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自主企画をあまりやってこなかった私の心境の変化について

こんにちは、ヴァイオリンの演奏・指導をしているリーナです。

久しぶりに、自主企画で演奏会を開催することにしました。
フリーランス演奏家として11年目。これまで自主企画をあまりやってこなかった私ですが、その心境の変化について書いてみたいと思います。

そもそも自主企画とは

前提としてですが、フリーランス演奏家にとって、演奏の場とは2パターンあります。

  1. 依頼されて演奏者として出演するパターン(依頼公演

  2. 自分で企画して演奏会を開くパターン(これが自主企画

この2つの違いは、

  • 責任の所在

  • 全体の収支の計算チケット管理をするかどうか

  • 公演の記録写真や映像などを使う権利を誰が持つか

  • 広報の決定権があるか

などの点が挙げられると思います。
ちなみに演奏のクオリティについては、意識的に差をつける人はほとんどいない…と思います。おそらく。

これまでの私の活動はおもに①のほうで、ご依頼をいただいて出演するタイプです。
たとえば「学校でヴァイオリンを演奏してほしい」「パーティで弦楽四重奏で演奏してほしい」など。オーケストラ(プロアマ問わず)のエキストラなどのご依頼も①にあたります。

これまでにやった自主企画の演奏会

これまでに自主企画で開催した演奏会を思い出してみます。
チラシの残っているもののみですが…

2016年、歌とピアノとヴァイオリンの名曲コンサート(愛知・名古屋と東京・渋谷)
2017年、歌とピアノとヴァイオリンの名曲コンサート(愛知・名古屋)
2018年、ソナタ+解説コンサート(群馬・前橋)
2020年2月、ヴァイオリン二重奏のコンサート(東京・赤坂)
こちらはコロナ禍のため中止になりました。

こんなかんじです。
ちなみに、依頼公演も含めた出演履歴をまとめたページもあります。
こちら https://leena-vn.info/?page_id=57
年間数十公演の依頼公演に対して、自主企画の割合は極端に少ないです。

最後にやったのは、2020年カーサクラシカさん(クラシックライブハウス)での演奏会でした。こちらの会場は自主企画と言ってもお店側も色々と手伝ってくださるので、広報のために駆け回ったり受付誘導スタッフを手配したりする公演とはちょっとハードルが異なるかもしれません(そういう点ではカーサクラシカさんは初めての自主企画にはめちゃくちゃオススメの会場です。ごはんもおいしい)。
会場を予約してチケットを販売してスタッフを配置して…というふうに開催したのは、2018年7月が最後です。

なぜ自主企画をあまりやってこなかったのか

自主企画の演奏会には、メリットがたくさんあります。

自主企画演奏会のメリット

  • プログラムを決められる

  • 日程を決められる

  • 会場を決められる(予算との兼ね合いはある)

  • 出演者を決められる(予算やスケジュールとの兼ね合いはある)

制限はありますが、「あの曲を弾いてみたい」「できればこの時期にやりたい」「あの会場で弾いてみたい」「あの人と一緒に演奏したい」などのあらゆることが自分の思い通りにすることができます。
もちろん演奏だけなら無観客で一回通して満足して終わる…というのもアリですが、「せっかくならお客さんと一緒に時間を共有したい!」という発想は演奏家としては自然なものではないかと思います。

それなのになぜ、これまでに5回(うち1回は中止)しか自主企画をやってこなかったのでしょうか。

それは、デメリットと天秤にかけたからです。

自主企画演奏会のデメリット

  • 収支の計算チケット管理が大変

  • 広報が大変かもしれない

  • 赤字になるリスク

  • なにかあった時に全責任を負う

広報の大変さや赤字リスクに関しては、企画によるとも言えます。
「需要のある企画」を打てば、リスクは減らすことはできるでしょう。例えば、「ファミリーが集まりやすい施設を借りて、子どもが聴きやすそうな曲を演奏する企画」など。

