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RIPPLE〔詩〕

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2018年10月の記事一覧

とある泉のほとりで

とある泉のほとりで

 遠く隔たっているようで、すぐ辿り着ける国の、離れているようで、傍にある泉の話。

 立ち込める霧は視界の全ては遮らない。霧は、泉のまわりにある原生林や山々や、その輪郭と色合いをうまく柔和させている。目の前の光景をむしろ美しく、ただ美しく見せ、旅人らを妖しげに誘っていた。
 霧と凪は仲良くしていた。ここでは晴れやかな陽気よりも、閑寂とした空気の方が似合うみたいだ。快活な太陽が照らせば、すぐさま光が

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四行詩 12.

四行詩 12.

衣かへして抱きしめたのは

薄い紅のまま残った心

退く紅は秋の空色

今宵、別の色恋へと向かう
#詩 #短詩 #四行詩 #ポエム #エッセイ