見出し画像

夫とお買い物デートレポ:お食事編

私は自由を夢見る籠の中の小鳥だ。
小鳥は現在不自由な暮らしをしている。
田舎住まいで夫の両親と同居していて、車が一台しかないからこれはもうイコール不自由。

田舎に車は必須だ。
お金があるから、ないから、なんて言ってられないレベルに必須だ。
大人が一つの家に4人いるなら、車が4台ないと困るレベルで狂おしいほど必要だ。

そんな九州の田舎の住宅街の一軒家に、私は夫子供と義理の両親と暮らしている。
大人が4人。
車は一台。

義母と義父が車で食料品の買い出しに行ってくると仰れば、私たちはその間家から一歩も出られない。

休日の午後お腹がすいたが家に碌な食料がない。ちょっと近所のコンビニにお弁当でも買いに行こうかな、ついでにアイスでも…ワクワク。
出掛ける支度をした後に、気づく。
車がない。
コンビニは歩いて片道30分の、そこが最寄りだ。

家にいると思っていた義父がいない。
やられた!
そうなったら最後、我が家に残っていた唯一の食料であるバナナで命をつなぎながら、いつ帰るか分からない義父の帰りを待つしかない。

そんなままならない状況なもんだから、夫と二人でふらっと気の向くままお買い物に出かけるなんて、夢のまた夢だ。

今回の買い物デートも息子を預かってもらい、車を使用するために義母と粘り強く日程調整を重ねた末にようやく実現したものだった。

そんな経緯もあり、たった半日夫と買い物に行っただけの薄い内容がnoteの記事3つにも渡るよく分からない感動長編になったというわけだ。

ラストはお食事編。

ブルガリでピアスを購入した後、我々は踊るような足取りで予約したお店に向かった。
前日慌てて予約したお店のため、諸々リサーチ不足感はぬぐえないが、とにかくオシャレな外食と言えば「アヒージョ」だと思っていた20代前半の感覚のまま、塩こうじのアヒージョがおいしいらしいお店に入り、迷いなく食物界の至宝、ニンニクを別料金で追加投入する。

さて予約時間が早かったこともあり、予約したお店はレストランというよりもカジュアルなカフェといった雰囲気がまだまだ濃厚に漂っている。
若い女子とその母親と思わしき仲良し親子がパンケーキなどを食べる隣で、アヒージョと生ガキ、グラスワインの白を頼み、大人の女感を存分に味わう。

もうねこの際、味がどうとかじゃないんですね。
アヒージョと生ガキとグラスワインを頼んだ自分に酔いまくるんですね。(とりあえずで予約したお店だから味にはあまり期待してなかった)

生牡蠣は若干の生臭さを感じたがオーライオーライ!決して悪くはなかったよ!

大人の自由時間を全力で堪能する小鳥

塩麹のアヒージョは普通に美味しかったが肝心要の塩麹がアヒージョにどのような素晴らしい作用を及ぼしていたのかは謎だった。
ていうか、いた?塩麹君。
オーライ!

夫は帰りの運転があるため、スイカのノンアルコールカクテルと、タコのから揚げ、それにカキフライを選ぶ。彼は最近タコやらイカやらの美味しさに開眼した。

想像の5倍くらい大きなスイカがカップの淵にドドンと乗っかったドリンクに目を輝かせる夫。

上に乗ってるスイカは美味!ドリンクは果汁感ゼロのシロップ味!オーライ!

揚げたてのタコのから揚げをハフハフ食べながらスイカにかぶりつき感無量の夫をほほえましく見ていると、私たちの2つ隣の席に座る男女の声が途切れ途切れに聞こえてきた。

「…にしても可愛いよね。…ナンパされる…しょ?」
「うーん…ま…時々…かな」

あっという間にタコを平らげた夫と目が合う。
「どんな関係かねぇ」
「あの距離感、付き合ってる感じじゃないよね」
「今はやりのマッチングアプリとか?」
「はーん、あり得るね」

自分たちのことに集中すりゃいいのに、そういえば私も夫も昔からこういう場では周囲の会話が気になるタイプなのであった。

主に男性が自分の仕事について熱く語りつつ、要所要所で女性を持ち上げる。
いかにも自分に自信のある話しぶりが鼻につくが、血気盛んなお年頃の男性らしく、可愛らしいといえなくもない。

落としたい女性を前にしたちょっと腕に覚えのある男性はとかく自分が如何に価値のある優れた男であるかを語りたがる。

うんうん、いいねいいね。
私がニヤついているのとは対象的に夫は何やら苦虫を噛みつぶしたような表情。

「なんであのタイプの男ってなんだかんだモテるの?!」
「実態が伴っていようがいまいが根拠のない自信に溢れた男っていつの時代も一定の女性を惹きつけるもんなのよ」

そんな話をしていると、不意に男女のテーブルから不穏な単語が耳に飛び込んできた。

「スキマ時間に出来て…」

あっこれ急激にネットワークビジネスの可能性高まったぞ。

・スキマ時間
・やりがい
・満員電車に揺られ通勤する死んだ目をした大人の一人になりたい?

このあたりはかなりのきな臭ワードだ。

ますます耳ダンボになってしまったが、そろそろ本格的なディナータイムに突入し周囲が騒がしくなってしまったためこれ以上の情報収集は諦める。

結論、ネットワークビジネスで効率的に稼いでいる俺をアピールしている男性とイマイチ乗り気になれていないモテる女性(初対面)と結論付けたが真相は闇の中だ。

お腹も心も満たされた後のコーヒータイムほど幸せを感じる瞬間はない。
案内された席がたまたま大きな窓の側で、キラキラに輝く夜景が一望できる席ならなおさらだ。

「俺…夜の街、好きだわぁ…」
大げさだが私には、生きていて良かった、そんな風に聞こえた。

結婚直後から夫の鬱など、想定外の(主に悪い)ことが起きすぎたため、これまで楽しむことを後回しにしてなんとか人生をサバイブしてきた感がある。

これから少しずつでも生活を楽しむことにも目を向けていけたらいいなと思った、そんな買い物デートとなった。




サポートいただけたら、美味しいドリップコーヒー購入資金とさせていただきます!夫のカツラ資金はもう不要(笑)