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条文サーフィン~罪と罰(刑法第二編)の波を乗りこなせ!!~(第17回)放火及び失火の罪【前編】

読み易さは正義!!
「読み」のハードルを下げて、
最速で法律の条文を読んで理解する、
帰ってきた「条文サーフィン」です。

条文サーフィン」は、平面的な条文を立体的に読み込む一つの試みです。




条文サーフィン【刑法】編、はじめています。





さて今回の罪と罰は、「放火及び失火の罪」の【前編】です。

・刑法 >「第二編 罪」>「第九章 放火及び失火の罪」(第108条―第118条)

今回は、このうち第108条から第115条までです。

では早速、条文構造を意識して編集した法律の条文、その一行一行を「」に見立てて、かるーく乗りこなす「条文サーフィン」を始めましょう!!



<条文を読むヒント♪>
条文中の「……場合」と「……とき」の二つの語句を意図的に太字にしてあります。是非この太字部分を意識して読んでみてください。これだけで条文の構造がグッと見えやすくなるはずです。刑法に限りません。お試しあれ!!



〇刑法(明治四十年法律第四十五号)

第二編 罪
第九章 放火及び失火の罪(第百八条―第百十八条)

第百八条(現住建造物等放火)
第百九条(非現住建造物等放火)
第百十条(建造物等以外放火)
第百十一条(延焼)
第百十二条(未遂罪)
第百十三条(予備)
第百十四条(消火妨害)
第百十五条(差押え等に係る自己の物に関する特例)

※今回は、ここまで(↑)。

第百十六条(失火)
第百十七条(激発物破裂)
第百十七条の二(業務上失火等)
第百十八条(ガス漏出等及び同致死傷)




第九章 放火及び失火の罪

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(現住建造物等放火)
第百八条

  放火して、
   ↓
  現に人が住居に使用し
   ↓
  又は
   ↓
  現に人がいる
   ↓
  建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を
   ↓
  焼損した者は、
   ↓
  死刑
   ↓
  又は
   ↓
  無期若しくは五年以上の懲役に処する。


(非現住建造物等放火)
第百九条 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

(非現住建造物等放火)
第百九条

  放火して、
   ↓
  現に人が住居に使用せず、
   ↓
  かつ、
   ↓
  現に人がいない
   ↓
  建造物、艦船又は鉱坑を
   ↓
  焼損した者は、
   ↓
  二年以上の有期懲役に処する。

2 前項の物が
   ↓
  自己の所有に係るときは、
   ↓
  六月以上七年以下の懲役に処する。

  ただし、
   ↓
  公共の危険を生じなかったときは、
   ↓
  罰しない。


(建造物等以外放火)
第百十条 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(建造物等以外放火)
第百十条

  放火して、
   ↓
  前二条に規定する物以外の物を
   ↓
  焼損し、
   ↓
  よって
   ↓
  公共の危険を生じさせた者は、
   ↓
  一年以上十年以下の懲役に処する。

2 前項の物が
   ↓
  自己の所有に係るときは、
   ↓
  一年以下の懲役
   ↓
  又は
   ↓
  十万円以下の罰金に処する。


(延焼)
第百十一条 第百九条第二項又は前条第二項の罪を犯し、よって第百八条又は第百九条第一項に規定する物に延焼させたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前条第二項の罪を犯し、よって同条第一項に規定する物に延焼させたときは、三年以下の懲役に処する。

(延焼)
第百十一条

  第百九条第二項又は前条第二項の罪を犯し、
   ↓
  よって
   ↓
  第百八条又は第百九条第一項に規定する物に
   ↓
  延焼させたときは、
   ↓
  三月以上十年以下の懲役に処する。

2 前条第二項の罪を犯し、
   ↓
  よって
   ↓
  同条第一項に規定する物に
   ↓
  延焼させたときは、
   ↓
  三年以下の懲役に処する。


(未遂罪)
第百十二条 第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。

(未遂罪)
第百十二条

  第百八条及び第百九条第一項の罪の
   ↓
  未遂は、
   ↓
  罰する。


(予備)
第百十三条 第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

(予備)
第百十三条

  第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的で、
   ↓
  その予備をした者は、
   ↓
  二年以下の懲役に処する。

  ただし、
   ↓
  情状により、
   ↓
  その刑を免除することができる。


(消火妨害)
第百十四条 火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

(消火妨害)
第百十四条

  火災の際に、
   ↓
  消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、
   ↓
  又は
   ↓
  その他の方法により、
   ↓
  消火を妨害した者は、
   ↓
  一年以上十年以下の懲役に処する。


(差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百十五条 第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。

(差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百十五条

  第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が
   ↓
  自己の所有に係るものであっても、
   ↓
  差押えを受け、物権を負担し、
   ↓
  賃貸し、配偶者居住権が設定され、
   ↓
  又は
   ↓
  保険に付したものである場合において、
   ↓
  これを焼損したときは、
   ↓
  他人の物を焼損した者の例による。



(※刑法=令和2年4月1日現在・施行)




以上が「第九章 放火及び失火の罪」の前半部分(第108条―第115条)の条文です。

ここまで読んだ貴方は、読む前の貴方とはちょっと違うはず。その違いが「条文サーフィン」を続ける意味です。




<【民法】編も、あります!!>

条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(完結)民法【公式】リンク集

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ここだけの話。
「テキスト」を読んでから「条文」を読むより、「条文」を読んでから「テキスト」を読む方が理解がグーンと進みます。理解のカギは「先に疑問を持つこと」です。








<こっそり☆おまけの穴埋め問題>

[刑法]

〔問 題〕次の条文中の(  A  )・(  B  )に入る語句はそれぞれ何でしょうか。

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が(  A  )に使用し又は現に( B )がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(非現住建造物等放火)
第百九条 放火して、現に人が(  A  )に使用せず、かつ、現に( B )がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

〔解 答〕

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

  ↓

(  A  )=( 住居 )、( B )=( 人 )でした。

(現住建造物等放火)
第百八条 放火して、現に人が( 住居 )に使用し又は現に( 人 )がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(非現住建造物等放火)
第百九条 放火して、現に人が( 住居 )に使用せず、かつ、現に( 人 )がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

ではまた。


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