思い描く掌編小説集のご紹介。その都度、編集していきます。 *掌編小説集『ユメノハコ』につ…
外では洪水により、家々が流されたり沈んだりしている。しかし彼女は悠々と、我が家の屋根の…
よく晴れた休日の昼下がりの公園に、ベンチで肩を落とす男の姿はふさわしくない。天気とはう…
本日もまっしろけ。魂の宿る前の原稿用紙は、憎らしいほど眩い。難攻不落の、少女のように。…
どうしても玉どめができない。 縫い終わりに糸を結んで留める、あの玉どめだ。どれだけ先…
別居している妻に電話をかけた。飼っている猫がスープになってしまったと。 何の冗談? …
父さんに連れられて、絶滅博物館へ行く。此処には絶滅した生きものたちの、模型や化石や剥製…
その朝から人々は実年齢ではなく、精神年齢どおりの姿で生活するようになった。これからは飲…
古い友人が月で死んだ。ともに書物を愛する無二の友であった。彼が月の都に移住をしたのは、…
社員食堂の端の端の席に座り、買ってきたコンビニのカレーライスの蓋を開ける。店員に温めて…
起き抜けの決まりごとである廁へ行くと、中から見たことのないバケモノが出てきて、 「や、…
すずらんクリーニング店の鈴原さんは、しみ抜きの達人だ。 何十年という長年の経験と幅広…
#140字小説として 、Twitterに投稿したもの二篇。 『炬燵が飼う』 友達の家に行くと、炬燵に…
由緒正しきサンタクロースの一族に、私は生まれた。 知らない人が多いだろうが、サンタク…
彼女はなんでもピンクにしたがる。口紅の色、アイシャドウ、ネイル、髪の毛、コンタクトレン…