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「けい」向き合うことの学び ”人間賛歌「間」を終えて” レポート2022.6

初めまして。
関東で役者をしています、
地域密着型一人演劇ユニット『赤キノコ山と蒸したお酢』代表、
創作集団「けい」作家部・俳優部所属のオガワジョージです。


今回はcreate model けい が2022年6月に行った活動”人間賛歌”のレポートになります。



このnoteマガジンはブランディングの一つとして、地域に向けての活動記録を公開し、経験を共有することを目的に行っています。地域への表現活動に関心のあるクリエイターさんに見ていただけたら嬉しいです。
今回は前回の「人」から得た制作面での学びを活かしながら、
・過去に載せた企画書や準備段階で作成した企画整理書の振り返り
・展示に向けた制作面の準備
・実際に企画を運営してみての学び
・全体的なまとめ
から、良かったところや改善が必要なところを見つけていきます。

こちらが6月の”人間賛歌「間」”のイベントレポートになります。
合わせてお読みいただけたら!
最後の方にリンク集がありますので、そちらからでも大丈夫です。



また、今回の6月活動レポートは18,000字ほどありますので、興味のあるところだけご覧いただけたら。向き合うことの学びはまとめに書かれています。



*****



4月4日~ イベント前、制作準備


「間」の制作準備を始めるにあたって、1月段階にあった構想と「人」で感じたことを上手く合体させていく必要があると感じました。


1月段階の企画整理書と「人」での学びから

1月の段階では第2場「間」はこのようなものをイメージしていました。

第2場 「間」 《変更前》
テーマ :間
日程  :5月30日~6月5日 13時~21時
場所  :経堂アトリエ 2階リビング/和室
内容  :人との距離をテーマにした演劇的な空間展示。
     自分とその周りの関係に向き合う過程を見つめる。
展示目的:自分とその周りの関係について考え、表現する。
コピー :これっくらいかな?
ビジョン:距離が少し縮まる空間になる。
演目  :一人芝居

タイムスケジュール
時間 内容 備考
13時 開場。          清掃を済ませる。
14時 観覧。          パフォーマンスへ呼び込む。
15時 パフォーマンス、振り返り。8月「賛」の宣伝とお見送りをする。
16時 観覧。          照明など、場を整える。
17時 ワークショップ。     和やかな雰囲気をつくる。
18時 観覧。          パフォーマンスへ呼び込む。
19時 観覧。
20時 パフォーマンス、振り返り。8月「賛」の宣伝をする。
21時 閉場。          お見送り、清掃などを行う。

当日運営
1階は「人」のレポート展示を行い、受付を1人配置する。2階をオガワが担当する。

料金
入場、ワークショップ参加 投げ銭制
パフォーマンス鑑賞 500円 (8人予約制、当日券あり、当日精算)
物販 ・読み物(短編集) 300円

パフォーマンスについて『ただいまとお元気ラジオ』
物理的・精神的な距離を感じさせる。スピーカーから親しい人との距離に関する会話の音声を流し、それを聞いている様子を展示する。上演時間30分。

1階 「人」レポート展示
撮影した写真・映像を展示し、観覧可能にする。レポート記事を置く。来客があった場合、機をみて2階で行われる企画へお誘いする。

ワークショップ
時間:1時間
人数:8人以下
場所:2階リビング/和室
内容:
挨拶5分、休憩5分、振り返り10分
「これっくらいかなゲーム」20分
2人1組をつくる。3人組があっても良い。対面で座り、相手の目を10分間見つめる。このとき、会話はしない。離れたいと思ったら離れ、近づいても大丈夫そうだと思ったら近づいてみることを促す。10分経ったら、そのまま起立し、その距離よりも遠くにいかないようにオガワがヒモで結んでいく。それぞれの距離について簡単にふれる。
 
「新聞紙島ゲーム」20分
先ほどの組と別組とでジャンケンをする。このとき、足元には新聞紙を広げる。ジャンケンに負けた場合、新聞紙を折りたたみ、その上に2人で乗る。5秒キープできたら続行し、足が離れたら負けとする。ジャンケンに勝った場合は、一回分新聞紙を広げられる。
ジャンケンは基本的にペアで交代しながら行い、話し合いによっては1人がずっと行うことも許可する。相手となる組がいない場合、オガワが参加する。
※進行上の注意
・ゲームとして楽しめる雰囲気づくりを心掛ける。
(お手洗いに行きたい方がいた場合、ヒモを外す)
・無理に距離を詰めようとしなくて良いと促し、組ごとに声かけを行う。
・相手を傷つける言動があった場合、注意を促す。
・様子を撮影し、SNSに載せても良いかを確認する。(希望者には顔が映らないよう加工)

予算案
未記入。

「けい」企画書の学び より


当初の「間」は人との距離感をテーマにした展示で、自分とその周りの距離に向き合う過程に目を向けようというものでした。レポート展示で前回からのつながりや積み重なりを感じてもらうことも考えていました。
ワークショップも参加者の方々が人との距離を直接感じられるようなものを、と思って構想していました。


「人」で感じたことがこちら。

この1週間は経堂に宿泊し、今まで体感してこなかった朝と夜の風景を感じられました。滞在制作のような形式で、そこに住む人と街の雰囲気を体感しながら展示を制作していけたことがとても良い時間になりました。

