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AWS CEOのMatt Garman氏:CEO就任後1ヶ月、競合他社や数十億ドルの生成AIビジネス、再生可能エネルギーやNVIDIAについて語る


AWSのCEO Matt Garman氏:最新インタビュー(参考訳)
2024年07月03日にシアトルと中継して行われたBloomberg Technologyのインタビュー番組のコンテンツを中心にお伝えします。


 先月6/3にAWSのCEOに就任したMatt Garman氏へのインタビューとして、CEO就任後1ヶ月の状況やAWSの競合差別化ポイント、現在進行中の数十億ドルの生成AIビジネスや生成AIモデルについて、また、再生可能エネルギーやNVIDIAとのパートナーシップについて、網羅的かつ端的にQ&Aが行われました。
 25~26年間に渡ってAWSのビジネスを支えてきた叩き上げ人材で、AWSのビジネスを知り尽くしている1人と言えます。長期視点を持って足元のビジネスを着実に進めてくれる所謂Amazon的な人材として期待大。(あくまでも筆者の所感ですが)
 曰く、クラウドはまだ黎明期で伸びシロは膨大。また新たな生成AI分野には巨大なビジネス機会が前方に横たわっているとして、引き続き圧倒的なスピードでビジネスを成長させ、Amazonにとって長期的に収益性の高い事業であり続けることを目標に掲げていました。
 是非、じょうずな舵取りお願いしたいところです。。

 尚、直近の株価も、ようやく先週に上値抵抗線を超えて推移。新高値圏でサポートラインをつくるのか、まだまだ上目線なのか、という状況です。
 これまで他のマグセブンに比べると、大分出遅れ感がありましたが、TESLAも復活の兆しあり、AMZNには夏枯れ前に少々上昇期待している次第です。(下図クリックでチャート表示)

では、以下ご参考ください。




1. Matt Garman CEO プロファイル

 2005年の夏、当時、Amazon社内で無名の社内ベンチャーであったAWSに若くしてインターンシップとして参加したのがMatt Garman氏
 彼を除く他のインターンが、AmazonのECビジネスに興奮していたが、彼の印象に残ったのが、AWSの前々CEOで現Amazon CEOのAndy Jassy氏のAWSのプレゼンテーション。当時はステルスモードであったクラウドサービスのコンセプトに感銘を受けてジョインすることに。
 それから18年に渡り、AWSでの現場から叩き上げとなるMatt Garman氏は、今や年間売上高900億ドル超を誇るAWSという大企業のCEOに。
 1999年にスタンフォード大学で生産工学の理学修士号取得し、その後、2006年にノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院で経営学修士号を取得。この過程でAWSにインターン参加。


日付:2024年07月02日
番組:Bloomberg Technology
出演: AWS CEO - Matt Garman氏
    Bloomberg Technology - Ed Ludlow氏、Caroline Hyde氏


2. インタビュー(参考訳)


Ed Ludlow : Bloomberg
 
まずは基本的なことからスタートします。
 この30日間、あなたは何をして過ごし、AWSにとって役立つ、もしくは重要な変更をどの程度のスピードで実行しようとしているのでしょうか?

Bloomberg:Ed Ludlow氏
(Bloomberg Technologyより)

Matt Garman:AWS CEO
 
今朝は、お招きいただきありがとうございます。
 素晴らしい最初の1ヵ月でした。様々なチームに飛び込み、各チームが取り組んでいることを理解することができ、特に目の前にあるチャンスに興奮しています。
 私は、顧客とじっくり話し合って、何が顧客にとって重要なのかを理解することに時間を費やしてきました。先週は、生成AIの分野で何が起こっているのかを理解するために、シリコンバレーの小規模な新興企業と多くの時間を費やして話し合いをしました。その結果、これから現れる新たなテクノロジーやビジネスの可能性について、多くの興奮を覚えることができました。 
 今、私は信じられないほど興奮しており、ビジネスの未来を楽しみにしています。

AWS CEO:Matt Garman氏(マット・ガーマン)
(Bloomberg Technologyより)

