やさしい不登校入門 図書館へ行こう篇
図書館に行こう
日中は家族の目が辛いよね。
とりあえず、「勉強してきます」と言って、図書館に出かけましょう。
私が、「ああ、中高の時に読めていたら」と思った本を紹介します。
一つが、トマス・マンの「魔の山」。
会社帰りに手に取った理由は、村上春樹の「ノルウェイの森」の主人公が大学の屋上で得意気に読んでいたから。
へえ、そんなに得意気になる本ならいつか読んでやろうじゃないか、と思っていたけど、敷居が高い気がしていました。張り切って読み始めてみると、思いのほかスラスラと高原の療養施設の光景が頭に描かれていきます。
この本がもたらしてくれるのは、「友達とや身近な人と、真剣に真剣な話をしてもいいんだ」ということ。
中高生になると皆、自身の心の深淵が自身へ語りかけ始めるのに、おしゃべりな同級生は、カップ麺の上に浮いて来た脂のように軽薄な話題にばかり一生懸命。
心の深淵は行き場を知らず、身近なはずの友人も遠くなっていく。だから苦しい、という人は多いんじゃないかな。
抱えきれない深淵を、いまでこそネットで共有することもできるけれど、例えば遠い国の少し昔の彼らはどんな風に、深淵を語っただろう。
若い心の深淵に、私たちをとりまく政治に、身近な友人や知り合った誰かとすぐに語り合える議論好きのドイツ人の姿が描かれていて、とても羨ましいと感じたのです。
私が置いて来た学生時代、心に燻りを隠したままふざけたりせずに、こうして心の真ん中を言葉にして懸命に語りかけることができていたら、世界はもっと面白かったのではないかな、そう思うので、お勧めしたいです。
もう一冊は、京極夏彦のデビュー作シリーズ。
京極夏彦の京極堂シリーズは、ミステリーに分類されているけど、本質はオカルトを触媒として心と科学の間に無限に有る哲学を掘り下げていることだと思います。科学書籍としての情報量が多いです。
心理学、社会心理学、精神医学、科学。
アニメ化する程キャラクターが立ちつつも、鬱々とした戦後すぐの日本の和洋が暗く混ざった雰囲気を備え、尚且つ知的好奇心をたらふく満たすことができる。
立方体に近い分厚さで、ドロップアウト時に読むにはもってこいです。
以上二冊を紹介しましたが、選ぶ基準として、魔の山のように教科書に載っているとか、賞を取ったとか、世間の評価という物差しはわかりやすく手軽ですね。実際に、そういう本を読んでしまえば、「なんだこんなものか」と、その本を読んだ上から目線の人を、一気に何百万人か倒せる効果があるのですから。
きっかけはそんな低い意識でも充分です。
また、新しい芥川賞などの受賞作品が載っている文芸雑誌もなかなかおススメだけれど、諸刃の剣です。
皆が学校で授業を聞いている時に、そこから離脱しているザワザワした気持ち。
時を同じくして、芥川賞やら文学賞やを取ってレッドカーペットを歩く人物がもし自分と変わらない年齢なら、グサっと来るかもしれないから。
それも刺激としては悪くないけど、心が弱っているなら古い本が良いです。時を超えられますから。
図書館にあるどんな本でも良いです。
ラノベでもティーンズラブでも良い。
学校に行かずに、ボーイズラブの「終わりのないラブソング」を読破したこともあります。
グイン・サーガなどを遺した栗本薫の作品だとその時は知識がなかったけれど、ラノベ、TL、BL、質が高いものはどういったジャンルにあっても高いです。
本を読むことに行くことについては、こちらにも記事を書きました。
ではでは、良い不登校の始まりを。
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