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贈られた言葉で息を吹き返す

最近、じぶんの内省ばかりに集中していたからか、周囲の状況を見る、知る、ということが欠落していたような気がする。あくまでも自己診断ではあるけれど、誰かと時間をかけてとことん話してもどこか腑に落ちなかったり、あまり前向きな気持ちになれなかったりと、もやもやを越えてむしゃくしゃするような瞬間も重なるなどした日々がほんの少しだけ続いた。その理由も、どうしてか、探すことができずに毎日が過ぎてしまっていた。

ずっとこんな気持ちで居られないなーなどと考えながら、努めて冷静に頭と手足を動かすなかで、いつもの書き物をしていたとき、編集で入ってくださっている方からこんなキーワードをもらった。


必要度


希少性


原稿の修正箇所を含み送られたマインドマップには、画面の端まで大木の枝のように伸びるアドバイスの数々があった。その一端に、この言葉。北極星を見つけたような気持ちと、安心感に加えて背筋が伸びるというか、目が冴えるような感覚に襲われた。

わたしが書いているものはコンセプトに添えているのかな。
書いたものは本当に必要な話題なのかな。

そして、あの日インタビューしたゲストは、このコラムを読んで笑顔になってくれるかな。

忙しさでも、気力が落ちたのでもない、なんだか分からない不調の日々に、とても優しい光が差し込んだ瞬間だった。

「必要度と希少性…必要…希少…そうか、そうかそうかそうか。」

最初に書いた文章から、不要になった自分だけの回顧録ともいえるエピソードと、無理な接続、付け足しすぎた飾りを除いて、本当に書かなければいけないことを、どんどんと、本当に腱鞘炎になるのではないかというぐらいにどんどんと打っていった。それでも書いては消し書いては消しを繰り返し、タイトルすら決まっていなかったコラムへの肉付けはわずか半日足らずで完成し、清々しい気持ちで編集者へ送り出し「めちゃくちゃいいです!」の太鼓判をもらい、今月も公開に至った。

明らかに、公開当日の心持ちはこれまでと違っていたと思う。

実はいつも、少しの不安感から爪が食い込むほどにきゅっと握りしめて迎えていた公開日だった。これまでにも沢山受け取ってきた彼からのキーワード。なんと今までの私はそれらの咀嚼が足りなかったのだろうという反省も同時に襲ってきたけれど、今回は心からやりきったというか、書いた言葉とも伴走してくれる人たちとも向き合った自負とでもいうべきか、そういう心の平安を持って穏やかに届けられたような気がする。

「必要度と希少性」

編集者の方にすれば、もしかすると提案してくれたキーワードの一粒に過ぎなかったかもしれない。けれども、公開からまだ日が経っていないながらにも、今日のわたしのあらゆる選択に影響を及ぼすほどの価値が、この贈り物には確かにあった。

わたしにとって、わたしたちにとって、本当に必要なこと。
島にしかないこと。島でしかできないこと。
それらを見て触れる人々が心から笑顔になるもの。体験、言葉、景色、感触、味わい、風、音。


最近、島とは少し性質の異なるコミュニティでも働きなから得ている気付きのなかで、よく耳にするようになった「骨子」。今回身体に刻まれそして染み込んでいった2つのキーワードは、わたしが言葉を紡ぐうえでの骨子になっていくかもしれない。

本物の価値を目と感覚を澄ませて見つける、ということを勝手に学ばせてもらった。

自信を持って、などと書いてしまった。まだまだな粗さは、当然プロの方からすれば否めないとも思う。
けれどもこの心地よさは、読んでいる誰かにもきっと伝播するだろうと信じて。


日頃にも増して、心からの感謝を。


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