I have a book hangover: “If We Were Villains”
昨日、セミがベランダでお亡くなりになっていたので、
今日は朝からその方を割り箸でつまんで、
処分するというなんとも形容しがたいことをやってのけた、
来輝です。おはよう。
「自分でやる」って言っておきながら、悲鳴をあげる母。
セミ嫌いだけど、遺体を放置していおけない娘。
やるっきゃない。一人っ子の宿命。
今回は「I have a book hangover」のコーナー。
ちょっと久しぶりかな。
以前、ダークアカデミアの話で、
Donna Tarttの「The Secret History」について語りましたが、
今回紹介するM.L. Rioの「If We Were Villains」も、
少し系統は違えど、ダークアカデミアの本。
主人公はOliver Marks。
殺人の罪で10年間服役した刑務所から釈放される日、捜査の担当刑事Colborneが引退するため、真実が知りたいとOliverを訪ねてくる。
1997年、Oliverは中西部イリノイ州に位置する、
Dellecher Classical Conservatory(芸術学校)の4年生。
Richard, Meredith, Filippa, Alexander, Wren, そしてJamesという6人の才能あるクラスメイトと共に演劇を学んでいる。
教師からの配役はRichardが暴君、Alexanderが悪役、Jamesが正義の味方、
というように、常に固定されてきた。
しかし、その状況が変わる時、
演劇に、悲劇に人生を捧げてきた彼らの人生さえも一変する。
服役を終えたOliverがColborneに少しずつ真相を伝える場面と、
彼が1997年に戻って回想する場面が交互に描かれるので、
自分もOliverから話を聞かされている気分になった。
何も起きる前の7人の掛け合いが好き。
私のお気に入りはFilippa。
「The Secret History」は古典ギリシャや古典ラテン語が、
登場人物に影響を与え、重点が置かれていたのに対して、
「If Were Villains」はシェイクスピアの話がたっぷり出てきます。
主に本の中で触れられるシェイクスピアの作品は、
「ジュリアス・シーザー」、「マクベス」、
「ロミオとジュリエット」、「リア王」っていうところです。
著者自身がシェイクスピアをキングス・カレッジ・ロンドンで学び、
修士号を持っているみたいなので、
繊細にリアルに学生の心情を描けるのかもしれませんな。
ちなみにこの作品は著者のデビュー作。
本の構成も劇の台本を読んでいるような感じになっているため、
演劇好き、そしてもちろんシェイクスピア好きにはおすすめ。
秋か冬に毛布にくるまって、コーヒーかココア片手に読むのがいいと思う。
最後にこの作品から、私が好きな文章をいくつか。
One thing I'm sure Colborne will never understand is that I need language to live, like food - lexemes and morphemes and morsels of meaning nourish me with the knowledge that, yes, there is a word for this. Someone else has felt it before.
今まで出会ったbook quotesのランキングトップ５に入る。
言葉は食べ物。
"We spend four years - and most of us years before that - immersed in Shakespeare. Submerged. Here we could indulge our collective obsession. We spoke it as a second language, conversed in poetry, and lost touch with reality, a little."
没頭する素晴らしいさと怖さ。
"You can justify anything if you do it poetically enough."
「The Secret History」のHenryを思い出す言葉。
「狂気と美は紙一重」っていう感じが、
ダークアカデミアに共通しているからかな。
「The Secret History」やダークアカデミアの話をした記事はこちら。
参考までに。
私は今からコーヒーを飲んできます。
Have a lovely day :)
Laica
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