経堂は商店街がたくさんあり、通りは人で賑わいます。駅近くは直線の立地でほんの少し進むと住宅街、小道が多くなる感じがします。その小道をすっとつなぐように緑道。桜並木があって、そこを昼夜問わず上を向きながらお散歩される方が大勢いて、ベンチで一休みする老夫婦が印象的でした。公園は夕方辺りまで子ども達がいて、元気な声が聞こえていました。

個人的に好きなところは、経堂を横に走る小田急線です。駅からアトリエに向かうときはいつも高架下を通ります。アトリエの屋上からは、家々の間を電車が絶えず行き交う様子が見れます。朝は屋上に出て、数分だけ眺めるのがルーティーンになっていました。

5月の人間賛歌「間」では、人と街との”距離”がテーマです。
「人」ではたくさんの挨拶ができました。
つながりも増え、気にかけてくださる方ができました。
そんな方々と少しずつ関係性を深めるために、”距離”を測りたいです。

第1場を終え、幕間に入ります。

「はじめまして お久りぶりです またいつか。」

「人」イベントレポート より


滞在制作により経堂の人や街の雰囲気を直に感じられたことが大きかったです。その結果、”距離を測る”というテーマが膨らみ、経堂の街全体と向き合いたいと感じるようになりました。構想していた制作内容も違う方向に進んでいきました。


さらにより良いものにするために、「人」での改善点をクリアしようと考えました。

もっと工夫が必要なところ
・スケジュール表、香盤表を具体的に作成して見通しをもつこと。
・フライヤーデザインにおいて、何が必要な情報なのか、どうデザインするのかを見る人の立場になって考え、学ぶこと。
・フライヤー作成をすませ、ネット印刷をいつでも頼める状態にし、早い段階から余裕をもって宣伝に力を入れること。
・制作作業は役割を分担するなどし、余裕をもたせる仕組みを整えること。
・当日運営で自信をもつこと。
・アンケートや当日パンフレットなどに次回以降の情報を載せること。
・(助成金、補助金の申請をすること)

「人」制作の学び より


広報や運営の部分での工夫が必要でした。
全体的なスケジュールをざっくりとでも良いので早めに立て、SNSでの告知タイミングを考え、前もってフライヤーデザインを完成させることが目標となりました。



企画整理書

これらを踏まえ、このような形で進めようと考えました。


第2場   《変更後》
テーマ :間
日程  :5月30日~6月5日 13時~21時
場所  :経堂アトリエ 2階リビング/和室、ほか
内容  :
・人や街との「距離を測る」=「対話」をテーマにした空間展示。
・経堂を探索しながら人のインタビューから制作した“手紙”を読むワーク。
・経堂の街に触れた人同士の哲学対話。


展示目的:
第1場「人」では「自己紹介」を行い、人や街に密着する入り口に立てた。第2場「間」では、出会った人や街と関係性を深めるために向き合い、距離を測りたい。自分とその周りの関係を色んな視点で捉え、相手を知っていきたい。

コピー :これっくらいかな。
ビジョン:参加者が、自分の相手となる人や街がちょっと気になり、関心を持つ。
演目  :朗読
 
タイムスケジュール
13時 開場、ワーク適宜開始。
受付とワークの案内係を別々にする。17時までにはアトリエに帰ってくるようにアナウンスをする。
14時
15時
16時
17時 パフォーマンス(朗読)
終了後、哲学対話へ呼び込む。
18時 哲学対話
1時間ほど。残りの時間は自由時間。
19時
20時 パフォーマンス(朗読)
明日以降のワーク、哲学対話へ呼び込む。
21時 閉場
お見送り、清掃などを行う。
 
当日運営
受付を1人配置する。ワーク案内係を1人配置する。「人」「間」展示の案内は不要。
 
料金
探索ワーク「たんけん」 500円
哲学対話 「おはなし」 1,000円
朗読   「しおり」  500円 8人予約制
通し券   1,500円
(当日券あり、当日精算、現金のみ)

パフォーマンスについて 朗読『しおり』
インタビューして作成した3つのしおりと、そこまでの道筋の小話を朗読する。上演時間40分。途中休憩あり。
 
2階「人」レポート展示
撮影した写真・映像を展示し、観覧可能にする。レポート記事を置く。

予算案
広告印刷費(ネット印刷、中折、100部) 5,000円
取材費                20,000円
書籍費                6,000円
滞在費、交通費など          5,000円
撮影費                10,000円
制作費                5,000円
支出予想              計51,000円
元手資金               7,500円

 
撮影
・お店の方とのインタビューの様子を写真(できれば映像でも)撮影する。
・参加者の方についていき、様子を写真・映像で撮影させてもらう。
・“参加者”に焦点を当て、“参加者”がどのように街と対話をしているのかを軸に、遠くから撮影する。手紙を読むときも同様に、人と手紙との間にあるものを観察できるようにする。
 
クレジット
 
撮影:スゲノリュウゴ
共同制作:長谷川 祐輔
協力:マホラ食堂、山とハチミツ、DAY DRIP COFFEE、稲垣 美侑
主催:経堂アトリエ
企画・制作:赤キノコ山と蒸したお酢
 


