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外反母趾を2日で治してみた

筋肉のない子供が立って歩くとき、関節や腱もやわらかいのでどうしてもぐらぐらとします。それを支えるためにはコルセットやサポーター、いわゆる装具と言われるものを使うのですが優れた商品が開発されていません。昔ながらの重くて暑くてかさばって邪魔で使いにくいものばかり。ただでさえ筋力のない低緊張の子供の足に重量感のある器具を取り付けて「さあ、歩け」と大学病院では言われるわけです。子供は当然嫌がりますしそんなことできません。それを時間をかけて訓練して歩けるようにさせようとするのですがすればするほど足は変形しておかしいことになっていました。

何もないと足はひょろひょろぐにゃぐにゃ

無理をして立つと足はこうなります。

指も変な方向を向いて完全な外反母趾二重くるぶし尖足偏平足です。

痛そう


そこでいろいろと調べてみました。気になったのが中国製品です。中国の人口は日本に比べてとても多いので当然脳性麻痺の患者数も多く、装具に関する研究が進んでいます。装具の種類も多くて値段も安い。日本で1個装具を買うと、中国では30~200個くらい買えます。中国の装具は安いものから高いものまでいろいろありますが、日本の装具への考え方とはかなり異なるようで素材も構造も違います。

それでも見れば見るほど「なんだか違う…」と、思ってしまったんです。

それは根拠のない違和感でした。長年勉強していた先生たちが「これが正しい考え方だ」と言っている理論がある。でもその理論で装具を作ると私の子供は苦しんでいるし、周りの子供たちもそれほど良くなっていない。そういう意味では中国の商品も日本のものも大差はありません。装具のほとんどは「固めるためのもの」という感じの構造でした。

本当にその理論が正しいならもっと効果があってもいいと思ったんです。でも足の悩みを持つ人は長年ずっとそれに苦しんでいる。私はそれをおかしいと思いました。

低緊張と靴とインソール

低緊張の子供の足首はとてもやわらかいです。どのくらいやわらかいかというと、うつぶせに寝た状態で足の裏が床に全部ぺたっとつく程度。初めて見たとき私は悲鳴を上げました。そんな軟体動物的な動きができるだなんて。
このやわらかい足首で立って歩くと足首がカクカクするので、硬い素材でかかとから足首を固めたようなハイカットシューズが必要になります。

ハイカットの靴とそうでない靴を履き比べると子供はハイカットを喜ぶのでこれは正しい選択だと思います。

ジョグウォークやサスウォークと呼ばれる装具用のシューズが発売されていて、装具をつけてから履くタイプなのでちょっと大きめにできています。特にジョグウォークは装具さんからしか買えない商品でネットで流通していません。定価で購入すると8000円を超えます。中古の靴がメルカリなどで売られていますが他人が加工して履いた靴は使えません。どうしても新品を定価で買うことになります。内履きと外履きが必要なので2個ずつ買うのです。これは何も問題がなければ普通に履けるのですが、通常は足底板と言われるオーダーメードで作るインソールをはめ込んでから履きます。子供の足はすぐに大きくなるのに足底板は1つ35000円もするんです。しかも計測してから出来上がってくるまでに3か月から半年はかかる。そんなに待っていたら足の形は変わっています。子供は成長するんだから。測定したその日に出来上がるくらいじゃないと使えないけど、仕組み上そういうわけにはいかないのがこの業界。

偏平足で土踏まずがなく、外反母趾で二重くるぶしで尖足の私の子供の足に合ったインソールは土踏まずを無理やり作った形をしていてガタガタと立体的でした。実際の足はぺったんこなのに。

使うと痛がるのでインソールを外して普通の中敷きを入れて歩かせたら歩けました。ダイソーで買ってきた100円のインソールを重ねて靴の中に入れてやるとちゃんと歩けたんです。高価な足底板は歩けなかったのに。35000円と200円の違いは大きいです。だってもともとの靴が高いんだから。子供の足なんてすぐに大きくなって靴を買い替えないといけないのに。

専門家は「かかとを上げるべきだ」とも言うし「つま先を上げるべきだ」とも言うのです。みんな言うことが違うんです。誰の言うことを信じたらいいのかわからなくなりました。

100均のインソールがいいと気づいてからはずっと「足底板なんていらないな!100均素晴らしいな!」と思っていました。


ただ最近になって私はある言葉を思い出しました。私が内弟子に入っていた整体の先生が「人間の身体は『頭と4本の足』ではなく『2本の手と2本の足に頭が付いた』構造になっている。このことの意味をよく考えないといけないよ。子供のためにあなたはこれを考えなくちゃいけない」と何度も何度も私に言っていたんです。その意味はずっと長い間全くわからずにいました。誰がそう言われたって普通はわからないと思います。

「2本の手と2本の足」と「4本の足」の違いとは…。

そういう時先生は「4つ足の動物の足先の構造をよく見てみればわかるんですよ、かかとはどうなってますか?人間にはなぜ土踏まずがある?」と言うんです。

私は馬鹿なので全くわかりませんでした。

でもそのことを考え始めてからは、「土踏まずを上げたら本当にいいのか?!」と疑問に思うようになりました。私はインソールで持ち上げても足は変わらないと思ったんです。だって実際にそうだったから。靴を脱いだら戻るんです。

