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【本紹介】心を落ち着けたい時にオススメの3冊。

猛暑日続きの8月も終わり、暑さも少し和らいできましたね。
しかし、感染症の流行はまだまだ落ち着く気配はありません。

私は大学4年生なのですが、学生最後の…人生最後かもしれない夏休みにも関わらず、卒論執筆に向けての不安に加えて感染症への不安も募る毎日。

おそらく私と同じような思いをしている学生は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、私が気持ちを落ち着けたい時に読んでいる、おすすめの本を3つご紹介したいと思います。

私がその作品に触れることになったきっかけや当時のエピソードも交えて紹介しますので、同じような状況にある人や、同じようなことでしんどくなっている人に届いてくれたらと思います。

1.時雨沢恵一『お茶が運ばれてくるまでに~A Book At Cafe~』

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まず最初にご紹介するのは、ライトノベル作家である時雨沢恵一さんの『お茶が運ばれてくるまでに~A Book At Cafe~』という掌編集。

掌編とは、短編小説よりも短い作品のことを指します。

コンセプトはこんな感じ。

あなたはイスに座って、ウェイターが注文を取りにきました。
あなたは一番好きなお茶を頼んで、そして、この本を開きました。
お茶が運ばれてくるまでの、本のひととき――。
(引用:読書メーターより)

こちらの作品には、そんな短い作品が温かくて柔らかな雰囲気の挿絵とともに18篇収録されています。
「何か本を読みたいけどあまり長い作品は気が進まないなあ…」という時におすすめです。

ここで少し私の思い出話を。
私が当時高校3年生で受験生だった時、多くの受験生がそうであるように、模試や過去問でなかなか思うような結果が出せず、自己嫌悪に陥るほど荒んでいました。

そんな時に、友人が「自分のことを肯定してくれるよ」と紹介してくれたのがこの本だったんです。

私が一番「肯定してくれたな」と感じたのは、この本の一番初めに入っている、「ばけもの」という作品。

もしあなたが今、どうしようもない壁にぶつかっていると感じるなら、この作品を読んでみて欲しいです。

「自分が今苦しんでいること、悩んでいることはきっと無駄じゃない、いつか絶対に自分の味方になる。きっと大丈夫。」
そう思えるはず。

「ばけもの」の他にも、悩むことによって荒んで冷えてしまった心がちょっと温かくなるような作品がたくさん入っていますので、ぜひ手に取ってみてくださいね。

2.最果タヒ『愛の縫い目はここ』

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お次は詩人・最果タヒさんの詩集、『愛の縫い目はここ』。
タイトルからも温かさが滲み出ていますよね。

最果タヒさんの詩集に出会ったのも、同じく高校生の時で、「長い小説や新書を読むのはなんとなく疲れたな…」と感じ始めていた頃。
ちょうどその時期に彼女の詩にハマり始めた友人にすすめられて読んでみたんです。

タヒさんの言葉は、それが指す正確な意味はわからずとも、不思議と心にすっと馴染むような魅力があります。
その言葉が指すような場面を、自分もどこかで経験したように感じる。
その感覚が心地よくて、しばらくは彼女の詩集ばかりを読んでいました。

それ以来、私は「なんとなくしんどいな」という時にタヒさんの詩集を読んでいます。

愛の縫い目はここ』は、私が大学生になってから出たもので、課題が思うように進まない時や精神的に疲れてしまった時に、ふとこの本を読み返すと、なんとなく落ち着くんです。

この本に収録されている中でも特に好きなのは、「ワンシーン」という作品。
その最初の一説をご紹介します。

写真に撮ればこの部屋に鳴りひびく音楽も、
消えうせるんでしょう。
記憶はあいまいで、絶対音感もぼくにはないから、
何を聞いても何も残らない、
同じ空気を吸っていること、好きという言葉、
それらもすべて同じことだ。
なにも、なかったかもしれない、
そんな可能性が耳の裏を流れている。
(ワンシーン/本書20ページ)

この、時間が止まったような雰囲気の言葉で、自分の時間の流れも少しゆっくりになるような気がするんです。

忙しない生活が続いていて「そろそろ立ち止まってゆっくりしたいな…」と思ったときには、コーヒーでも飲みながら、この詩集を読んでみてはいかがでしょうか?

最果タヒさんの作品の魅力については、こちらの記事でもたっぷりご紹介していますので、併せてお楽しみくださいね。

3.成宮アイコ『伝説にならないで』

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最後にご紹介するのは、「朗読詩人」成宮アイコさんの『伝説にならないで』という詩集。

成宮アイコさんを知ったのは、当時私が所属していたWebメディアサークルで、彼女へのインタビューをした時。
そのインタビューを載せた記事の執筆には私は参加していなかったのですが、彼女の活動にとても興味が湧き、その時すでに出版されていたこの詩集を買ったのが、彼女の詩との出会いでした。

成宮アイコさんの作品の魅力には、彼女のバックグラウンドがとても重要になってきますので、彼女のプロフィールを少し紹介させていただきます。

成宮アイコさん
機能不全家庭で育ち、不登校・リストカット・社会不安障害を経験。赤い紙に書いた「生きづらさ」と「社会問題」をテーマにした詩や短歌を読み捨てていくスタイルのライブは、ポエトリーリーディングならぬスクリーミングと呼ばれることもある。
(引用:成宮アイコさん公式サイトより)

この本の一番初めに収録されている作品は、

140文字以下の遺書はいくらでも見つかる。
「死にたい」の4文字でエンターキー。
(書き残しが不安で書き始められないから夜が終わらない/本書7ページ)

という、強烈な一節から始まります。

実は私はうつ病を経験していて、この本に出会った当時はうつの症状が酷かったときでした。
彼女の作品は、その時の私の苦しみに驚くほどストレートな言葉で同調してくれたんです。

プロフィールにもあるように、彼女の作品のテーマは「生きづらさ」や「社会問題」。

うつ病になって何もできず、そういう自分が嫌で苦しんでいた私を、彼女の詩が救ってくれた…というよりは、「私が今こうやって苦しんでいることは間違ったことではない」とほんの少しだけ安心させてくれました。

もしあなたが今、自分ではどうしようもない苦しみを抱えていて、「消えてしまいたい」と思うくらい辛かったら、彼女の本を手に取って欲しい。
その苦しみの原因を取り除くことはできずとも、「今日はもう寝てしまおうかな」と、きっと気持ちが落ち着くはずです。

おわりに

今回は、心を落ち着けたい時にオススメの本を3つ紹介しました。
それぞれ違った「心の落ち着かない」状況に合わせたものを紹介しましたので、今この記事を読んでくださっているあなたの気持ちに少しでも寄り添えるものがあると嬉しいです。

LEADでは、魅力的な本を紹介した記事を多数投稿中。
こちらのマガジンにまとまっていますので、ぜひ見てみてくださいね!▼

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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