「間」のざっくりスケジュール表


企画の変更前と変更後の大きな違いは、街に目を向けているかどうかかなと思います。「距離を測る」という部分は変えず、人との心の距離だけではなく、人と街との心の距離を測るという方向性になりました。

そのため、人との距離感を感じてもらおうと考えていたワークショップはなくなりました。パフォーマンスで扱う作品も、人だけでなく場所がメインの作品を考えるようになっていきます。

スケジュール表はexcelで作成してみました。最初はフライヤーと予約フォームの準備に時間を使おうと考え、あとから中身を整えていくというスケジュール感でした。
また、今回は経堂アトリエの長谷川さんに共同制作という立場で参加してもらいました。今までは自分一人で決めなければいけなかった事柄を、相談して決めるようにしたことで、悩む時間を減らしながら制作の質を高められるのではと考えました。


これから、スケジュール表の通りに実際に進めていけたかどうかを振り返っていきます。



フライヤー作成・宣伝

「人」の期間中に次回の「間」に使えそうな写真を撮ってもらえたら嬉しいなと考え、撮影のスゲノ君に頼んでいました。
撮影してもらった写真の中から、人と街との心の距離を測るというテーマに合うような、距離を感じられる写真をメインにしようと選びました。
それがこちら。


外の緑がとても映える写真で、経堂アトリエとの距離感も良いと感じました。
開催時期の6月は梅雨でもあるので、湿っぽい感じもプラスに働きました。


これをもとに、デザインしていったものがこちら。
・SNS、印刷用(本チラシ)
・地域の掲示板用
を同時進行で作成しようとしていました。


4月20日段階の初期デザイン。
ワーク内容から「じゃらん」など旅行雑誌の表紙をイメージして、
掲示板用に作成していました。


前回よりもポップな見ためで、色味やフォントで目を惹こうと考えました。スケジュール表の締め切りは4月25日で、まだ掲示板用のものしかできていなかったので、遅れることになりました。
正フライヤーデザインは5月9日に完成、10日に微調整を行いました。


表面。
明るさと色彩を少し落として白文字を見やすくしようとしました。
キャッチコピーのみフォントを変えて可愛らしい感じに。
場所情報を載せる部分は白文字だと見にくかったため囲いました。


裏面。
裏デザインは全場統一しようと考え、「人」のものを再利用。
今回は内容が大幅に増えたり、フリーパスを導入したりと情報をまとめるのが大変でした。
また、再利用したためにORコードが前回のままというミスもありました。


「間」のフライヤーは中折形式にしました。


開くと「人」の簡単なまとめがあるイメージです。
来ていない方にも「人」からのつながりを感じてもらいたいという狙いでした。


「間」の具体的な内容が書かれています。
「人」は緑、「間」は青のイメージカラーとなっています。
赤と黄色は今後用いる予定の色です。


10日で正フライヤーのデザイン作業が終わり、11日からSNSでの宣伝を開始しました。スケジュール表の予定から遅れてしまい、開催の約3週間前という感じではありましたが、反省を活かして前回よりもかなり早い宣伝をすることができました。
正フライヤーの発注も行い、開催10日前からご協力いただいた各お店に置きチラシをお願いすることができました。

また、掲示板用フライヤーの掲載期限が来てしまったため、新しくデザインをしました。制作を進める中で変更になった部分もあったため、情報を直しました。


2枚目の掲示板用フライヤー。
朗読は「しおり」へ変更に。
涼しげな雰囲気を出そうとフォントを選びました。
キャッチコピーは、経堂在住でありながらも経堂アトリエを知らない方
の目に留まると良いなと思って書いたものでした。


最後にデザインした掲示板用フライヤー。
これも前回の掲示板用の再利用です。

フライヤーデザインでやりたかったことは、
・テーマの「人と街との心の距離」を感じてもらうデザインにする。
・前回とのつながりを感じてもらう。
・盛りだくさんの内容をきちんと整理して届ける。

でした。
成功かどうかは分からないものの、宣伝写真について褒めてもらえたり、中折を開いて「人」の内容を確認してもらえたりと、良い感触を得ました。
しかし、ワーク「たんけん」や朗読「しおり」についてどういうワークなのかもう少し詳しく知りたそうな方もいらっしゃいました。

デザイン作業の裏では、予約フォームの作成も同時に行っていました。



予約フォーム・確認メール

今回もグーグルフォームで作成し、「人」のものを再利用しました。
盛りだくさんな内容だったため、どのようにすればストレスなく予約ができるかを考えました。


冒頭の部分には説明を書きました。
フライヤーの裏面を作成してからの作業だったため、
記載ミスを起こさず、修正を繰り返さない工夫をしました。


スクロールすると展示会の概要に。
内容は簡単に。


予約の部分に「タイトルと説明を追加」し、
内容について少し細かく書きました。


今回からフリーパス制度を導入。
最大でも料金を1,500円にとどめる制度になります。


工夫としては、
・フライヤー情報が決まってから予約フォームを作成し、ミス&修正を少なくする。
・冒頭の説明欄に毎回戻らなくても良いように、タイトルと説明を追加。
・フリーパス制度の例を載せ、当日に変更できることを伝える「その時考えてみる」選択肢を入れた。