だったら足を変化させられるインソールの形はおそらく、今この世の中に存在するどのインソールの形とも違うと思います。

すべての人と私の考えはすれ違っていたのですが、何が原因ですれ違っているのか何年もわからずにいました。

それが最近答えが出たんです。


自分の足で実験してみる

私の足も子供と同じような足でした。私も低緊張ぎみで体力はなく、腹筋がないので座位で尖足で、偏平足で土踏まずが子供のころからありません。右足だけが外反母趾気味です。酷い外反母趾ではないけれど靴を履くと痛みが出ました。

「とりあえず自分の外反母趾を治すインソールを作ってみよう」と思い、ダイソーへ出かけました。そこで2500円分のインソールを買ってきて、はさみで切って強力な両面テープで張り合わせて立体的な3層構造のインソールを作りました。それは左右で形が違いますが前後でも違います。かなりいびつな形です。何度か失敗しながらも作ってみました。

そして激安店で買ってきた偽クロックスにそれを装着。足の指がどうなっているのか見るために先っぽに穴をあけました。

ちなみに外反母趾は親指が人差し指の上に乗るタイプの外反母趾と下にもぐるタイプの外反母趾があります。私は上に乗るタイプ。このインソールを使うと、ちゃんと親指と人差し指が離れます。

同時に小指の爪が横を向かなくなりました。ちゃんと爪が天井を向いている。外反母趾でなおかつ内反小趾気味だった足がちゃんと元に戻っている。
そしてこれを履くとおへそのあたりに力が入るのを感じます。立っていても座っていても腹筋に力が入っているのがわかる。

これはどうしてなのかというと、この形のインソールを使うと

・足の親指の反り返りを防止できるので歩くときに親指をちゃんと使えるようになる
・親指が反りかえる時人は必ず尖足になり、足先は必ず外を向く。その時股関節は前傾するがこれを矯正できる

ということができるからです。


だからインソールで補正をすると「股関節が正しい向きを向くので腹筋が自然と使えるようになる」のです。座った姿勢も自然と変わります。尖足にならないので足を組まないとじっとしていられないという感覚にはなりません。足の裏をちゃんと床に全部つけておくことができるようになるので、腹筋がついてきます。

そしてそのインソールを使って部屋の中で過ごしていると、2日で外反母趾は改善しその靴を履いていないときでもちゃんと足の形は保持されていました。靴を脱いでも偏平足は治っていて土踏まずはできていました。

親指重ならない

4日後に出かけようとして今まで使っていた靴を履こうとしたときにキツくて履けないことに気づきました。

「あれ?足がでっかくなってる…」

家にあった靴すべてが入らなくなっていました。すぐに靴屋さんに靴を買いに行くと私の足は27cmになっていたんです。自分でも驚きました。だって子供を産む前は23.5cmだったのに産んだ後ちょっと大きくなっていてアンドロゲン補充をして26.5まで大きくなったのにまた更に大きくなるなんて。
しかも履いてみると横幅が狭くなっていました。足が補正されて形が変わったら縦長の足になっていたんです。なにより足がちょっと痩せて見える。シュっとしている。土踏まずは前よりもできていました。

その足を見て私は気づきました。
ずっと感じていた違和感がなんだったのか。

「裸足になったときに足がちゃんと補正されるものを作らなければ意味がない!そうしなければ永遠にその高額な靴と足底板を作り続けなければならなくなる!患者は装具を卒業したいのに!」

私がずっとモヤモヤしていたのはそういうことです。
完治させられる製品でなければ、作る意味がない!


完治させられるインソールとはどんな構造なのか

土踏まずの部分を持ち上げたような立体造形物を靴の中に入れても、土踏まずはできないことは実証済みです。足の形にぴったりあったインソールを使っても、足は楽にならない。ちょっと気分が変わるだけ。

本当の意味で足の形を変化させられるインソールは「靴の中で足を固めない」ものだから。足の形を固めて間違った動きは矯正できても正しい動きは作れない。正しい動きが土踏まずをつくるのだから。

このインソールを思いついたのは足のことを考えるのをやめたからです。かわりに体全体のことを考えました。「人間の身体が2本の手と2本の足でできている」という例のアレです。

人間の身体は2本の手と2本の足がついているからその動かし方によって4種類のゆがみが生まれます。

右肩が前に出た状態と左肩が前に出た状態、右腰が前に出た状態と左腰が前に出た状態。2種類×2種類で合計4種類です。


①右肩前右腰前(右右)
②右肩前左腰前(右左)
③左肩前右腰前(左右)
④左肩前左腰前(左左)

この4種類です。

あの絵でわかりにくいならこうしたらわかるかも。

右肩前右腰前の場合は体が純粋にねじれます。体が多少ねじれていても頭は普通に前を向いているから、実質この体系の人は右を向いている。その場合顎の位置は体の中心よりも右にある。これを「頭が右」の状態と呼ぶことにします。左左の場合はその逆です。

