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創作小説

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【小説】雪世

【小説】雪世

川端康成に敬意を込めて

人が寒さを忘れた時とは、どんな時であろうか。

無慈悲な白い塊達が、私を襲っている。
視界は悪く、一面灰色で覆われ、人が居て良い場所とは到底思えなかった。
色は失われ、水墨画のようにさえ思える。空を彩るは夜闇の黒、視界を妨げる吹雪の灰色、そして地面を覆うは雪の白。他には何もない。色がない世界というのは、このような光景を言うのだろう。

何故私は、こんなところへ来てしまった

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【小説】幽霊探しのそのさきは  下

【小説】幽霊探しのそのさきは 下

翌日、僕たちは夜の公園に来ていた。

「何で今日は公園なの?」

この公園は、一度幽霊探しに訪れていた場所だった。今まで同じ場所を探したことはない。けれど今回ここを選んだということは、何かしらの進展があったのかもしれないと思った。

「ここね、実は穴場スポットなんだよ」
「幽霊の?」
「違うよ、花火の」
「花火?」
「今日、花火大会があるんだって。その花火がね、木と建物の間から見えるらしいんだよね

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【小説】幽霊探しのそのさきは  中

【小説】幽霊探しのそのさきは 中

幽霊を探そうと、彼女の方から提案してきたものの、計画は立てていなかったようで、僕たちは当てもなくぶらぶらと町を歩くことになった。
けれど、行き当たりばったりの幽霊探しなど、暗闇の中で一匹の蟻を見つけるようなものだった。
だからか、予想はしていたが、予想通りに幽霊は見つからなかった。昼間という明かりに満ちた時間帯であったために、元気に労働する蟻たちは見かけた。蟻は暑さを物ともとていなかったが、僕は物

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【小説】幽霊探しのそのさきは  上

【小説】幽霊探しのそのさきは 上

「ねぇ、幽霊を探しに行こうよ」

目の前に座る彼女が、身を乗り出して言ってきた。また始まったと僕は思った。彼女は時々、こういう突拍子もないことを言い出す。
僕は何も返さずに、ちらりと視線を向けただけで、直ぐに視線を本に戻す。引き剥がされてしまった物語の世界に、再び潜る。場面は丁度、主人公がパーティーに着るドレスに浮かれているところだった。

「ねぇ、聞いてる?幽霊、探しに行こうよ」

それでも諦め

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