Ed Ludlow
 
それでは、これから生成AIの話をしますが、あなたの経歴はとても興味深いですね。なぜなら、あなたはクラウド市場でエンジニアリングとセールスの両方をかなり長い期間担当してきたからですが、ご存知のように、我々がAIについて話す以前は、クラウドのストーリーは実に明確でした。世界中の企業がワークロードやストレージをまだクラウドに移行していない、巨大な獲得可能な最大市場規模(TAM)が存在していました。そして最近は、オンプレミスへの揺り戻しが少々発生しているという話もあります。
 クラウド・コンピューティングの基本的な考え方と、獲得可能な市場に対する戦略について少々教えてもらえますか?

Matt Garman
 
これからのビジネスチャンスは本当に大きいです。多くの顧客から話を聞くと、ワークロードの大半はまだクラウド化されていません。実際にクラウドに移行しているワークロードは全体の10~15%に過ぎないという試算もあります。そして、クラウド移行を加速させたいと考えている顧客の声を多く耳にします。
 生成AIやその他のテクノロジーについては、データがクラウド上にないとこれらの新しいテクノロジーを活用することが難しいと多くの顧客が感じています。そのため、顧客は生成AIの新たな時代を迎えて、データをクラウドやデータレイクに置き、安全でセキュアな環境で整理してイノベーションを生み出し、ビジネスに価値を提供するための加速装置を整えたいと考えています。我々は、これらを顧客が価値を生み出すためのアクセラレーターだと捉えています。
 実際に、ほとんどの顧客は、かつてないスピードで、より多くのワークロードとデータをクラウドに移行する方法を見つけようとしています。
これはAWSのビジネスにとっても大きなチャンスで、また、顧客がアジリティを獲得することで、イノベーションを素早く生み出すことができることから、顧客にとっても大きなチャンスになると考えています。すべてのワークロードがクラウド上にあれば、顧客は、自社の顧客に価値を提供することに集中することができます。

Caroline Hyde : Bloomberg
 
アルファベット、マイクロソフト、IBM、その他すべての企業も、この機会をチャンスだと考えているかもしれません。2005年からクラウドをビジネスモデルとして構築して企業を手助けしてきた者として、アマゾンとAWSが現段階でどのように異なっているとあなたが考えているのか興味があります。

Bloomberg:Caroline Hyde氏
(Bloomberg Technologyより)

Matt Garman
 
おっしゃる通り、私はAWSの立ち上げから25〜26年にわたって携わっています。
 我々の特徴はいくつかあります。まず、クラウドの分野で多くの経験を積み、顧客を支援してきたことです。AWSを立ち上げた当初から、最優先事項は、セキュリティだと明言してきました。
 顧客は我々にビジネスや重要なワークロードを預けるので、セキュリティが最も重要になります。そのため、我々は常にセキュリティを最優先にしています。顧客にとって、AWSは安全でなければならず、卓越したパフォーマンスを提供する必要があります。その上で、顧客の技術革新にどのように貢献できるかを考え、パートナーシップを大切にしているのです。
 オンプレミス環境で問題を抱えている顧客や、泥臭い作業に追われてイノベーションのスピードが落ちている顧客の状況を理解したいと考えています。また、我々は非常に豊富なサービスを提供しており、新興企業、法人企業、政府機関など、あらゆる規模の顧客が技術革新を実現できるサービスや機能を提供しています。セキュリティとオペレーショナル・エクセレンスのベースラインがあり、さらに広範な機能があれば、多くの顧客、そしてほとんどの顧客にとって、最適なプラットフォームが何なのか、考えるまでもないと思います。

Caroline Hyde
 
ということは、前四半期のピボット・ポイントを見る限り、AWSの成長はまだ加速しており、利益も引き続き増加しているということですね?