ですが、このような「需要のある企画」については、じつは依頼公演のほうで既に何度も経験があったりします。
(もちろんどの公演も私にとっては大変ありがたい機会で、誠実に遂行できるよう努めています。)
となるともう私が自主企画で「需要のある企画」をやる意味って、ないかもしれない。そう考え、やってみたい曲はありつつも、「この曲はあまり知られていないから、需要が低く、赤字リスクが大きい」という判断をしてしまっていました。
自分でなにもしなければ(依頼公演を粛々と遂行していれば)リスクは最小で済む、とも考えていました。
私がこれまでの10年で自主企画をあまり開催できずにいたのは、そのあたりが理由です。

なぜ自主企画をやることにしたのか

それがここ最近、だいぶ考え方が変わってきました。
今まで「勝手な決めつけ」をしていたことが、実はそうでもなかったという経験がいくつかあったからです。
コロナ禍の2年間は、そういう発見の連続でした。

自主企画についても、クラシック音楽についても、勝手に決めつけていたことを、自分で確かめていこうと思うようになりました。
私が勝手に「世間の需要がない」と思っていた曲は、本当にそうなのか。
私だけではなく「みんなが勝手に決めつけていること」もあるのかもしれません。

そう考え始めると、他にも確かめてみたいことがどんどん沸いてきました。クラシック音楽を編曲するのは本当にタブーなのか。たとえばオーケストラの曲を編曲してヴァイオリンで演奏してみたら、お客さんは怒るのか
編曲や練習の過程を公開してはいけないのか(これについては、依頼公演の場合は要確認だと思っています)。
広報ってチラシじゃなきゃいけないのか。告知ツイートって1回しかしちゃいけないのか。むしろ広報の過程を公開しても面白いのでは?

これを全部確かめるためには、自主企画の演奏会をやるしかない
そう思いました。
ネックだった「赤字リスク」についても、仮に赤字になったとしても私が少し損をするくらいで済むなら致命傷ではないのではないか、と考えるようになりました。(避けられるに越したことはないですが…)
もしコケても、私がちょっぴり恥ずかしいだけなんですよね。
20代のころは、この少しの恥ずかしさも容認できなかったのですが、今はいろんな意味で図太くなりました。
(※ここで言う「コケる」は、演奏の失敗ではなく収支面や集客率などです。演奏について手を抜いてコケることは絶対避けたいです)

何をやろう。

自主企画の演奏会をやると決めたけど、どんなテーマにしよう。
そう思ったときに真っ先に浮かんだものがありました。

私は以前からオーケストラの曲が大好きで、「この曲をソロや小編成でも演奏したい!」という気持ちが強く、編曲して演奏することをライフワークにしていました。
カルテットの仲間たちに楽譜を渡すと快く弾いてくれるので、気をよくしてどんどん編曲し、とくに第九やボレロはカルテットのレパートリーとしてもご好評をいただけるようになってきました。
これが、まさに「自分が本当にやりたいこと」かつ「需要はないかもしれないこと」だと気づきました。
というわけで、演奏者によるオール編曲プログラムの演奏会の開催が決定しました。

まとめ

というわけで、自主企画をあまりやってこなかった私の心境の変化について、書いてみました。
要約すると、需要を気にせず本当にやりたいことをやってみることにしたというかんじです。
演奏会まであと2週間、走り抜けたいと思います。

さいごに、自主企画演奏会の概要です。

いろんな意味でどうなるのか、見守ってくださると嬉しいです。
(協賛・後援も大募集してます)  
おかげさまで完了しました!

Twitterでは【 #オケ曲デュオ会 】というタグで演奏会について呟いているほか、【#自主企画演奏会の準備過程をリアルタイムで書いてみる 】というタグで準備段階の裏話なども載せています。
【 #オケ曲デュオ会を応援しています 】のタグで応援メッセージもTwitter上で募集しています。こちらはプログラムに掲載させていただきたい関係で4/22締切となっています。

演奏会後には、実際どうだったか、このnoteに書きたいと思っています。

ここまで読んでくださりありがとうございました。



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