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ホッと珈琲とほんわり焼きたてパンでおいしいふたりの昼下がり


明日の朝は、パンを焼いて珈琲を淹れよう


そう前の日の晩からこっそり作戦を立てていた。

11月3日、文化の日。この日は、暦通りのお休みの恋人と、完全シフト制(平日のどこかがおやすみになる)な私の、たまたまお休みが被った稀な休日。だから朝からうんっといい日にしたくて、ほっこり美味しい朝を企てたのだった。


◆◇◆



唐突だけど、今月11月から、新しいおしごとが始まった。ずっと憧れだった、カフェでのおしごと。


もともとわたしは、看護師をしていた。だが一年前、流行り病の後遺症がきっとみんなが想像するよりずっと酷くて、念願叶って奮闘していた看護師のおしごとを辞めた。身体が機能しなくなり起き上がれなくなった。髪はうんと抜けて頭寂しくなったし、3ヶ月ちょっと毎日40℃越えの熱発が続いた。誰かの看護をしている場合じゃなくなった。


よくなってきたかと思えば、やっぱりだめで、とよっこらよっこら、ぼろぼろになったからだとこころと付き合いながら、それから一年という月日を過ごした。ちょっとずつ、起きて生活することができるようになって、ちょっとずつちょっとずつ、外に出て働けるようになった。でも看護師のおしごとに戻ったわけじゃなかった。わたしには看護師の他にもうひとつ、ずっと興味のあったおしごとがある。それは飲食関係のおしごと。おいしいものがだいすきなわたし。なかでも、ほっこりするカフェがすきで、カフェ巡りが趣味のひとつに加わって早数年。いつからか、お客さんをお迎えする側に立ってみたいと思うようになった。ずっとこころの中に潜んでいた憧れは、なくなるどころか、年々おっきくなっていった。


だから、一旦看護師を離れたこのタイミングで、やってみるなら今だろう、と飲食業界に脚を踏み入れた。洋食屋さん、スパイスカレー屋さん、パン屋さん。3つのお店を掛け持ちした。どのお店も、その美味しさにわたしが惚れた、大が付くほど好きなお店。だからとっても楽しかったし、自分が惚れたあの味やお店の雰囲気を、同じように堪能するお客さんの顔を見ると、ほんっとうに嬉しかった。

そしてもうひとつ、委託販売という形で、僅かな期間だけど、店舗を持たないおやつ屋さんを始めた。これまで看護師として患者さんと向き合ってきた経験や自身の体調不良、様々な人との関わりの中で、“ 食べたいのに食べられない辛さ ” があるを知った。だから、アレルギーとか食習慣とか、あらゆるバックグラウンドを抱えていても、ちょっと素材や作り方をこだわって、なるべくどんな人でも、安心して食べられるおやつを作りたいなって思ったのがきっかけ。もともと食べるのも作るのもすきな食いしん坊なわたしは、大切な人と「おいしいね」って言いながら食べるおやつの時間をこよなく愛しているのも相まってね。

好きなお店で働けて、自分の拵えるおやつを美味しいって言ってもらえることが、うれしくて、楽しくて、休みなく働いていたけれど、この数ヶ月間すんごく充足感に満ちていた。

でも次第に、また別の想いもふつふつと沸き起こってきた。


やっぱりカフェとか珈琲屋さんで働いてみたい。
そして、いつか、自分のお店をもちたい。


折角看護師になったんだから、って半ば諦めていた夢。でもずっと憧れていて捨てられなかった夢。


恋人に相談したら、前向きな言葉をかけてくれて、背中を押してくれた。ちょっぴり勇気が持てて、よっしゃ、って思った。一歩踏み出してみることにした。


それからの展開は早くて、折角ならやはり自分が惚れたカフェで働きたいと思って、これまた店員さんに顔を覚えられるくらいにはよく通っているカフェが丁度スタッフ募集の投稿をsnsに挙げていたので、このチャンスを逃すまいと、早速アポを取った。面接をさせてもらって、トントン拍子に僅か1週間。そのだいすきなカフェで働かせてもらうことが決まった。でも条件的に、今の掛け持ちスタイルの働き方では厳しくなったから、洋食屋さん、カレー屋さん、パン屋さんには、各々相談させていただいて、今年いっぱいでお別れさせてもらう運びとなった。


そんなこんなで突如始まった、念願のカフェでのおしごと。珈琲は毎日飲むほど好きだけど、これまで自分で淹れることはなかったし、味や風味の違いだとか、歴史だとか、珈琲を取り巻く知識は全くない。珈琲自分で淹れられるようになりたいなあ〜が口癖になっていた、そんなときに普段珈琲をのまない恋人がわたしの誕生日プレゼントとして贈ってくれたのが、サイフォンコーヒーセットだった。

ハンドドリップからじゃないんかい!!