Matt Garman
 
その通りです。AWSは他のどのクラウド・プロバイダーよりも圧倒的なスピードで成長しており、AWSに対して顧客が身を乗り出しているのが見えています。
 クラウドはまだ黎明期にあります。本当に黎明期にあるんです。そして、私たちの前には大きな成長と加速が待っていて、大きなチャンスビジネスがあります。

Ed Ludlow
 
CEOに就任して30日が経ちましたが、生成AIに関する数十億ドル規模のランレートが実際に何を意味するのか、どのように理解されていますか? そのビジネスがどのようなものか、あなたの机の向こうに何が見えていますか?

Matt Garman
 あなたがおっしゃったように、生成AIは、AWSにとってすでに数十億ドル規模のビジネスとなっており、我々にとっても大きなビジネスです。顧客と一緒に振り返ると、この移行がどこから始まったのかが分かります。当初、1年か1年半前にChatGPTから始まって、誰もがそれを素晴らしいテクノロジーだと考えました。そして、最初に皆が行ったのは、基本的に自分のウェブサイト用のチャットボットを作ることでしたよね。
 そして、顧客の移行が進むにつれて、“我々にとっての本当の企業価値はどこにあるのか?“、“どうやって我々の顧客に価値を提供できるのか?“と考えるようになりました。
 そして彼らがAWSのことを考えると、“私には構築できるプラットフォームがある。基本的に安全だ。実際に、顧客のために価値を構築できる機能がたくさんある。“
 そのため、顧客が“どうすれば自社のビジネスに真の価値をもたらすことができるのか?“、“どのようにして収益を伸ばしているのか?“、“どのようにして真のコスト削減を実現しているのか?“、“どのようにビジネスを完全に変革しているのか?“といった問いを目にする機会が増えています。
 これがまさしく、今までの業界のやり方とは違うことであり、これこそが本当の可能性だと思います。
 今日、生成AIのビジネスが数十億ドル規模になっているとはいえ、このテクノロジーの進歩は非常に急速であって、これから1年後や2年後には、多くの業界が、仕事に対する考え方や顧客への価値提供に対する考え方を完全に変えていくことになるでしょう。そして、これはイノベーションとテクノロジー全体にとって、非常にエキサイティングな時代を迎えることになります。

Ed Ludlow
 
世界中のブルームバーグ・テレビとラジオの視聴者のために、CEOのMatt Garmanに話を伺います。就任して30日が経過しましたが、あなたの前任者の重要な取り組みの中には、Anthropicへの投資、そして最近では外部企業にフォーカスしたAdept Labs社からのいわばAcqui-hire(企業買収を通じた人材タレントの獲得)が含まれています。これらのディールは、Amazonが大規模言語モデルに取り組むにあたり、エンジニアのタレントの獲得についての必要性をどの程度示しているのでしょうか?

Matt Garman
 我々の見解では、その可能性は非常に大きいです。AIの分野に目を向けると、誰もが対応できる単一のソリューションは存在しないと考えています。
すべてのユースケースに最適なモデルは存在せず、顧客はさまざまな機能を必要としています。例えば、推論を行うためには大規模なモデルが必要です。
 Anthropicのモデルは素晴らしく、新たなClaude 3.5のSonnetは、現在世界で最も優れたモデルです。しかし、多くの顧客は大型モデルと小型モデルを組み合わせて利用しており、さらに多様な能力も求めています。
 我々が特に期待している分野の一つは、エージェント型のワークロードです。この分野では、モデルが実際に呼び出され、現実世界で何かを行うことが可能になります。我々は、Adept社のテクノロジーがこの部分で特に優れていると期待しています。
 このように、我々はさまざまなコンポーネントが必要だと考えており、その多くはAWSを利用して社内で構築され、一部は我々のパートナーによるもの、また一部はAWSが提供するファーストパーティ製品になります。

Caroline Hyde
 
豊かなエコシステムには、充実したインフラとエネルギーが必要です。エネルギーに対するニーズが高まっている現状をどのように捉えており、またそれをどのように解決しているのかについてお聞かせください。

