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大豆田とわ子と三人の元夫 9話 感想

小鳥遊(オダギリジョー)との恋愛で、相手の気持ちがわからなくて彼を知りたいと思うドキドキした感じが視聴者に伝わって小鳥遊が輝いて見えた8話。


9話になって一転、小鳥遊はとわ子にパートナーになってほしいと言いました。
あとはとわ子が決断するだけ、となってからの小鳥遊の魅力が次第に色あせていく感じが、ドラマ全体がとわ子の心になって伝わってきました。

小鳥遊の会社、マディソンパートナーズに家宅捜索。株式不正取引の疑い。東京地検。とネットニュース。

かなり悪どいことをやってきて逮捕されるかもしれないマディソンの社長。
その社長を恩人と思って手足となり働いてきた小鳥遊。
しろくまハウジングも乗っ取ろうとして、とわ子を公私の切り替えして社長から追い落とそうとした小鳥遊。

そこまでして仕えてきた社長が逮捕されるかもしれないのに、小鳥遊は「これは僕にとっていい知らせです。社長は退任するでしょうし恩人と争うことなく旅立つことができる。しろくまハウジング買収も頓挫するでしょう。そしたらあなたも安心して社長を辞めることができる。支度が整ったということです」と嬉しそうに話します。


ひょっとしたら小鳥遊が旅立つためにリークした可能性もありますし、そこまではしてないとしても、彼の冷酷なほどの切り替えが鮮やかに描かれています。

しんしんが事件になるほどの悪目立ちして、必死にとわ子を止めて反対したのも嫉妬だけではありません。

パスタが落ちてきて粉をかぶったしんしん。
白髪頭のおじいさんのようになりました。


かごめ(市川実日子)が仕掛けたのでしょう。
その直後から、しんしんはまくしたてます。

「こいつは君を社長から引きずりおろそうとしている。それとこれとは別じゃない。だって君は働いて恋をする人なんだから。人は働く。人は恋をする。働く君と恋をする君は別の人じゃない。分けちゃダメなんだ。誰より僕が知ってる。働く大豆田とわ子を否定する奴は離婚されて当然だ。前例があるだけに未然に防ぐべきなんだ」

「人の孤独をうめるのは愛されることじゃないよ。愛することだよ。そして君には愛する人がいる。知ってる。僕のことじゃない。髭の人でもない。残念ながら君はあの人を愛してる。その人も君を」


かごめに背中を押されて大切なことを、自分の本心をめいっぱい伝えたしんしん。
かなり胸に響きました。
切なくて辛いけど立派な役回りだったと思います。

とわ子はずっと逃げていましたよね。
はっさく(松田龍平)がここにきて何度もとわ子に会いたいと言ったり会いに来たりしました。
はっさくもまた店のドアをがたんとかごめに揺らされて背中を押されて、自分の本心を伝えにきていたのです。


はっさくの本心はかごめのことが大好きだけど、とわ子のことも大好きで、かごめを想う二人でそんな気持ちを分け合って生きていきたいのです。

とわ子の本心は一番好きなのははっさくで、小鳥遊と一緒になることは、はっさくと結婚していた自分と同じ立場を小鳥遊に背負わせることになります。

とわ子「欲しいものは自分で手に入れたい。そういう困った性格なのかな?」
はっさく「それはそうだよ。手に入ったものに自分を合わせるより、手に入らないものを眺めてる方が楽しいんじゃない?」
とわ子「だからあなたを選んだ。あなたを選んで一人で生きることにした」


結婚ではなく恋人でもなく三人で生きる道を選んで一人で生きるということです。
新しい関係性を創っていく決心ができたから、かごめのどこが好きだったの?明るく聞くことができたと思います。


それでもとわ子は最後まで迷っていたのです。
娘の唄(豊嶋花)に「(小鳥遊に)一緒に会おうよ」と誘ったほどに。

唄が彼氏の西園寺くんのコーラを買いに行くと言った時、「なんで唄が買いに行くの?」と拘っていましたよね。
とわ子は「欲しいものは自分で手に入れたい」と言う人です。

マレーシアで住む家を決めた小鳥遊が写真を見せた時、とわ子は「十代の頃からいつか自分でもこういう家をつくってみたいなって」と言いました。
「夢が叶いますね」と小鳥遊は返しました。
その時の違和感が決定打になったと思います。

とわ子は欲しいものは自分で手に入れたい。自分で建てたいのです。
似たような家が用意されて夢が叶ったと決めてくる小鳥遊とは合わないのだと思います。

しんしんが言うように仕事をする君と恋をする君は分けられないのがとわ子で、鮮やかに別人のように切り替えてくるのが小鳥遊です。

ところで松林(高橋メアリージュン)は柔らかく急変しましたね。
前回ではとわ子が「気まずくなりたくない」という申し出を「そういうところが勝てないんですよ」と冷たく切り替えていたのに自宅に食事をご馳走になりに来ました。


松林はビジネスでは優秀で打算的、その時その時の風を見て生きてきた人だと思います。

松林は専務派の人を一人知っていると言うセリフがあり、小鳥遊に情報を流してもいたはずです。
その二人から情報を得ることができる立場です。

社長派はとわ子を追い落とし、松林を時期社長にしたいと考えていたようですが、社長が逮捕されるかも?となり、専務派が仕切るようになれば話は別です。
その変化した波に対応しようと、とわ子への態度が柔らかくなったのだと思います。


このドラマを好きで見ている身内(学生)が「純文学風のドラマは最初に戻るよね。それぞれ別の人と恋になりかけた変化の兆しはあって、それぞれ葛藤したけど、最後は最初の状態に帰結することが多いと思う」と言いました。
「今回でほぼ結末に近いけど、あと一回は何を書くんだろう」と。


今回すごく面白かったのは、はっさくがとわ子の結婚を知ってヤケになって、適当に名前を言ってプロボウラーと結婚することになった嘘の茶番の流れです。
しんしんが「この距離では安心して聞けない」とバッティングセンターの遠くまで走って行くのも可愛くて面白かったです。
「ていうか嘘でしょ」すぐ嘘を見抜くとわ子もなかなかですね。

しんしんの運動神経皆無なへっぽこ演技も楽しかったし、偶然かっとばして嬉しそうなところも可愛くて最高でした♥



とわ子が会社で指輪を見せるファーストシーンの夢落ちから、ラストシーンで指輪がコガネムシに変わっているのも楽しかったです。
かごめの悪戯かな?

初回からずっと感想を書いています。

最終回も楽しみに見て感想を書きたいと思います。

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