という感じでした。
確認メールにおいても、何日何時の回で、何を予約したのかが分かりやすいように余白をもうけたりしました。

内容が盛りだくさんな分、ミスがないようにする意識が前回よりも強かった気がします。


制作に入るまでの準備が終わり、いよいよ制作に入っていきます。



5月1日~ 制作開始と予定変更

4月後半は舞台出演があったため、制作開始は5月に開始しました。
4月のうちにご協力いただけそうなお店にアポイントをとっておき、5月から取材をする予定で動きました。

1日 初めてのフィールドワークを行う。
3日 片瀬江ノ島で開催されていた稲垣美侑さんの個展へ。
6日 マホラ食堂さんでお昼。フィールドワークを行う。
21日 稲垣さんとお話。掲示板に掲載。山とハチミツさんとお話。
22日 経堂経済新聞さんとお話。掲載していただけることに。DAY DRIP COFFEEさんとお話。
23日 マホラ食堂さんにインタビュー。3日間の滞在制作開始。
24日 フィールドワーク。経堂の周囲の街まで自転車で回る。
25日 滞在制作終了。
28日 フィールドワーク。
29日 人間賛歌仕込み

記録があいまいな部分もありますが、この日程以外にもおそらく数日経堂に通っているかと思います。
はじめはご協力いただこうと考えていた方々に、それぞれインタビューをして、お店や経堂についてのお話を聞き、まとめたものを朗読しようと考えていました。しかし、残りの日程的にも時間がなくマホラ食堂さんのみインタビューを行う形となりました。

フィールドワークは、まずは自分自身と経堂の人・街との距離を測ろうと始めました。「人」では経堂の雰囲気を感じたものの、駅⇔経堂アトリエ・知っているお店までの道しか知らず、経堂を具体的には知らない状態でした。
歩いて回るときはワーク「たんけん」でこんなものがあったら良いなというイメージがあったので、その素材集めを行いました。
そのうちに地域トークのような「どこどこの通りのあそこのお店が…」という話ができるようになり、少しずつ街のことを知れていると実感しました。

自分が「たんけん」することで、参加者の方々と実体験を交えてお話することができ、より良い時間にできたなと感じています。



ワーク「たんけん」について

このワークが「間」の要になる内容でした。
経堂アトリエで”ある場所までの道のりを載せた写真図”と”場所に着いたら参加者に読んでもらう「しおり」”を渡し、街の中を歩いてもらうというワークです。

きっかけは1冊の本でした。
「人」の会期中だった4月2日・3日にアトリエで開催された「春のフェスタ」の読書会イベントに参加したとき、高山明さんの『テアトロン ~社会と演劇をつなぐもの~』という本が扱われていました。

高山さんの実践の数々を読書会で知り、中でも「東京オリンピック」の実践から感じたものを経堂でできないかと考えて行ったワークになります。


高山明さんの「東京オリンピック」映像


高山明さんについてのインタビュー記事


演劇ユニット Port B ホームページ 『テアトロン ~社会と演劇をつなぐもの~』


しかし、どのくらいの参加者が集まるのか分からず、場所まで案内する仕組みを整えにくく、コロナの関係もあったため、案内人が不必要であり1人~3人ほどの少人数グループで動ける仕組みが良いのではないかと考えました。
案内人の代わりに、場所までの一連の道のりを簡単なコメントつきの写真図にすることを思いついてからスムーズに制作を行えました。

次に、場所のことを説明してくれる案内人がいないなら、参加者が場所に着いた後「何をすればより良い体験にできるか」が大切になる気がしました。はじめは「お店側の想いを知ってもらうことで食品やお店への見方が変わる体験が届けられたらが良いのではないか」と考え、インタビュー記事を作成しようとしていました。
しかし、時間的に余裕がなくなってしまったため、その場所をもとに創作した短編作品を読んでもらうことにしました。

そんな流れで「参加者がアトリエから出発し、街を歩き、お話を読む」ワークができました。ワーク「たんけん」の目的は2つありました。
・人と街との心の距離を測ってもらう。
・お店を知ってもらう。
4つの場所のうち3つは経堂のお店であり、はじめて経堂にいらした方が今後も経堂に通いたくなるような体験にしたいと考えました。そのため、参加者にはお店に着いたあとに食べ物を注文してもらい、それと一緒にそのお店についての短編作品を読む形にしました。


表面には場所の説明を書き、裏面に写真図。
一緒に手渡すしおり。


4つのうちのあと1つは、稲垣さんの場所でした。千歳船橋と経堂との境目にある場所になります。片瀬江ノ島の個展で感じたことをもとに合う場所を探しました。他の3つの場所は決まったあとだったため、それらのお店とは逆方向の場所を考えていました。どこか良いところがないかと探していると、いきなり大きな穴が空いたような工事前の空き地を見つけ、ここしかないと即決したのを覚えています。バチっとパズルのピースがはまったような、不思議な体験でした。


経堂の街は南北にのびる烏山川緑道が散歩道となっていて、人々に愛されているように感じていました。千歳船橋の方まで行くと別の通りとぶつかるのが面白かったです。また、経堂駅を出て右側の農大通りという通りも昼夜問わず人で賑わう道です。街を横断する小田急線も目立ち、これらの特徴とちょうど良く4つの場所が重なり合っていました。
ワーク「たんけん」は経堂初心者の方にとても楽しんでもらえる内容になったのではないかと考えています。

