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教員採用試験対策教育時事「いじめ」は教職教養で頻出の法規をあわせて覚える

いじめ
聞くだけでいい気持ちがしない言葉です
ですが
一向になくなりません

いつの時代も
そして
どの年代にも
起こり
心を悩ませる
いじめ

いじめは
いじめられた
と感じたら
いじめ
となります

ここがはっきりと
定義されているのが
いじめ防止対策推進法
(平成25年9月28日)です

今回は
教員採用試験対策としての
「いじめ」について
教育時事、教育法規両方の視点からお話します


いじめ防止対策推進法|いじめの定義

まずは
必ず覚えておきたい
いじめ防止対策推進法第2条

平成25年9月28日
いじめ防止対策推進法が施行されました
そこには
いじめの定義として
以下のような条文があります

いじめ防止対策推進法
(定義)


第2条 
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう

 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。

 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。

 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。

(いじめ防止対策推進法第2条)

いじめは
「対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」
となっています

ちなみに
この法律の対象は
小学生 中学生 高校生 と覚えておくとよいです
(2項、3項)

いじめ防止対策推進法から

いじめをした子とされた子 別の場所で学習 させていいのか


いじめ防止対策推進法から

必要がある時は
いじめを受けた児童等と
いじめを行った児童等は
別の場所で学習をすることができます

根拠法規

いじめ防止対策推進
第23条4項

学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。

(いじめ防止対策推進法第23条4項)

いじめに懲戒はOKか


いじめ防止対策推進法から

教育上必要があるときは
懲戒は認められています

教育上必要がある場合
校長及び教員の
学校教育法第11条の規定に基づいた
懲戒は認められています

根拠法規

いじめ防止対策推進
第25条
校長及び教員は、当該学校に在籍する児童等がいじめを行っている場合であって教育上必要があると認めるときは、学校教育法第十一条の規定に基づき、適切に、当該児童等に対して懲戒を加えるものとする。

(いじめ防止対策推進法第25条)


いじめ重大事態とは

いじめには重大事態
としてあつかわれるものがあります
どのように規定されているかというと
いじめ防止対策推進法第28条第1項を
確認するとわかります

①いじめにより当該学校に在籍する
児童等の生命、心身又は財産に
重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき

②いじめにより当該学校に在籍する児童等が
相当の期間学校を欠席することを
余儀なくされている疑いがあると認めるとき

と定義されています

①を生命心身財産重大事態
②を不登校重大事態
としています

重大事態は
事実関係が確定した段階で
重大事態としての対応を開始するのではなく
「疑い」が生じた段階で
調査を開始しなければならない
ということを教採対策として
覚えておいてください
(教員になってからも重要ですが)

根拠法規

いじめ防止対策推進法
第28条 
学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。

 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。

 第一項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。

(いじめ防止対策推進法第28条)

いじめの重大事態の調査に関するガイドライン

文部科学省から
いじめ防止対策推進法第28条第1項の
いじめの重大事態への対応について
「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」
が策定されています
こちらは教育時事となると思いますが
とても重要なことが示されているので
繰り返し読んでいくとよいと思います

学校の設置者及び学校の基本的姿勢

・学校の設置者及び学校は、いじめを受けた児童生徒やその保護者(以下「被害児童生徒・保護者」という。)のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たること。

・学校の設置者及び学校として、自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し、被害児童生徒・保護者に対して調査の結果について適切に説明を行うこと。

・重大事態の調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく、いじめの事実の全容解明、当該いじめの事案への対処及び同種の事案の再発防止が目的であることを認識すること。学校の設置者及び学校として、調査により膿を出し切り、いじめの防止等の体制を見直す姿勢をもつことが、今後の再発防止に向けた第一歩となる。

・学校の設置者及び学校は、詳細な調査を行わなければ、事案の全容は分からないということを第一に認識し、軽々に「いじめはなかった」、「学校に責任はない」という判断をしないこと。状況を把握できていない中で断片的な情報を発信すると、それが一人歩きしてしまうことに注意すること。また、被害者である児童生徒やその家庭に問題があったと発言するなど、被害児童生徒・保護者の心情を害することは厳に慎むこと。

