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「映画を早送りで観る人たち」感想

最近の消費行動の変化に興味を持ち、タイトルに惹かれて、この本を読んでみました。

読んでみた感想としては、とても学びが多くて、面白かったです!

本書では、「映画を早送りで観る」という一見おかしな消費行動を生んだ、さまざまな背景が解説されています。YouTubeは倍速で視聴する俺としても、納得のいく理由が多角的に述べられていました。


俺がSNSで感じたモヤモヤ

ところでみなさん

SNSで、美術館に行った自分の写真を投稿しているのを見たことがありますか?

俺はそれを見て、モヤモヤしました。

俺的に、彼らは純粋にアートを楽しんでいるというより、「アート好き」という個性のためにやっているように感じたからです。

最近よくある「~している自分が好き」と揶揄されるような行為です。


倍速視聴するようになった背景

話を戻すと、本書では他にも、コスパを求めるようになった理由や、ショート動画が人気な理由なども解き明かしていきます。

・情報が多すぎる社会
・サブスクの誕生
・SNSでの比較
・時間がない
・個性を大事にする風潮

など、さまざまな要因が、「映画を早送りする」という行動を生み出していることがわかります。今流行りの「教養本」といわれるジャンルの人気も、同じような説明ができると思います。


倍速視聴は時代の必然?

しかし、すべての根底に、人類の「楽をしたい」という願望があると書かれています。人類の歴史も、楽や便利を目指して発展してきました。IT革命で、生活がとても便利になった反面、SNS疲れ、ネット警察、情報過多などの副作用ももたらしました。

本書では、映画の倍速視聴という消費行動も、そのうちの一つだとされています。


資本主義の正義と、作り手の葛藤

社会の変化により、人々のニーズも変化すると、ビジネスチャンスが生まれます。

すると、作り手がつくりたいものと、数字がとれるもの(大衆にウケるもの)にずれが生じてきます。資本主義では、お金を稼ぐことが正義なので、企業は売れるものをつくろうとします。

その中で、作り手の影響は弱くなり、本当にやりたいことを表現できなくなってしまう恐れがあります。ここが難しいところです。


さいごに

この本では、今の消費者の心理がたくさん解説されています。

資本主義である限り、多数派にウケる作品が増える一方で、一部の人にぶっ刺さるような作品は生まれにくくなっていると思います。

そして、俺を含め、コスパを求めて生き急いでいる現代人を客観的にみることで、もっと肩の力を抜いて考えるきっかけにもなると思いました。

面白くて、学べることも多いので、とてもおすすめです。




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