また、経堂アトリエさんの方で、ワーク中のお客様が怪我をした場合にきく保険に加入していただいていました。街歩きなど、危険の伴うワークを行うときは考えの中に入れておくのが良いと感じました。


朗読「しおり」について

ワーク「たんけん」で読んでもらう短編作品を、経堂アトリエ内で朗読するものです。4つの場所にそれぞれ1つずつ創作しました。

「たんけん」の参加者には街を歩いたあとにお店の中で読む”読み物”として楽しんでもらえうよう、「しおり」の鑑賞者にはまるで街を歩きお店の中にいるかのような”想像”がしやすいよう、描写を工夫して創作する必要がありました。お店の中で読む物として、ちょうど良い長さはだいたい1000字くらいだろうという考えもありました。

作品の核になるところは、オガワが実際にその場所で感じたことだったり、店主の方々とお話したことだったり、お店のホームページにあるコンセプト・理念だったりしました。見聞きし、感じたことを想像のお話でつなげていくパズルのような感覚で書いた印象です。

「しおり」そのものの装丁には時間をかけて悩みました。
ワークのときは写真図と一緒に持っていく”旅のしおり”を感じられるもので、朗読のときは小道具としてシンプルで雑味のないデザインのものを考えました。
最終的に、経堂の文房具屋ハルカゼ舎さんと雑貨屋stockさんで封筒を選び、”手紙”にイメージが寄った装丁になりました。


朗読では左の袋に短編を入れました。


ワークのときに手渡すしおりの封筒。



「おはなし会」について

内容は経堂の街をテーマにした哲学対話でしたが、哲学対話の言葉になじみがない人には固い印象を持たれてしまうのではないかと考え、この名前にしました。

「おはなし会」は経堂にあまりなじみがない参加者が、ワーク・朗読の時間を通して感じたことを対話する場として設定していました。経堂に元々住んでいる方々となじみのない参加者との対話も期待していました。

1日の流れとしては、

ワーク「たんけん」 13時~17時
朗読「しおり」 17時~18時
「おはなし会」 18時~19時

という流れで、フリーパス制度によってできる限りすべての内容を体験してもらい、人と街との心の距離を深く考えてみようという仕組みになっています。

おはなし会の具体的な段取りは共同制作の長谷川さんにお任せしていました。レジュメを作成していただき、哲学対話とは何かというお話から、対話の実例を知り、ルールを共有してから始めるという段取りでした。
長谷川さんの哲学対話の場はとても雰囲気が穏やかで、言葉の温度を感じる温かい場な感じがします。

最終日はオガワと長谷川さんのトークセッション回を設け、準備期間から最終日までの振り返りを行うことにしました。



展示「間」について

前回は1階のギャラリースペースを使用していましたが、今回は2階のリビングと和室を使用しました。企画整理書では人や街との「距離を測る」=「対話」をテーマにした空間展示を目指していました。

制作物が多く、空間も工夫を凝らしたいと考えていたので、展示の構成図を作って整理しました。

▽2階
リビング/キッチン

受付がある。
小さなテーブルとイス、体温計、アルコール消毒、金庫などが置いてある。

リビング/床
机は奥と左側にある窓の方に寄せられており、本棚の横には植物がある。
中央に茶色の紙紐で円が形作られていて、そばに「経堂アトリエ 0 m」と書かれている。
円からは紐が何本か壁の方に伝っている。

リビング/壁
紐をたどってみると、壁に写真が貼られているのが分かる。
そばに「写っている場所の名前 〇m」とあり、経堂アトリエからその場所までの距離だと分かる。
他にもいくつかの写真が貼られており、円から紐が伝っている。

リビング/机
机の上にはフライヤーの束とクリップ、ワーク「たんけん」に用いる「しおり」が場所の名前(ポストカード?)ごとに置かれている。場所の名前の近くに「〇m 片道〇分~」と書かれている。付箋とペンが用意されていて、紐に巻きつけられるようになっている。
机の下にはイスが用意されている。

玄関から中央の円まで紐がつづき、円からさらに壁へとのびていくイメージ。
部屋の隅にある四角は机で、上にさまざまなものが置かれます。
はみ出ているのは出窓。


▽和室
「おはなし会」と書かれている大きな画用紙が机の上に置かれている。
画用紙には「経堂との心の距離は… 近い ⇔ 遠い 」とあり、そばに付箋とペンが用意されている。
机の周りに座布団が置かれ、休憩スペースとしても用いられる。

上は箪笥部分。
展示を見た後にここで談話するイメージでした。


この構成のもとで制作した実際の展示空間はこのような感じ。


初日の様子。
構成案に沿った空間ができたと感じていました。


円をリビングの中央に置いたのは、そこにお客様が入り、「経堂アトリエ」の場所からつながる外の景色や街をよりイメージしてもらい、距離を感じてもらうためでした。紐は道のイメージで、室内でも外の雰囲気をつくろうと紐の上には葉っぱをつけました。
しかし、お客様が実際にその空間に入ると、どうしたら良いか今一つよく分からなそうな様子でした。円の中に自然と入っていく方もいませんでした。

