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アラブの王族が作り上げたサファリリゾート シルバ二ヤス島(Sir Bani Yas Island)訪問記


シルバニヤス島とは

 先日、アラブ首長国連邦(以下UAE)にあるシルバニヤス島に行ってきました。
 シルバニヤス島はUAEの西部、サウジアラビアとの国境付近に浮かぶ自然島です。中東地域では珍しいキリスト教遺跡、ネストリウス派の修道院跡が発見されたことでも知られています。もともとはUAEの建国者であるシェイク・ザイードが個人所有していた島で、アラビア固有種ほか世界中から連れてきた動物を島に放し、野生動物の保護地区にしました。その後シルバニヤス島は一般人にも公開され、高級ホテルチェーンであるアナンタラが運営するリゾート地となっています。また、近年では中東クルーズの停泊地の一つとして、ビーチを楽しめる島としても人気です。
 かなり詳細なWikipediaページ(シルバニヤス島 - Wikipedia)が作成されており日本語検索ではいくつか旅行会社のページは引っかかるものの、あまり日本人には知られていないスポットです。

ホテルの予約

 シルバニヤス島のホテルはすべてアナンタラが経営しており、3つの様式が異なったホテルがあります。

アナンタラ公式HP(https://www.anantara.com/en/sir-bani-yas-abu-dhabi)より引用

①Anantara Sir Bani Yas Island Al Sahel Villas
   今回はこちらに宿泊しました。アフリカテイストの自然保護区内にある全室独立したヴィラ形式の客室で、近くまで野生動物が近寄ってきます。
②Anantara Sir Bani Yas Island Al Yamm Villas
 目の前にビーチが広がるこちらも全室独立したヴィラ形式の客室です。ガイドさん曰く地中海がモチーフとのこと。
③Anantara Desert Islands Resort & Spa
 こちらは上2つとは違い、一般的なリゾートホテルです。大きなプールやスパ施設などはこちらのホテルにあります。

 今回は野生動物達とのふれあいを目的に訪れたため、Al Sahelをチョイスしました。12月の日~月曜日宿泊、1ベッドルーム朝食付き2名、サービスフィーと旅行税、VAT(付加価値税)など込みで、AED1687、日本円で約68,000円(1AED=40円で換算)でした。
 Al SahelとAl Yammは建物の構造はほぼ同じなため、値段はほぼ同じ設定となっています。Resortは部屋にもよりますが、もう少し安い部屋もあります。しかし、そこまで大きな差はないこと、ヴィラのリゾート感を考えると、個人的にはヴィラ形式の上2つのホテルの方が満足度は高いと思います。

 予約をするとホテルからアクティビティのプライスリストと、島行きのフェリーの時間予約についての案内が来ます。フェリーの時間は15:00、18:00、23:00が選べます。チェックイン時間の15:00に合わせて到着する便が一番人気とのこと。フェリーについては満席になることもあるため、事前に予約しておくのがおすすめです。
最初にメールで予約の連絡をしたもののホテル側からの返信がなかったため、結局は電話でフェリーを予約しました。

シルバニヤス島までの道のり

シルバニヤス島までの道のり(アナンタラからのメールより引用)

 シルバニヤス島までは車でアブダビから2時間半~3時間程度、ドバイからであれば4時間程度かかります。バスなどは市街地から出ていないため、レンタカーもしくはタクシーのチャーターがおすすめです。


道中、ランドリグ(地上の石油・ガス掘削装置)を見かけました。


 フェリー乗り場の前にバレーパーキングがあります。こちらで荷物を預け、フェリーに乗り込みます。フェリーは中型のものが2隻あり、到着順に自由席で座っていきます。私が乗船した船は満席でした。
 乗船時間は20分程度でシルバニヤス島に到着します。そこそこ揺れるため、船酔いしやすい方は酔い止めを飲んでおいた方が良いです。

港に停泊する送迎船(右端)

 島に到着すると各ホテルごとに送迎車に乗ってホテルへ向かいます。陸で預けた荷物はそのままホテルに運んでくれるため、ピックアップする必要はありません。ホテルへの道中、道端にガゼルやクジャクなどの野生動物と、早速出会うことができました。

ガゼル

客室

 ホテルに到着しメイン棟でチェックインを済ませると、各ヴィラまでゴルフカートで送迎してくれます。この日は建国記念日でフェリーの時間が変わったこともあり混乱していたのか、30分ほどチェックインで待ちました。島全体に建物が点在しているため、移動はフロントに電話しカートや車で迎えに来てもらう形となっていました。電話すると大体5分程度で迎えに来てくれます。

