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法って面白い、かも

映画『ビリーブ 未来への大逆転』という映画を見た。

この映画は、ルース・ベイダー・ギンズバーグという一人の女性がアメリカ史上初の男女平等裁判に挑むという実話が元になっている。この裁判で勝利を勝ち取った彼女は後にアメリカ合衆国の最高裁判事となる。

映画を見てから調べてみると、原題は ”On The Basis Of Sex” とのことで。てっきり邦題がビリーブだから原題も ”Believe” なのかと思った。直訳すると「性に基づいて...」と言ったところ?作品中に"the basis of sex"の言い回しが出てくるが、翻訳では「男女の差別」となっていた。

この邦題の改変が私にとってかなり違和感で、確かに男女差別をなくすという未来に向けた大逆転の話ではあるのだけど、そこまでキラキラしたストーリーじゃないというか。それに対して原題はこの映画のテーマ「男女の性」がはっきりと書かれていて、一見題名だけだと重苦しく見えるけれどその重みが歴史が変わる第一歩の重みとしてはちょうどいいんじゃないかと思った。邦題で”sex”もしくは「性」っていう大事なワードを消したのは何故なんだろう。

こんなことが気になったのは多分原題と邦題の違いを調べたことがあるからで。例えば ”Frozen” と『アナと雪の女王』って全然違うじゃん。けど確かに『凍った』なんて題名のディズニー映画はヒットしなさそう。笑 どちらの映画も共通しているのは、原題はその映画のキーワードを題名にして何についての話かを伝えて、一方で邦題はその映画を見るポイントを題名にしてどんなことが伝えたい話なのかを伝えるということかなと思った。

話を元に戻して。

この映画の中で心にビビッと来た言葉をいくつか紹介したいと思う。一つ目は、「”怒り”...それを利用しなさい。」 という主人公のルースがある人に言われる言葉。ルースは親から女は感情的だと卑下されないように、何か悔しいこと辛いことがあっても感情的にならないよう教えられてきた。裁判で勝利するまでには当然様々な困難が立ちはだかる。その中で悔しさや怒りを覚えた時、ルースは教え通り抑え込もうとしたが、それを利用しなさいと言われる。怒りはパフォーマンス精度を上げる、と聞いたことがある。くっそおおお悔しい!!の感情は何よりも原動力になるってことだろうな。

二つ目、「国民への税のかけ方に国の価値が現れる。」ルースの夫も弁護士で、この裁判には夫婦で立ち向かう。夫は税法専門の弁護士で、ルースに税について話している時の言葉。今の日本には痛い言葉だなあと思ってしまったのは私だけ?

三つ目、裁判の中でも何度も出てくる「過激な社会変革」の言い回し。アメリカで男女平等が認められたのはこの裁判が初だった。1970年代のアメリカにおいて、男が外で働き女が家庭にいるというのは普通の常識だった。この裁判で平等が認められるということは、その根底の常識を覆す「過度な社会変革」を起こすということ。確かに法律の歴史に男女平等の文字を刻むことは革新的だったかもしれない。けれど女だって働く、やりたい仕事に就く、その権利が主張されるようになってきていた。法律は時代遅れになる前に変えなきゃいけない。どこかの段階で変革を起こすことで少しずつ前進できる。

こうやって裁判で一つずつ次の社会、時代の流れを作っていく法の世界って面白いなと初めて思ったのでした。

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