2日目にいらしたお客様とお話し、ざっくりとまとめると「空間的に出オチ感があり、何がやりたいのか散漫な感じがした」というような感想をいただきました。
検討していくと、展示されている空間や物をぱっと見ただけで終わってしまい、それらについて深く理解するための説明がないことが問題だったことが分かりました。
そこで、一般的な美術展にあるような展示全体のステートメントや作品のキャプションをつくり、参加者が企画⇔展示空間⇔「たんけん」⇔「しおり」⇔「おはなし会」のつながりを深さをもって感じられるように工夫をしました。


2日目以降の展示空間。
机を動かし、円をより分かりやすくしました。
机によってその周りを歩く導線ができ、
お客様に自然と写真を眺めてもらえるようになりました。


ワーク「たんけん」のキャプションとルール。


人間賛歌「間」のステートメント。


ステートメントやキャプションをつくったことで、全体的なまとまりが良くなったように感じました。人や街との「距離を測る」=「対話」をテーマにした空間展示としてもきちんと機能した印象で、ワークや朗読が終わった後は和室で対話をする時間が多かったです。



「経堂との心の距離」ポスターについて

お客様がお帰りになる前に、ご自身と経堂の街との距離を考えていただき、付箋に書いて貼ってもらうというポスターです。
心の距離が「近い」は好き・気になるという方向で、「遠い」は嫌い・あまり気にならない、その中間はどちらとも言えないという感じです。

経堂駅からアトリエまでの道のり、ワーク、朗読、おはなし会を通して感じた・考えたことを言葉にし、他の方々の言葉にも触れることで、体験としてまた一つ深くしたいという目的でポスターを置くことにしました。
人間賛歌の最後である第4場「歌」の制作の素材集めの側面もありました。


ポスターと付箋。



5月30日~6月5日 人間賛歌第2場「間」開始、向き合うことの学び

制作期間を終え、企画整理書通りにいったところ、いかなかったところがさまざまありつつも、開催することができました。
少しずつ振り返っていきます。



スケジュール

人間賛歌第2場「間」の当日の予定スケジュールは企画書の段階ではこんな感じでした。

タイムスケジュール
13時 開場、ワーク適宜開始。
受付とワークの案内係を別々にする。17時までにはアトリエに帰ってくるようにアナウンスをする。
14時
15時
16時
17時 パフォーマンス(朗読)終了後、哲学対話へ呼び込む。
18時 哲学対話1時間ほど。残りの時間は自由時間。
19時
20時 パフォーマンス(朗読)明日以降のワーク、哲学対話へ呼び込む。
21時 閉場。お見送り、清掃などを行う。

基本的にはスケジュール通りに進めることができました。今回もお客様がいないときは他の仕事をしていましたが、初日から数名のお客様がいらしてくださいました。
20時の朗読が終わった後、和室に移って対話を行いましたが、アンケートやポスターの記入などもあり21時以降までのびることが多くありました。

6月1日まで終わったところで、体調に違和感を感じて翌日の2日をお休みすることにしました。「人」が終わってからすぐに準備に取り掛かり、フィールドワークや制作をとめどなくやっていたために、限界が来てしまったという感じです。
詳しくはまとめに書こうと思いますが、この2日のお休みで感じたことが「向き合う」ことのとても大きな学びとなりました。



予算・支出と収入

企画書段階で考えていた予算案です。

予算案

広告印刷費(ネット印刷、中折、100部)    5,000円
取材費                   20,000円
書籍費                   6,000円
滞在費、交通費など             5,000円
撮影費                   10,000円
制作費                   5,000円
支出予想                 計51,000円
元手資金                  7,500円

広告印刷は前回と同じラクスルで行い、色んなパターンをやってみたいとA4サイズの中折光沢紙(コート)を選びました。100部の予定でしたが、お店に置きチラシをお願いしたり「たんけん」でお客様に配布することを考えて200部刷りました。
予算の5,000円から大幅に上回り、8,400円の支出でした。
ご協力いただいたお店にだいたい5部~10部ほど置かせていただき、お客様にも数部持ち帰っていただけましたが、100部ほどの余りが出ている状態です。
どのくらいの部数を刷るのかは、今後の支出を抑えるうえで必要なところだと思うので、対策を考えたいと思います。

取材費20,000円はお店での飲食代やフィールドワークに用いました。実際に使ったのはざっくりとした計算ですが18,000円ほどで、予算の中に収めることができていたように思います。

書籍費6,000円は高山明さんの『テアトロン』の購入のみとなり、予算範囲内に収まりました。

宿泊費・交通費5,000円は企画書段階でどんなイメージだったか忘れてしまいましたが、予想よりもフィールドワークのために経堂に赴く回数が増え、大幅に上回りました。だいたい15,000円ほどかと思います。

撮影費10,000円は撮影のスゲノ君と相談し、1日拘束は難しいとのことで、
1H 1,000円 × 3H + 往復の交通費 ということにしていただきました。

制作費5,000円は主に展示空間に用いる備品や小道具を購入しました。「しおり」の封筒を多めに買ったこともあり、わずかに上回った感じがします。

ざっくりと、支出予想の51,000円前後に収まったのではないかという印象です。また、今回から試験的に会場費として売り上げの半分を経堂アトリエさんにお支払いするようにしました。
内訳は後ほど追記しよう思いますが、総売り上げ13,500円の半分の6,500円をお支払いし、残りの7,000円が収入となりました。