ヴィラ外観
ベッドルーム
記念日での宿泊だったため、お祝いのセッティングをしてくれました
バスルーム

 客室は天井が高く開放的な印象です。また、非常に小さいながら外にはプールもあり、ゆっくりくつろげるベランダ部分が魅力的です。アメニティは基本的なものはすべて揃っていました。気になる部分としては、シャワールームとバスの距離が遠いこと、また野生動物がウリのため仕方ない部分ではありますがベランダ部分で少し野生臭がする箇所がありました。ただ、ベランダで食事をしない限りは許容範囲かと思います。また、ヴィラはそれぞれ独立しているものの、隣同士が比較的近いためベランダ部分同士は若干見える状態になっています。


ベランダに遊びにきたクジャク
物陰かからこちらを覗く小動物

 このホテルの最大のウリは野生動物がすぐ近くまで来てくれること。普段餌付けされているのか、かなり近くまで寄ってきてくれます。ガゼルやクジャク、小動物など多くの動物がヴィラの前に広がる森で暮らしているため見ていて飽きません。自然保護区内にあるため、ホテルまでの道中で見かけた動物の数とは比べ物にならない数見ることができました。動物を目的にシルバニヤス島を訪れる場合はこちらのホテルが最も楽しめるかと思います。
チェックアウトは12時です。チェックアウト後、12時半にフェリーが出港します。

アクティビティ

 ホテルではいくつかのアクティビティを有料で提供しており、今回はナイトカヤックとワイルドドライブを体験しました。この2つのほかにはマウンテンバイクや乗馬、遺跡見学などがあります。事前予約のほか、当日ホテルでも予約できます。今回はホテル到着後2つともアクティビティ予約を行いました。

ナイトカヤック

 ナイトカヤックでは、夜の浅瀬を1時間程度2人乗りのカヤックで探検します。夜のため周囲はまっくらなため、景色を楽しむというよりは星空やカヤックの近くを跳ねる魚を見るのがメインでした。服装は着ていた服のまま行いました。そこそこの運動量があるため、なるべく動きやすい服装での参加をおすすめします。お値段は一人150AED(約6000円)でした。

ワイルドドライブ

 窓が大きく作られたサファリ用の車で自然保護区の中を1時間半ドライブするプログラムです。基本的には車中からの見学となります。(チーターとサーバルキャットの飼育エリアのみ徒歩で見学)1日5回開催されていますが、ガイドさん曰く動物の給餌時間と重なる朝6時半の回が一番動物が見れるとのことだったので、この回に参加しました。

給餌を待つヤギ達
オアシスと鳥類
イギリスから連れてきた鹿
チーターは飼育エリア内にいた
キリンの家族
朝焼けとキリンの大群

 給餌時間ということもあり、たくさんの動物達を見ることができました。特にアフリカから連れてきたというキリンは数多く生息しており、人生で一番多くのキリンを間近に見ることができました。動物達も車には慣れているようで、近づいても特に逃げるそぶりはありませんでした。
 今回参加した回は我々のほかはドバイから来たという家族1組のみで、ガイドさんも丁寧に解説してくれ、動物のほかにもワディ(涸れ川)や王族の別荘、果樹園など島全体の案内もしてくれました。参加費は1人350AED(訳14000円)でした。

食事

 食事については各ホテルにレストランが併設されており、島内送迎でどのレストランも利用することができます。また、ルームサービスも利用可能です。今回は、アルヤム併設のイタリアンレストランで夕食を食べました。料理の味は特筆すべきことはなく、いたって普通。パスタ一皿90AED(約3600円)といった値段の高さを考慮すると、割高感がありました。部屋に帰ってメニューを確認したところ。ルームサービスでもそこまで値段は変わらないようでした。

夕食

 朝食はビュッフェスタイルで宿泊ホテルのメイン棟で取ります。今回は早朝アクティビティに参加したため、アクティビティ終了後そのまま朝食会場へ向かいました。

朝食会場
ペイストリーのコーナー、これ以外もありました

 メニューは定番のパンやサラダのほか、中東料理のコーナーもあり品数豊富でした。また、ライブキッチンのスペースもあり各種卵料理を作ってもらえます。全体的に美味しかったですが、特にムタバル(アラビア風茄子のペースト)が良かったです。

右下の白いペーストがムタバル

 

おわりに

 シルバニヤス島については日英ともに情報が少なく行くまで不安な部分も多かったのですが、想像以上に動物と触れ合うことができ中東らしからぬ雰囲気を味わうことができました。全体的に割高感は否定できませんが、自然を満喫できる体験が多く、従来の高層ビルや砂漠といったUAEの定番リゾートとは一線を画すリゾート島でした。

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