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はじめまして。
19歳に慣れないまま20歳になろうとしている、なっつと申します。

食べる方のピーナッツも、スヌーピーが出てくるPEANUTSも好きです。推しはライナスです。
先日ついに谷川俊太郎さんが、全作品の翻訳が終わったと発表されましたね...!お金をためて全部買ってやろうと思います。うへへへ。

こんな感じで1回生の時から京大生のような顔をしてリアルゼミの運営に携わっていますが、京都府立大学の2回生です。大学では福祉の勉強をしています。
自己紹介がてら、リアルゼミの運営に携わって考えたことをつらつらと書いていきます。

Aさんは順風満帆、Bさんは波乱万丈?

さっそくですが、試しにAさんとBさんの人生を読んでみてください。あくまで例なので軽い気持ちで読んでくださいね。

【Aさん】
三人兄弟の末っ子。
小学校では男子に交じって遊ぶ活発な子で、地域のスポーツ少年団にも参加していた。
五年生の時に転校した学校で、親友と出会い、仲良くなる。
地元の公立中学校に進学すると、オール5やそれに準ずる成績を取り、生徒会長に選出される。
「尊敬しています、頑張ってください」という投書が届くなど、会長として人望を集める。
高校は地元屈指の公立進学校に入学し、何度かテストで学年一位をとる。
高校三年の文化祭では美術面で貢献し、出演した劇も最優秀賞を獲得する。
公立大学に現役合格し、現在は充実した大学生活を送っている。

【Bさん】
三人兄弟の末っ子。
兄とは仲良しだったが、姉とは小さいときにいじめられたトラウマから、うまく話せなかった。
小学生の時に両親が離婚し、父親が家を出る。
母親の再婚後、Bと姉は4人で、兄は父と共に暮らした。
中学校では部長を務めるが、部員をうまくまとめられず、貴重な後輩が辞めてしまう。
母親・再婚相手との関係が悪化し、あまり口を利かなくなる。
高校三年生の秋、心から尊敬していた大切な人が自死する。
第一志望の大学受験に失敗し、現在は後期で合格した大学で学んでいる。

いかがでしょうか。これだけ読むと、Aさんはキラキラした人生を送っていて、Bさんはなかなかハードな人生を送っているように見えます。

実はこれ、AさんもBさんも私のことなんです。ただの自己紹介でした。

Aさんのパートでは私の人生における比較的明るい出来事を、反対にBさんのパートでは比較的暗い出来事を、それぞれピックアップしてみました。母が再婚したから転校して、生徒会長と部長を兼任していたから期待と重圧を感じていたわけです。

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(生徒会長のときに使っていたメモ帳。右ページに「特別な想いを3年生にあげる あったかいんだからぁ」って書いてありますね。懐かしい、、)

このように、語り方次第で私の人生は良くも悪くもなります。順風満帆な人生を語ることも、波乱万丈な人生を語ることもできちゃいます。

でもどちらも真実で、私のリアルです。

ぐらぐら is 「リアル」

リアルゼミも同じではないでしょうか。私たちが目にする「リアル」は、語り方によっていくらでも変化するような、不安定なものだと思います。

当事者に登壇してもらい、自身のライフストーリーを語ってもらうというやり方は、「リアル」に限りなく近いものです。なにしろ「本人」が「目の前」で「自分の話」をするわけですから。生の声をダイレクトに聴ける体験なんて、そうそうありません。

しかし、「語る」という行為をする以上、登場する話や言葉は、すべて語り手のフィルター、それも日によって異なるフィルターを通しています。

だから当然、今日聞いた話と明日聞いた話が全く違う、なんてこともあり得ます。「生きているだけで価値がある」と言っていた人が「働かなければ意味がない」と口にしたって、少しも不思議ではないのです。

多分、どっちも正しい。その揺らぎこそ、「リアル」。

…なんて偉そうに語っていますが、初めて運営した昨年度は、正直そこまで考えられていませんでした。

依存症の回で京都ダルクの職員の方が講師として来てくださった際、「薬物を使用する前の生活に戻りたいか」という質問に対して「戻りたくない、ダルクと繋がれた今が一番良い」というようなことを仰っていました。

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それを聞いた時、私は「なんて希望に溢れているんだ...!」と軽い感動を覚えました。

でもよく考えると、常に「今が一番良い」と思っているとは言い切れないですよね。
もしかしたら「クスリやらなきゃよかった」と後悔する夜もあるかもしれないし、「どっちでも良い」と思う瞬間だってあるかもしれない。
ロボットじゃないんだから、その時によって変わって当たり前。
最近やっと気づきました。

なんか「リアル」って文字だけみると一本松みたいに堂々とそびえたってる感じがしませんか?「どや!これがリアルや!」みたいな。

でも実際は、右にいったり左にいったり、押しても引いてもとれちゃいそうな、抜けかけの乳歯みたいにぐらぐらなんだと思います。

そのぐらぐらこそが、話を聞く醍醐味のような気がします。

「イメージ」

リアルゼミは「障害者」にまつわる一般的なイメージを打破することも目的の一つだったりします。
講義を聞くたびに、「障害者」と呼ばれている人は「障害者」の前に一人の人間であって、私と共通する部分もたくさんあるということに気づかされました。(前回、ピースさんも言及されてましたね)

講義中も、終わったあとも、「『障害者』『健常者』と分けるのって無理があるよな」と何回思ったことか。実際に私の「障害者」に対するイメージは大きく変わりましたし、変わったのは生で本人の声を聞けたからです。

だけど、本人の声を100%そのまま受け止めて、「この人って○○なんだな」という新たなイメージが固まってしまうのは、それはそれでちょっと怖いなと思います。

新たなイメージが良いものであれ悪いものであれ、「この人って○○なんだな」という固まったイメージは、いつしか「障害者って○○なんだな」というイメージに変わり、結局「障害者」と「私たち」を区別することに繋がりかねないような気がするんですよね。

「障害者」に対するイメージを打破するためにやっているのに、新たなイメージで「障害者」を縛ってしまっては元も子もない。

だから「今語っていることがその人のすべてではないし、ぐらぐらなリアルを少しだけのぞき見させてもらっている」という気持ちで話を聞いて、運営をしていきたいです。

いろいろ書いたら所信表明になっちゃいました。
まあ難しいんですけどね!難しいですけど、ぼちぼち頑張っていきます。

さて、次回は7/29(水)投稿予定です!
就活を終えたばかりのメンバーが登場します。
きょうだい児という視点から、就活中に感じたこと、もやもやetc色々書いてくれています。
読み応えばっちりの文章ですので、おヒマなときにぜひぜひ読んでみてください!(そしてフォローもぜひぜひお願いします!)

ではまた!お体ご自愛下さい!

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