アンケート分析

今後の企画の進め方・パフォーマンス向上のために、お客様の情報をデータにしてまとめてみようと思います。

動員
5月29日(プレ開催) 2名
5月30日 2名
5月31日 1名
6月1日 2名
6月2日 お休み
6月3日 1名
6月4日 1名
6月5日 3名

年齢層
20代 9名
30代 2名
50代 1名

地域
東京都 7名(うち世田谷区 1名)
埼玉県 2名
神奈川県 3名

イベントを何で知ったか
関係者から 5名
Twitter   4名
掲示板   1名
未回答   2名

次回のイベントに
参加したい 11名
未回答   1名

その他展示のみご来場いただいた方々や、アンケート未回答の方々も含め、約15名ほどの動員でした。今回は全日程にまんべんなくお客様がいらしてくださいました。

年齢層については、20代が9名と多く、内5名は僕のお知り合いの方々でした。残り4名は「地域の掲示板を見た」が1名、「Twitter」が1名、「関係者から」が2名の内訳です。掲示板やTwitterで早めに宣伝できたことが功を奏したのではないかと考えています。

地域については、埼玉県や神奈川県といった他県からのお客様だったり、東京都内にいても経堂の街に初めて来るという方にいらしてもらえたことが嬉しかったです。そういった方々と「街」について対話できた時間はとても有意義でした。

イベントを何で知ったかについては、「関係者から」が多く、2番目に「Twitterから」という結果でした。ある程度宣伝に余裕を持って取り組めたことが理由かと思います。「未回答」の2名は僕のお知り合いなので、やはり「関係者から」が多くなりました。

「人」のテーマは自己紹介だったため、世田谷区に在住の方々に観ていただきたいと考えていましたが、今回のメインターゲットは在住の方々ではなく、経堂をあまり知らない方々でした。
僕や、僕の企画をきっかけに初めて経堂に来たという方が何名もいて、足を踏み入れてみてどんな雰囲気を感じたかを話し合い、それぞれの「街」について深まる時間を過ごして、やって良かったなと感じました。
前回よりも動員数的には少ない数字ですが、一人ひとりと対話する時間を設けられたことで、かえって満足度があがったような感覚があります。

人間賛歌の全体目標の一つとして演劇人(俳優・スタッフ・観劇者など)以外の方に作品を届けることも掲げています。
そういったところで、今回も展示のみ観覧されたお客様も含め、半数が現在の演劇と距離のある方々だったことも良かったと感じます。

アンケートで一点だけミスを改善できなかったことがありました。
次回の情報や、終演後の告知をしておらず、お知らせのチャンスが限られてしまいました。
アンケート欄にお知らせ用のメールアドレスやSNSアカウントを書く欄を設けていると、興味を持ってくださった方々に連絡ができると考えたため、そのように改善していきます。
情報を渡すチャンスを作り、取りこぼさないようにすることが大切だと感じます。

内容的には満足してくださる方々が多いことにほっとしつつも、次回以降の継続的なかかわりの機会を逃してしまったことに後悔しています。



展示・ワークなど

お客様とお話するなかで、「一連の流れ(展示→ワーク→朗読→おはなし会)で参加できて良かったです」というような感想をいただけたことがとても嬉しかったです。
別々の内容としてあるのではなく、展示空間を見てざっくりと雰囲気を知り、ワークで実際に街に出て知り、朗読を聞いて想像し、おはなし会で感じたことを深ぼるという流れで、つながっているからこそ深まる感じ方があると考えて構成したため、狙い通りでした。

しかし先述の通り、そのつがなりを示すためのステートメントやキャプションがなかったため、狙いが正確に伝わらない側面もあったという感じです。「どうしてこういう活動をしているの?」と聞いてくださった方もいて、すべては語れないものの、目に見える文章で残す大切さを学んだように思います。

「間」では、企画にご協力いただいた方々が一気に増えました。
経堂アトリエのあすかさんや撮影のスゲノ君から、共同制作の長谷川さん、マホラ食堂の鵜沼さん、山とハチミツの田中さん、DAY DRIP COFFEEの黒田さん、画家の稲垣さん、経堂経済新聞・さばのゆの須田さん、ハルカゼ舎さん、stockさんなどなど。
お一人お一人とこれからの関係性を始められたと思うと、嬉しい気持ちでいっぱいです。色んな方々との関係性の上に成り立った企画だなと振り返りました。



イベント後、レポート作成など

create model けい では、企画したもののレポートをできるだけ書くようにしています。創作ワークショップのレポートだったり、今回の「間」のレポートが主にそれにあたります。
さらに、月ごとの活動をまとめたレポートがあります。
今回のレポートのように、企画を一歩引いた目線で書くようにしています。
最終的に年間レポートとしてまとめを書きます。

企画レポートは、企画に来ていないお客様に雰囲気が伝わり、興味を持ってもらえるように試行錯誤をしています。追体験のような感じを意識しています。今回も最終日の6月5日のみの撮影でしたが、スゲノくんに撮ってもらった写真は温度や空気感を感じられる写真で、ワクワクしながら作成を進めました。

