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I have a book hangover : "Eileen"

雨。寒い寒い。お布団と格闘する朝。

こんにちは。おはよう。来輝です。最近、柿とサツマイモしか食べてない気がする。急に秋ですね。

今回は久々にがっつり洋書のお話。ずっと書きたいなぁって思ってた「Eileen」のお話。昨年の冬に読もうとしたんだけど、なんだかどうしても気分が乗らなくて、途中棄権。今年の9月くらいに再び手に取って、リベンジした作品です。Ottessa Moshfeghは「My Year of Rest and Relaxation」で有名な作家ですが、私はこちらの方が面白かったよ。ちなみに「Eileen」は彼女のデビュー作。PEN/ヘミングウェイ賞受賞、ブッカー賞最終候補。

舞台はニューイングランド、1964年のクリスマス。少年院で秘書として働くEileen Dulopはアルコール依存症の父と二人暮らし。この町から出ていくことを夢見ながら、万引きや少年院で一緒に働いている警備員をストーキングすることで毎日をやり過ごしている。そんなEillenの灰色の人生に突如として現れたRebecca Saint John。2人の友情が行き着く結末とは…

面白かったー。っていうのが一番シンプルで、一番初めに出てきた感想。もうちょっと掘り下げてみましょか。年を取ったEileenが昔の自分を振り返りながら紡ぎだす物語なのですが、あのね、この癖が強くて、自惚れチックでな彼女に慣れるまでに時間を要するよね。Ottessa Moshfegh作品の特徴かもしれないけど、人物や物事がとても詳細に、詳細にしなくていいことまでとことん詳細に描かれているので、目の前にありありと、生々しく、浮かび上がってくる。それ故、気分が悪くなる可能性大。読んでいて疲れることも、正直言って…多々ある。でも、それを乗り超えて、感覚が麻痺し始めて、常識を忘れ始めて、Eileenを「なんか憎めないやつ」に認定しちゃうと、もうそこからはエンジョイするのみ。個人的に、100ページくらいまでは修行でしたわ。後半は良かった。ぐいぐい読んじまった。「大どんでん返し!」とかあまり誇張したくないけど(本の帯のこの台詞によく騙される人は私だけですか)、単純な思考を持つ私にとっては「大大大どんでん返しっ」くらいの衝撃。一人で静かに驚いてた。映画と違ってさ、本の感動や衝撃はリアルタイムで共有出来ないもんね。

この本に再挑戦しようと思いついた時がちょうど「あーなんか変えたいな。変わりたいな。どっか行っちゃおうかな。」ってぐるぐる、ぐつぐつと煮えたぎっていたので、今の状況を脱したい、ここから逃げ出したいと切に願うEileenの心境に共感してまう私がいた。「My Year of Rest and Relaxation」の語り手といい、Eileenといい、理性は共感したくないって言ってるけど、気づいたら本能的に「分かる」って思っちゃうような人物ばかり。癖になる。

倒錯した世界にずるずる引き込まれる感じが、Hitchcock映画ファンは好きかもしれない。是非とも手に取ってもらいたいねぇ。私は真夏に読んでしまったけど、クリスマスが舞台の作品なので、これからの季節にどーぞ。邦訳も出てるって今知った。

ではでは、最後に私の心に残った言葉たちを。

I didn't know that there were others like me in the world, those who didn't "fit in," as people like to put it. Furthermore, as is typical for any isolated, intelligent young person, I thought I was the only one with any consciousness, any awareness of how odd it was to be alive, to be a creature on this strange planet Earth.

I wanted to be understood and respected, you might say, yet I still felt that I might be punished if I expressed my real feelings.

"Eileen" Ottessa Moshfegh

無表情で、無関心。でも中身は結構、ソフト。そんなEileen。地味に常識外れな行動ばかりするけど、嫌いになれない理由はここにある。


Idealism without consequences is the pathetic dream of every spoiled brat, I suppose.

同上

そしてEileenはいつでも辛口、毒舌。心の中でだけだけど。


「Homesick for Another World」も読んでみたい。
Have a lovely day :)
Laica

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