「中国とインド」と答えるだろう.しかしそれは残念だ.正解はアメリカや日本、ランキングには見えないがヨーロッパ諸国も含まれるような先進国の国々である.

このグラフはよくメディアが取り上げたがるグラフだ.要は中国やインドではこれほどの食品ロスを発生させていると伝えたがる.

しかしそれは違う.国ごとに人口は大きく変わる.実際に一人当たりの食品ロスの現状を見てみると人口が12億人規模の中国では一人当たりの食品ロスは約75.7kgとなった.しかし日本はどうか一人当たりの食品ロスは約133.6kgだった.この数字は中国や韓国よりも高く数字で見ればアジアワースト一位の座にいる.

中国は人口の面でよく食品ロスの問題点を挙げられることが多いが、それよりも日本の方が深刻な食品ロス問題に直面していることがよくわかる.世界全体に目を向けてみるとイギリスでは約137kg、フランスでは約147.6kg、アメリカでは約100kgの食品ロスを発生させている.

これは中国やインドの問題なんかではない.食品ロスは先進国の問題点である.

この国規模での食品ロスで聞き慣れないような国が食品ロスのワースト上位に来ているのは少し意味が違っている.先進国の食品ロスというのは食べられたものの多くが廃棄されているが、発展途上国、一人当たりの労働賃金が低いような国、地域では食品の管理に問題がある.

要は冷蔵技術や長期保存技術が成熟していない、衛生管理上での食品のロスが起きているのだ.技術的な問題で食品ロスが出てしまうのも大きな問題である.

しかしこの問題の比重は先進国の食品ロスとはまた違っている.早急に解決しなくてはならないが、まず向き合うべきなのは先進国(一人当たりの労働賃金が高い国)の食品ロス問題である.

食品ロスを一つとってもその国の状況によって問題の根本的ないか部分に差がある.

だが1番強調しておきたいのは、世界全体でこの食料問題に向き合い、世界全体の人口を包摂できるレベルまで食糧のサプライチェーンの確保を考えていかなくてはならない.一国が解決できるレベルの問題ではない.

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