「間」イベントレポートは現在40回ほど閲覧されております。
「人」イベントレポートは160回、「人」制作レポートは80回ほどです。
とても嬉しい気持ちです。
今後も少しずつ興味を持っていただけるようがんばります。



まとめ、次回に向けて

良かったところ
前回の反省を活かしてスケジュールを組み立て、運営できたこと。
・企画書を変更しつつも、目的に沿って制作できたこと。
・メインターゲットだった地域在住以外の方に一定数来ていただくことを目標として、実際に来ていただけたこと。
・経堂経済新聞さんに取りあげていただけたこと。
・グーグルフォームの文面をこだわれたこと。
・展示、ワークなどが満足していただける内容だったこと。
・地域の色んな方々と関係性を始められたこと。
・予算組みで大幅な増減はなく、想定内に収まったこと。
・イベント終了から約2週間経ち、コロナ関係のご連絡がないこと。


もっと工夫が必要なところ
・今回のような企画を動かすとき、体力面を考慮すること。
・アンケートや当日パンフレットなどに次回以降の情報を載せること。
・(助成金、補助金の申請をすること)


6月6日に片づけを終え、長谷川さんと振り返りをしたとき、こんなメモを残しました。”関係性”についてのイメージ図解?です。



上からのびて点になっているのが、関係性の始まりである自己紹介。
そこから平面的に横に広がるのが、表面を広く知りながら対象との距離感を測ること。
下にらせん状に深まるのが、想いを馳せたり伝えたりしながら関係性を深めていくこと。
この図全体でやっていることをひっくるめて”向き合う”ことなのかもしれない、と感じて書いたイメージ図です。

この数ヶ月間は”向き合う”ことについて考える期間でした。
「人」が終わり、エネルギーを使い果たし、さて「間」の準備に取り掛かるとき、歯を食いしばっていたことに気づきました。
やりたいことを自分で望んでやっているのに、どうして歯を食いしばるんだろうと考えるようになりました。

無理はしない、自分を大切に、気持ちを大事に、と考えながらも答えは出ないまま、制作に入り、何とか開催しましたが、6月2日にガス欠になりお休みしました。

2日は長谷川さんと経堂駅の隣にある豪徳寺駅に行き、その街並みや豪徳寺にあるたくさんの招き猫を眺めてきました。「これまでの制作を振り返ってどうか」「お客さんとの対話はどんな感触か」「対話のイメージカラーは何色か」「どうしてそう思うのか」みたいなことを境内を回りながら話した記憶があります。
そこで、結局僕は何がやりたいんだろう、何をしているんだろうというような話になりました。


1日経堂を離れて休んだことで、経堂の人や街と関係性を深めようと急いで頑張っていたから辛かったんだと気づき、視界がぱっと開けるような開放感がありました。
そして関係性を深めていくには”時間”が必要だとも気づきました。
時間という最後のピースがはまって、僕はこの企画で、人や街と”時間”をかけて”向き合い”、”対話”をしながら”関係性”を深めたかったんだと納得しました。

2022年のたった1年間で、経堂の人と街と一気に関係性を始めて、心の距離感を測り、想いを馳せ、想いを伝え、深いところでつながろうとすることは、日常で考えられうる深い関係性をつくるスピード感よりもかなり速い。ワークショップなどを通して数日間のうちに深いつながりができる場合もありますが、演劇人ではない方々ときちんと段階をふんで「丁寧に向き合う」ことが根底にある企画(今まで書いてないかもしれませんが……)のため、スピード感はそもそもいらなかったのです。
create model けい の企画自体が10年かけて行うもので、人間賛歌が終わってからの8年間、はたまたcreate model けい の企画が終わったあとも、経堂の人や街とこの先の人生ずっと関わっていけるのに、そこが抜け落ちていました。もしかすると10年も速いかもしれませんね。


※2日、豪徳寺にて。長谷川さん視点のお話。


こういった気づきや学び、出来事がありながら「間」は終了しました。
支えてくださった、ご協力いただいた、ご来場されたすべての方々に感謝をしたいです。
人間賛歌、折り返しです。
本当にありがとうございます。
人間賛歌終了まであと4ヶ月、今後ともよろしくお願いいたします!

現在は2022年9月。レポートの完成が遅れてしまいました。
今は8月開催の「賛」のレポート作成と、10月の「歌」に向けて制作をしています。




次回は「賛」イベントレポートになります。
テーマは「想いを馳せる」です。
さまざまなワークを通して大切な人やものに想いを馳せました。
想いを馳せるとはどんな行為なのかを考えていきます。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


リンク集

create model けい マガジン

高山明さん関連
「東京オリンピック」映像

インタビュー記事

演劇ユニット Port B ホームページ

※2日、豪徳寺にて。長谷川さん視点のお話。


いただいたものはすべて創作活動にあて、全国各地を回って作品をつくったり、地域に向けた演劇活動の資金にします。「たった一人でもいいから、人生を動かす」活動をより大きく、豊かに頑張ります。恩返しはいつになるか分かりませんが、必ず、させてください。よろしくお願いします。