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A Man of a Small Calibre
カナダではワクチン接種が進んで新型コロナウィルスの新規感染者が激減し、経済再開が進んでいます。しかし、デルタ株が増えてきている……。 そんなわけで、お店の中に入るにはまだまだ必ずマスクをしなくてはならないのですが、夏になってマスクで顔を覆うのがつらいのと経済再開の喜びから、マスク着用を嫌がる人もいます。先日、マスクをしていないおじさんが、スーパーマーケットへの入店を拒否され、店頭でごねていました。若い店員さんが気の毒でした。 揉めている間、後ろで待たされた私は「器の小さい男だな」と心の中でつぶやきました。このような状況で男性に対しては「XXが小さい」という表現がよく使われます。文化的に「男たるもの大きくあれ!」と求められるのですね。しかし、女性とて同じです。 そこで、「A man/woman of a small calibre」という表現を紹介しましょう。Calibreは「器量」の意味です。 英語を学びはじめるとき、ポジティブな表現や自分を卑下する表現をまず学び、ちょっとむかついたときなどに言いたい言葉は後回しになります。「I’m angry」と言いながら地団駄を踏むくらいしかできません。しかし、それは語学学習におけるサバイバルスキルなのです。幼児が母語を学ぶ場合と同じです。まずは「ママ、ママ!」と可愛い言葉を発し、「このババア!」と言えるようになるのは、自分の足で走って逃げる能力を体得してからです。語学学習でも、人をけなす表現を学ぶのは、外国語である程度自己弁護できるようになってからです。そこに行き着くまでは、腕力に頼るか、我慢するかの二択です。英語学習、がんばりましょう!
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I was miles away
日本語で「あ、今、ぼうーっとしてた」と言うとき、比喩的に「あ、ちょっと今遠い世界に行ってた」と言うことがあります。英語だと「I was miles away」です。比喩的にではなく、本当に「遠く離れたところにいた」の場合も、「I was miles away」ですが。 「mile」が使われているので、これはアメリカ英語ですね。イギリス英語だとどうなるんでしょう? Kilos away??? なんか響きが悪いですね。別の表現がありそうです。カナダ英語は、文化的にはイギリスの影響が強くても、地理的にアメリカに近いので度量衡に関しては入り混じっています。なので「I was miles away」と言っても通じます。 カナダで難しいなと思うのは布を買うときです。店員によって、ヤード(yard)、メートル、インチのどの単位で注文しても、換算して「単価はヤードだからこれくらいになるけどいい?」と親切に対応してくれる人もいれば、メートルで注文すると、「うちはヤードでしか売らないから!」とぶっきらぼうに言う人もいます。 ところで…… 先日「ピヨちゃん」を初登場させた動画の再生回数が桁外れに多く、驚きました。そして、なんと、初めての「dislike」を獲得しました! この動画チャンネルは「ユーチューブ」という大海の一滴にもならず、わずかな回数しか再生されていないので、ある意味、「dislike」は一大ニュースです。
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My lips are sealed
英語でも「My lips are sealed.」と言いながら、指先でチャックを閉めるような仕草をする人もいます。その辺は、国境ないんでしょうか。他の言語だとどうなんでしょう? 「絶対誰にも言わないでね」と言ったって、人のお口にチャックなどできません。秘密とは不思議なもの。誰かに秘密を打ち明けられると「信頼された」と思ってうれしくなる反面、それを誰かにばらして、信用を裏切ってしまうのです。 なーんて言うと、「やだやだ、自分のことは絶対誰にも言わないでおこう!」と思うかもしれません。 でも、自分の苦しみを他人に打ち明ける行為は、自分を客観視する第一歩のような気がします。苦しみや悲しみの主人公になっている間は、そこから抜けられない。だって、主人公なんですもの。 とはいえ、人に苦しみを打ち明けるとき、何も赤裸々にぜーんぶ話す必要もないと思います。文章を書いたり、絵を描いたり、俳句を詠んだり、写真を撮り歩いたり、何かしら自分の思うままにできることで、心の中の黒いものを浄化させて表現するのもいいかなと思います。 話は変わり、動画に新しく登場したピヨちゃんですが、他の2つ(キクとタマ)と同じメーカーのものなのに、この子はやたらとはきはきしゃべるのです。開けてびっくりです。実はそれぞれに癖があり、猫のタマは、私がしゃべっている先からものまねしはじめるので、結構大変です。トイプードルのキクちゃんは、英語を話す設定なのですが、英語の子音をうまくキャッチできません。まあ、英語ネイティブでない私の英語がうまく聞き取れていないだけなのかも……
