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条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第145回)限定承認

読み易さは正義!!
「読み」のハードルを下げて、
最速で法律の条文を読んで理解する「条文サーフィン」です。

条文サーフィン」は、平面的な条文を立体的に読み込む一つの試みです。


この記事は一体なに?という方は、初回(第1回)の最初と最後の部分に簡単な説明がありますので、是非そちらをご覧ください。

条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第1回)贈与


さて今回は、改正民法(令和2年4月1日現在の民法)から、「限定承認」です。

・民法>「第五編 相続」>「第四章 相続の承認及び放棄」>「第二節 相続の承認」>「第二款 限定承認」(第922条―第937条)

では早速、魔法の条文の一行一行を「」に見立てて、かるーく乗りこなす
条文サーフィン」を始めましょう!!


<条文を読むヒント♪>
条文中の「……場合」と「……とき」の二つの語句を意図的に太字にしてあります。是非この太字部分を意識して読んでみてください。これだけで条文の構造がグッと見えやすくなるはずです。お試しあれ!!


〇民法(明治二十九年法律第八十九号)

第五編 相続
第四章 相続の承認及び放棄
第二節 相続の承認
第二款 限定承認(第九百二十二条―第九百三十七条)

第九百二十二条(限定承認)
第九百二十三条(共同相続人の限定承認)
第九百二十四条(限定承認の方式)
第九百二十五条(限定承認をしたときの権利義務)
第九百二十六条(限定承認者による管理)
第九百二十七条(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
第九百二十八条(公告期間満了前の弁済の拒絶)
第九百二十九条(公告期間満了後の弁済)
第九百三十条(期限前の債務等の弁済)
第九百三十一条(受遺者に対する弁済)
第九百三十二条(弁済のための相続財産の換価)
第九百三十三条(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
第九百三十四条(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
第九百三十五条(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
第九百三十六条(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十七条(法定単純承認の事由がある場合の相続債権者)


第二款 限定承認

(限定承認)
第九百二十二条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

(限定承認)
第九百二十二条

  相続人は、
   ↓
  相続によって得た財産の限度においてのみ
   ↓
  被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、
   ↓
  相続の承認をすることができる。


(共同相続人の限定承認)
第九百二十三条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

(共同相続人の限定承認)
第九百二十三条

  相続人が数人あるときは、
   ↓
  限定承認は、
   ↓
  共同相続人の全員が
   ↓
  共同してのみ
   ↓
  これをすることができる。


(限定承認の方式)
第九百二十四条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

(限定承認の方式)
第九百二十四条

  相続人は、
   ↓
  限定承認をしようとするときは、
   ↓
  第九百十五条第一項の期間内に、
   ↓
  相続財産の目録を作成して
   ↓
  家庭裁判所に提出し、
   ↓
  限定承認をする旨を
   ↓
  申述しなければならない。


(限定承認をしたときの権利義務)
第九百二十五条 相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。

(限定承認をしたときの権利義務)
第九百二十五条

  相続人が限定承認をしたときは、
   ↓
  その被相続人に対して有した権利義務は、
   ↓
  消滅しなかったもの
   ↓
  とみなす。


(限定承認者による管理)
第九百二十六条 限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。
2 第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

(限定承認者による管理)
第九百二十六条

  限定承認者は、
   ↓
  その固有財産におけるのと同一の注意をもって、
   ↓
  相続財産の管理を継続しなければならない。

2 第六百四十五条、第六百四十六条、
   ↓
  第六百五十条第一項及び第二項
   ↓
  並びに
   ↓
  第九百十八条第二項及び第三項の規定は、
   ↓
  前項の場合について
   ↓
  準用する。


(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
第九百二十七条 限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の規定による公告には、相続債権者及び受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者を除斥することができない。
3 限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
第九百二十七条

  限定承認者は、
   ↓
  限定承認をした後
   ↓
  五日以内に、
   ↓
  すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、
   ↓
  限定承認をしたこと
   ↓
  及び
   ↓
  一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を
   ↓
  公告しなければならない。

  この場合において、
   ↓
  その期間は、
   ↓
  二箇月を下ることができない。

2 前項の規定による公告には、
   ↓
  相続債権者及び受遺者が
   ↓
  その期間内に申出をしないときは
   ↓
  弁済から除斥されるべき旨を
   ↓
  付記しなければならない。

  ただし、
   ↓
  限定承認者は、
   ↓
  知れている相続債権者及び受遺者を
   ↓
  除斥することができない。

3 限定承認者は、
   ↓
  知れている相続債権者及び受遺者には、
   ↓
  各別に
   ↓
  その申出の催告をしなければならない。

4 第一項の規定による公告は、
   ↓
  官報に掲載して
   ↓
  する。


(公告期間満了前の弁済の拒絶)
第九百二十八条 限定承認者は、前条第一項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。

(公告期間満了前の弁済の拒絶)
第九百二十八条

  限定承認者は、
   ↓
  前条第一項の期間の満了前には、
   ↓
  相続債権者及び受遺者に対して
   ↓
  弁済を拒むことができる。


(公告期間満了後の弁済)
第九百二十九条 第九百二十七条第一項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。

(公告期間満了後の弁済)
第九百二十九条

  第九百二十七条第一項の期間が満了した後は、
   ↓
  限定承認者は、
   ↓
  相続財産をもって、
   ↓
  その期間内に同項の申出をした相続債権者
   ↓
  その他知れている相続債権者に、
   ↓
  それぞれ
   ↓
  その債権額の割合に応じて
   ↓
  弁済をしなければならない。

