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その58)導入のされ方予想

ベーシックインカムが導入されるとしたらどのようなステップを踏むだろうかということをよく考えます。2024年3月現在、自分の中で今いちばんリアリティを感じているのはこんな感じです。

財源については、国家予算をどのように使うかという話なので、税や保険料などで賄う方法もあるでしょうし、国債を発行してお金を銀行経由で市場に流すという方法もあります。いきなり毎月1人数万円という規模だと多くの混乱が予想されるのと、ベーシックインカムは最低所得保障であるというところから、社会の状況を見て月1万円くらいから段階的に金額を上げるような形で進むと思っています。

現金での支給は膨大な事務費がかかったり、不正がしやすいなどの問題があります。少なくともマイナンバーで受給者が管理されている必要があります。不正がしにくいCBDC(中央銀行デジタル通貨)が発行されたり、マイナンバーと生体認証を紐づけた個人認証技術が確立しないと不正を防ぎきれないでしょう。ですから、この政策が実施されるとしたらこれらの技術が確立してからというのはあると思います。

ベーシックインカムになってももっと稼ぎたいので簡単に仕事を辞める人はいないと予想される反面、収入が少ない厳しい職場は「有能な人から辞めていく」という予想もあります。そうなると人材不足に悩む中小零細企業は倒産するところが増える可能性が高いです。日本人はあらゆる分野で職人が多く、現在も建築や土木、工場関係では定年でたくさんの職人が辞めて困っています。経費節減のため古い装置や道具を使えなくなるまで動かし続けたいという事情があり嘱託で働いている元社員も多いそうです。

ホワイトカラーはどんどんAIに代わっていきますが、職人技はロボット技術も含めアーカイブされていかないと仕事の代替は進みません。これらの職人的な職業のアーカイブが完了するまでの間は少ない額のベーシックインカムになる可能性が高いと思っています。

世の中に必要な仕事であっても給与が安かったり内容がきつかったりして人が集まりにくい職業はたくさんあります。その職業に従事することを推奨する政策もとられるでしょう。大事な仕事やそれを担っている企業は、どんなに小さな規模でも守っていく必要があります。ロボットが代替してくれるようになるまではそれがずっと続きます。

その間、ベーシックインカムは社会の状況に合わせて少しずつ金額が上がっていくイメージがあります。支給金額が上がると、それに伴って所得税の源泉額が上がっていくでしょう。見た目には所得は全く変わらない、いわゆる「プラマイゼロ方式」です。これは生活保護や雇用保険、年金なども同じように調整が入っていくでしょう。そうして不要になった制度から統廃合されていくという流れです。失業者は増えるけれども、誰もがなんとか生活はやっていけるという感じになり、これがいちばん混乱なく進むような気がしています。もっと画期的な方法が見つかればよいですね。

ホワイトカラーは先程の「人手が必要な職業」に移って行くことになります。収入を得たければリスキリングは必須になるでしょう。それが当人にとってしたくない仕事やできない仕事であれば、自然とベーシックインカムのみで生活する世界に移っていく・・・そんなイメージでいます。

ロボットやAIが人間のコストを下回ることで実現する世界ですので、本当にこうなるかはロボット次第です。AIの方は現時点でもホワイトカラーと入れ替わることを容易に考えさせる段階に入っていると感じさせていると思います。

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