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I took the rap for it
「rap」には「非難」という意味があります。「I took the rap for it. 」は「かばってあげた」「かばってやったんだよ」くらいの意味です。「I took」で始まるくらいですから、積極的に罪をかぶってます。 無償奉仕という言葉がありますが、それはバランスがとれている場合にのみに通用するものだと私は思います(主従関係がはっきりしている関係とか、相手が「公共」「大義」「神様」のような自分よりも大きな存在の関係とか。平等でない関係のほうが無償奉仕しやすくないですか?)。「XXXしてあげた」が「XXXしてあげたのに」に変わるとき、バランスは崩れているのです。崩れているバランスを直すとき、なぜか人間は「ただでは置かないぞ!」と思ってしまいます。裏切られたと思うからでしょうか。最初の一歩は無償奉仕のはずだったのに。複雑ですね。 ところで…… 動画の投稿は久しぶりです。ずっと前に撮りためてあったのですが、編集する時間がなかった。この4カ月間、私の中では大書を訳していました。数えたら、これで11冊目でした。2014年に出版翻訳を始めたので、なかなかよいペースで仕事を受けているのではないかと思います。出版翻訳を始めるにあたり、諸先輩方に「10冊やって一人前だと思ってもらえる」と言われましたが、今はその言葉の意味がよくわかります。それは、翻訳の技量だけでなく、時間配分を自分で決めてスケジュールどおりに仕事ができるか(たった一人でやるのでプレッシャーがすごい)、次につながる仕事ができているか(思うように仕事がはかどらず、原作者など他人のせいにしたくなる誘惑に耐える)、ある種のことをペラペラSNSで言わないとかが試されているのだと思います。それに、10冊もやると、様々な関係者から厳しいフィードバックをもらうので腕も磨かれます。 文筆業って自己実現じゃなくて「職業」なんだな、としみじみ思います。はるか遠いところに「自己実現」のゴールはありそうな職業ではありますが。
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I'm melting
私の住んでいる北国では、30度を超える日はそんなに多くはないですが、30度を超えようものなら、「暑い暑い!」と騒ぐ人が半分、長い冬のつらさを思い出して「夏を楽しめ!文句言うな!」とたしなめる人が半分、といった印象を受けます。しかし往々にして、「暑い」という言葉は繰り返されると、うっとおしいものです。 そこでもう少しポジティブに「I’m melting!」と言ってみることを提案。「溶けてしまいそう!」の意味です。結婚式でバージンロードを歩くとき、感動で足がすくみ、せっかくのお化粧が流れるほどの涙を流してしまいそうなときには、down をくっつけて「I’m melting down!」と言うのもありです。 食料品を両手に抱え、お母さんが帰宅する。お母さんは汗をだらだら流しながら、「溶けそうやわ!」と一言。それを聞いた子どもは、「そうか、お母さんは溶けるほどに暑いのか」、よし、ここはひとつ、うちわであおいであげよう…… と親孝行。 お母さんも決して、「I’m melting! Melting! Melting!」とこれ見よがしに何回も言ってはなりません。人前で(←ここ重要)ドラマチックに「I’m melting!」と一言発し、買い物袋をドサッと床に置く、これだけでいいのです。 「Melting」と言えば、「Melting Snow」を「残雪」とか「なごり雪」と和訳したりしますが、逆転の発想は、翻訳の基本技術のひとつでもあります。 ところで、今回動画に使ったミニチュアのオレンジジュースは、最近買ったものです。まねっこのぬいぐるみたちには小さすぎます。ミニチュアの世界では縮尺が重要なのです。