Matt Garman
 素晴らしいポイントです。
 実際、多くのエネルギーを必要とします。だからこそ、数年前にさかのぼって見ると、AWSは何年にもわたる世界最大の再生可能エネルギー購入者となっているのです。
 その理由のひとつは、このような事態を予測し、カーボンニュートラルで持続可能な方法で十分な電力を供給し、テクノロジーに必要なエネルギーを支える方法を考えてきたからです。
 そして、このことは著しく成長するとも考えており、顧客の必要とするワークロードに十分な電力を供給できるよう、今後も多くの仕事を進めていくことになります。でも、それが私たちの持ち味だと思います。我々は、この分野で良い仕事をするために多くの時間を費やしてきました。どうすれば持続可能な電力を十分に確保できるか、私たちは多くの時間を費やして考えてきました。サプライチェーンに十分な部品を確保し、その支出をどのように管理するのか。
 おっしゃるとおり、これはかなり大きなインフラ投資です。どのように合理的な方法でそれを管理し、ビジネスにとって良いものとするか、また、どれだけの資本を使うかについて責任を持ちつつ、持続可能な方法で世界が必要とする電力供給量を増やすことができるようにするか。それがAWSが人々にもたらす重要なことだと思います。

Caroline Hyde
 
収益性についてお聞きしてもよろしいでしょうか?収益性は著しく向上しています。しかし、疑問に思うのは、投資の段階で最終的に人員削減によるコスト削減でこれを管理しているのか、それともAI関連サービスの価格を高く設定することで収益性を高めているのでしょうか。

Matt Garman
 
我々はこの事業について、時間の波があると考えています。特に、電力やデータセンター、部品やコトなどへの大規模な投資を行う際にはそうなるでしょう。そのため、事業の収益性は時間の経過とともに上下することが予想されます。しかし、長期的にはアマゾンにとって非常に収益性の高い事業であり続けると考えています。
 我々にとって重要なのは、将来に投資し、適切なチームと体制を整え、このビジネスの長期的なビジョンを持つことです。したがって、短期的な視点ではなく、長期的な可能性を追求する方法を模索しています。このビジネスは何年にもわたって急成長を続けるでしょう。適切なインフラを整え、適切な投資を行い、顧客が我々を必要とする時に対応できるようにすることが重要だと考えています。

Ed Ludlow
 
この番組では、例えば、AWSの独自シリコンのトレーニングのようなテーマに多くの時間を割いています。そして、我々はNVIDIAにも焦点を当てています。
 AWSのNVIDIAとの関係やアクセラレーターのデリバリー状況、そして、今後12ヶ月または24ヶ月の何台のアクセラレーターがNVIDIAから受け取るのか、その予測を聞かせてもらえますか?

Matt Garman
 素晴らしい質問です。NVIDIAは我々にとって非常に重要なパートナーです。彼らは素晴らしいプロセッサーを製造しており、この分野で世界最高の技術を持っています。
 ここ数年間、信じられないほどの成果を上げてきました。そして我々は、AI技術が今後何年にもわたってエヌビディアのGPUに依存していくことになろうと信じています。そのため、彼らは我々にとって非常に重要な長期的パートナーだと考えています。そして実際、彼らとの関係はますます深まっています。
 NVIDIAのジェンセンCEOは、ステージで、AWSは彼らのテクノロジー・パートナーであり、その上に独自のモデルを構築していると語りました。彼らは、AWSがネットワークであれ、GPUの可用性であれ、モデル構築において非常に重要な部分であるテクノロジーであれ、圧倒的に優れたパフォーマンスを発揮できると信じています。そのため、NVIDIAは我々の長期的なモデル構築を信頼しており、我々もNVIDIAを活用して何がうまく行くかを学んでいます。
 AWSのデータセンターとネットワーキングから彼らが求める次世代技術が何なのか?
 AWSのデータセンターとネットワーキングには、次世代のテクノロジーが必要です。NVIDIAが提供する最高の技術とAWSの販売力を組み合わせることで、最高の技術を顧客に提供できるよう、我々は素晴らしい協力関係を築いています。


以上です。



御礼

 最後までお読み頂きまして誠に有難うございます。
役に立ちましたら、スキ、フォロー頂けると大変喜び、モチベーションにもつながりますので、是非よろしくお願いいたします。 



だうじょん


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