ってぶっちゃけ思ったのは内緒(笑) そう思うのはわたしだけじゃないと思う、きっと。
でも、サイフォンで淹れる珈琲に憧れがあったのも確か。ぽこぽことアルコールランプで熱されながら沸き起こる珈琲は、なんだかずっと見てられる。サイフォンでも近い将来淹れられるようになったるよ、絶対!とっても嬉しかった。


例のいただいた子たち。誕生日へと日付を跨いですぐ貰っちゃって、うれしいやらびっくりやら眠気吹っ飛んだ。本当にうれしかった、ほこほこ


でもとりあえず、やはり始めはハンドドリップからかな、と思い、konoのサーバーとドリッパーを購入した。


そんなこんなで、前置きが長くなったけれど、11月3日の朝、初めて新しいコーヒーミルで、新しい珈琲豆を挽き、新しいドリッパーとサーバーで、珈琲を淹れてみることにしたのだ。


◆◇◆



翌朝。秋晴れ、ぽかぽかいいお天気。


6時に起きて、さあパン作りからスタート!

実は、自分ひとりでパンを焼くのは始めて。先日、お誘いいただいてパン教室へ一度お邪魔してからというものの、楽しさのあまりまた焼きたい衝動にずっと駆られていたけれど、なかなかまとまった時間がとれなくて先延ばしになっていた。

粉を振るって、ザバーっとぬるま湯を。こねこねべたべたべたべた、、こねこね、、んんっ、まるまるもちもち、もっちり、、

今回は2種類焼いてみた。


パウンド型でミニ食パンと、
全粒粉とライ麦粉でたっぷり木の実とクリームチーズを入れたハード系のパン。


発酵して、空気抜いて、もちもちふにふに、、べちんべちん、また発酵して、空気抜いて、まるまるくるん、もちもち、、発酵させるとむくむくなんともいえないむちむち可愛らしくなるのが本当に愛おしくてたまらん!!!


食パンの頭には豆乳ぬりぬり
ライ麦パンはばってん入れてそこへ蜂蜜とろり


さあ!オーブン行ってらっしゃい!!

こんがりいい焼き色と香り。君たち可愛すぎるよ〜っ


ほわわ〜んってお部屋中いっぱいにしあわせの香りを放ちながら焼けました、なんて可愛い子たちだ!!



そしてこの子たちを焼いてる間に、より最っ高な美味しいひとときになるよう仕込んだ子たちがこちら!!

たっぷりのとうもろこしと玉葱をじっくりバターで炒めてガーッとやっちゃって、粗ごしコーンポタージュをぐつぐつ。

食パンにはお供も必要だよねってことで、ゆで卵をこれまた粗くフォークで潰して、マヨネーズとバジル、塩胡椒と、粒マスタードちょっぴり、ぐるぐる混ぜ混ぜ。甘いのも欲しいかな、と以前作った無花果ジャムも添えてみた。

あとは、ヨーグルトと最近毎日のように食べてる柿。今年柿めちゃんこ豊作ですよね、なんでかしら。


さあさあ、やっとここで珈琲淹れるぞっ!

ミルでガリガリお豆を挽いて。これまた手動のミルってなんて大変なんだ!ってね。頑張ってガリガリゴリゴリしました。ミルにペーパー敷いて、挽きたてすんごくいい香りの豆をだばっと。そしてやっと、お湯をふんわりゆっくり落としてく。なんだかこころがじんわりすっきりするような、とってもしあわせなひとときだった。


よっしゃ、あさごはん!と思いきや、時計を見れば12時半、もうお昼だなあ。しあわせおひるごパンに。


はじめて淹れた珈琲は、なんだかほんわりやさしい味がして、普段は珈琲をのまない恋人も美味しいって言ってくれた。へへっ、とってもうれしかった。

頑張って焼いたパンはといえば、食パンは贅沢に手でほわ〜ってふたつに割って、手でちぎりながら食べた。焼きたてふわふわしっとりでこりゃたまらん。ライ麦パンもドライフルーツの甘みと木の実の香ばしさ、中に入れたクリームチーズでもう至福。コーンスープも粗めにして正解。


一見、なんてことのない食事かもしれないけれど、たっぷり手間暇かけたからか、いろんな想いがつまっていたからか、はたまた恋人と一緒に食べられたからか、ほっこりやさしくて美味しいひとときに、なんだか想いが溢れそうだった。


しあわせな昼下がり。

お仕事の日は朝早くお家を出ちゃうし、お休みの日もお出かけしたくなって日中おうちにいることはないんだけど、たまにはこうやってのんびりおうちで過ごす休日もいいかも、って思ったよ。だいすきなひとと、おいしいごはんを食べるって、なんともたまらんしあわせな時間だよね。


もっと珈琲に詳しくなって
もっともーっと美味しい珈琲を
淹れられるようになるぞっ



𓂃𓂂🍃𓂃𓈒𓏸𓂃𓈒𓏸


ほっこりおいしいひとときを
これから綴っていこうと思います


またお時間あるときに
お付き合いいただけると嬉しいです


では、また



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