それ以外は左右反対同士の肩と腰が近づき合おうとしたような形のねじれがあります。単純に体がねじれている。

これら4つは横方向へのねじれです。当然縦方向のねじれもあります。

1つ描くのを忘れたからここでは3種類だけど本当は4種類


これら縦のねじれは足でいうと下半分に、横のねじれは上半分に現れて足の形を作っています。図にするとこう。

だから横の歪みが肩2種類×腰2種類で合計4種類だったから、インソールの前方は4種類の形を作らないといけない。

通常インソールは左右対称のことが多いですが、私が作ったインソールは前後左右4つの場所で形が全く違います。

そして後ろも4種類できるけれど4つ作る必要はなくて2種類でいいです。これは縦の歪みは2つの動きによってほかの2つが発生しているだけだから。2つを調整したら残りの2つは症状が出なくなるから考える必要がない。O脚とX脚は左右どちらかのかかとの補正だけで治せる。

そして足は左右2つあるから、2×2×2×2=16種類のインソールを作ればすべての人間に合うインソールが作れるということになる。

当然左右別々の形をしたインソールを使うことになります。


姿勢矯正の目的と組み合わせ方

そして2週間使ってみたところ、私の体重が減りました。

これは簡単に説明ができます。

決して「姿勢を正しく矯正したから」ではありません。
長く使っていくうちに私の姿勢が「バランスがとれていた」ところを通り越して真逆の状態にねじれたからです。

元々人間の構造上の歪みは縦の歪み4種類と横の歪み4種類で16個あります。この16個の姿勢のうち痩せる体形と太る体形を比べると痩せる体形の方が少ないんです。だから世の中のほとんどの人はダイエットをしたがるハメになる。痩せる体形とは「胃を持ち上げない体形」だから、沢山はないんです。背中が反って胃が上に上がると胃が膨らむからたくさんモノが入って食べすぎて太る。

この「太る歪み」があるように「痩せる歪み」もある。人は太る時もゆがんで太るけれどやせるときもゆがんで痩せる。私はたまたまちょうどいい所を通り過ぎて「痩せる体形」の歪みまでいってしまったんです。でもそれはちょっと頭がボーっとして車の運転がしづらくなるような体形です。あんまりいいことはないです。私は脳みその動きが悪くなるくらいならまだ太っていたほうがいいです。

このインソールを使って痩せることは可能だけど、その体系が必ずしもその人にとって良いものかどうかはわからない。痩せる体形の一部には心臓に負荷がかかるものもあるから、心臓に疾患のある人は姿勢をいじらないほうがいい場合もあります。


・まずは姿勢を正しくする
・特定の内臓に負荷をかけたりしないかチェックをする
・痩せたい、外反母趾を治したいなどの目的にあった使い方をする

というように調整をしていかないといけないです。


このようにかなりオールマイティなインソールが出来上がりましたが、使ってくれた友達はみんな「すごいすごい」と言いながらも体の軸がまっすぐなる感覚を気持ち悪がっていました。「履いてすぐ体幹がシュッとするのがわかるけどそれが怖い」と。

お医者さんたちが「正しい補正」だといってガチガチに固める装具を作っても、それが実際に使えない理由は見た目上補正しても体の歪みを補正していないからだと思います。逆を言うと歪みを先に補正してしまえば今ある装具などは必要ない。その代わりとても簡単な構造で作った16種類のインソールでそれは可能になります。特殊なマッサージや矯正器具なども必要ありません。

体の胴体にできた歪みは、指先や足先に症状として出ることが多いです。外反母趾もばね指もそう。原因が体の中央にあるものも治療は体の端っこから行うことですべてを改善できる。

整体の先生がずっと私に「自分で考えて自分で何かを生み出しなさい。僕が教えてもあなたはきっと覚えないし考えようとしない。自分で考えたものだけが使える技術になる」と言い続けていました。

でもこれは先生が教えてくれたことです。先生が考え付かなかったことだけど、先生が私に教えてくれたことです。

「人は2本の手と2本の足が胴体についた構造をしている」とはこのことです。

インソールを子供用に作りたいのだけど…

「外反母趾を治すため」にインソールを作るのではなく「体形を完全に補正するため」にインソールを作ったら外反母趾はすぐに治りました。おそらく私の子供の足に現れている不具合も同じやり方で治るはず。

さっさと作ってやればいいのだけどそれができずにいます。
子供の姿勢の歪みは見てもちょっとよくわからない…。
自分のはわかるんだけど・・・。
それでまだ作れていないのです。

なぜなら「左右どちらに体重がかかっているかわかる?」と尋ねてもうちの子供は答えられないから。「体重がかかってる」ということを理解できているのかできていないのかすらわからない。

この16個のタイプの判別方法の一番大切なことが「左右どちらに体重がかかっているのか」という部分なので…。4つのうち3つのチェックポイントは見たらわかるのだけど一番肝心なところがわからない。

聞いてもわからないと、インソールを作れない。

何かの上に乗って、体重のかかり具合を見れる機械があったらいいのだけど。

そんなのあっても怖がって乗らないと思う…。

つら…。


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