  ただし、
   ↓
  優先権を有する債権者の権利を
   ↓
  害することはできない。


(期限前の債務等の弁済)
第九百三十条 限定承認者は、弁済期に至らない債権であっても、前条の規定に従って弁済をしなければならない。
2 条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない。

(期限前の債務等の弁済)
第九百三十条

  限定承認者は、
   ↓
  弁済期に至らない債権であっても、
   ↓
  前条の規定に従って
   ↓
  弁済をしなければならない。

2 条件付きの債権
   ↓
  又は
   ↓
  存続期間の不確定な債権は、
   ↓
  家庭裁判所が選任した
   ↓
  鑑定人の評価に従って
   ↓
  弁済をしなければならない。


(受遺者に対する弁済)
第九百三十一条 限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。

(受遺者に対する弁済)
第九百三十一条

  限定承認者は、
   ↓
  前二条の規定に従って
   ↓
  各相続債権者に弁済をした後でなければ、
   ↓
  受遺者に弁済をすることができない。


(弁済のための相続財産の換価)
第九百三十二条 前三条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。

(弁済のための相続財産の換価)
第九百三十二条

  前三条の規定に従って
   ↓
  弁済をするにつき
   ↓
  相続財産を売却する必要があるときは、
   ↓
  限定承認者は、
   ↓
  これを競売に付さなければならない。

  ただし、
   ↓
  家庭裁判所が選任した
   ↓
  鑑定人の評価に従い
   ↓
  相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、
   ↓
  その競売を止めることができる。


(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
第九百三十三条 相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。この場合においては、第二百六十条第二項の規定を準用する。

(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
第九百三十三条

  相続債権者及び受遺者は、
   ↓
  自己の費用で、
   ↓
  相続財産の競売又は鑑定に
   ↓
  参加することができる。

  この場合においては、
   ↓
  第二百六十条第二項の規定を
   ↓
  準用する。


(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
第九百三十四条 限定承認者は、第九百二十七条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第一項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。第九百二十九条から第九百三十一条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。
2 前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の相続債権者又は受遺者の求償を妨げない。
3 第七百二十四条の規定は、前二項の場合について準用する。

(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
第九百三十四条

  限定承認者は、
   ↓
  第九百二十七条の公告若しくは催告をすることを怠り、
   ↓
  又は
   ↓
  同条第一項の期間内に
   ↓
  相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって
   ↓
  他の相続債権者若しくは受遺者に
   ↓
  弁済をすることができなくなったときは、
   ↓
  これによって生じた
   ↓
  損害を賠償する責任を負う。

  第九百二十九条から第九百三十一条までの規定に違反して
   ↓
  弁済をしたときも、
   ↓
  同様とする。

2 前項の規定は、
   ↓
  情を知って
   ↓
  不当に弁済を受けた
   ↓
  相続債権者又は受遺者に対する
   ↓
  他の相続債権者又は受遺者の求償を
   ↓
  妨げない。

3 第七百二十四条の規定は、
   ↓
  前二項の場合について
   ↓
  準用する。


(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
第九百三十五条 第九百二十七条第一項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。

(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
第九百三十五条

  第九百二十七条第一項の期間内に
   ↓
  同項の申出をしなかった
   ↓
  相続債権者及び受遺者で
   ↓
  限定承認者に知れなかったものは、
   ↓
  残余財産についてのみ
   ↓
  その権利を行使することができる。

  ただし、
   ↓
  相続財産について特別担保を有する者は、
   ↓
  この限りでない。


(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十六条 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
3 第九百二十六条から前条までの規定は、第一項の相続財産の管理人について準用する。この場合において、第九百二十七条第一項中「限定承認をした後五日以内」とあるのは、「その相続財産の管理人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする。

(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
第九百三十六条

  相続人が数人ある場合には、
   ↓
  家庭裁判所は、
   ↓
  相続人の中から、
   ↓
  相続財産の管理人を
   ↓
  選任しなければならない。

2 前項の相続財産の管理人は、
   ↓
  相続人のために、
   ↓
  これに代わって、
   ↓
  相続財産の管理及び債務の弁済に
   ↓
  必要な一切の行為をする。

3 第九百二十六条から前条までの規定は、
   ↓
  第一項の相続財産の管理人について
   ↓
  準用する。

  この場合において、
   ↓
  第九百二十七条第一項中
   ↓
  「限定承認をした後五日以内」とあるのは、
   ↓
  「その相続財産の管理人の選任があった後十日以内」と
   ↓
  読み替えるもの
   ↓
  とする。


(法定単純承認の事由がある場合の相続債権者)
第九百三十七条 限定承認をした共同相続人の一人又は数人について第九百二十一条第一号又は第三号に掲げる事由があるときは、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、当該共同相続人に対し、その相続分に応じて権利を行使することができる。

(法定単純承認の事由がある場合の相続債権者)
第九百三十七条

  限定承認をした
   ↓
  共同相続人の一人又は数人について
   ↓
  第九百二十一条第一号又は第三号に掲げる事由があるときは、
   ↓
  相続債権者は、
   ↓
  相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、
   ↓
  当該共同相続人に対し、
   ↓
  その相続分に応じて
   ↓
  権利を行使することができる。


以上が「第二款 限定承認」(第922条―第937条)の条文です。

ここまで読んだ貴方は、読む前の貴方とはちょっと違うはず。その違いが「条文サーフィン」を続ける意味です。


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ではまた。

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