・特に、自殺事案の場合、学校外のことで児童生徒が悩みを抱えていたと考えられるとしても、自殺に至るまでに学校が気付き、救うことができた可能性がある。したがって、いじめが背景にあるか否かにかかわらず、学校の設置者及び学校として、適切に事実関係を調査し、再発防止策を講ずる責任を有しているということを認識すること。

・被害児童生徒・保護者が詳細な調査や事案の公表を望まない場合であっても、学校の設置者及び学校が、可能な限り自らの対応を振り返り、検証することは必要となる。それが再発防止につながり、又は新たな事実が明らかになる可能性もある。このため、決して、被害児童生徒・保護者が望まないことを理由として、自らの対応を検証することを怠ってはならない。重大事態の調査は、被害児童生徒・保護者が希望する場合は、調査の実施自体や調査結果を外部に対して明らかにしないまま行うことも可能であり、学校の設置者及び学校は、被害児童生徒・保護者の意向を的確に把握し、調査方法を工夫しながら調査を進めること。決して、安易に、重大事態として取り扱わないことを選択するようなことがあってはならない。

・以上のことを踏まえた上で、学校の設置者又は学校は、被害児童生徒・保護者に対して自発的・主体的に、詳細な調査の実施を提案すること。

(「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」平成29年3月文部科学省より引用して抜粋)

いじめの防止等のための基本的な方針


平成25年10月11日
文部科学大臣決定
(最終改定 平成29年3月14日)の
「いじめの防止等のための基本的な方針」も
教育時事として
確認しておきたい内容が示されていますので
以下に重要文を抜粋します

いじめの防止等の対策に関する基本理念
いじめは,全ての児童生徒に関係する問題である。いじめの防止等の対策は,全ての児童生徒が安心して学校生活を送り,様々な活動に取り組むことができるよう,学校の内外を問わず,いじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。 また,全ての児童生徒がいじめを行わず,いじめを認識しながら放置することがないよう,いじめの防止等の対策は,いじめが,いじめられた児童生徒の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることについて,児童生徒が十分に理解できるようにすることを旨としなければならない。 加えて,いじめの防止等の対策は,いじめを受けた児童生徒の生命・心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ,国,地方公共団体,学校,地域住民,家庭その他の関係者の連携の下,いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

(「いじめの防止等のための基本的な方針」平成29年3月改定 文部科学省)

いじめの理解
いじめは,どの子供にも,どの学校でも,起こりうるものである。とりわけ,嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は,多くの児童生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また,「暴力を伴わないいじめ」であっても,何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで,「暴力を伴ういじめ」とともに,生命又は身体に重大な危険を生じさせうる。 国立教育政策研究所によるいじめ追跡調査6の結果によれば,暴力を伴わないいじめ(仲間はずれ・無視・陰口)について,小学校4年生から中学校3年生までの6年間で,被害経験を全く持たなかった児童生徒は1割程度,加害経験を全く持たなかった児童生徒も1割程度であり,多くの児童生徒が入れ替わり被害や加害を経験している。 加えて,いじめの加害・被害という二者関係だけでなく,学級や部活動等の所属集団の構造上の問題(例えば無秩序性や閉塞性),「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする存在や,周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い,集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが必要である。

(「いじめの防止等のための基本的な方針」平成29年3月改定 文部科学省)

いじめ防止等のために学校が実施すべき施策


いじめは未然防止と早期発見が大切です
学校は、いじめの防止等のために
学校いじめ防止基本方針に基づいて
学校いじめ対策組織が中心となって
校長の強力なリーダーシップの下に
一致協力体制を確立して
学校の設置者とも適切に連携の上
学校の実情に応じた対策を推進することが必要
とされています

教採対策としては
校長のリーダーシップの下に
という点は
勘違いのないよう覚えておきましょう

いじめに関する最新の通知

文部科学省から出された
いじめに関する最新の通知も
念のため確認しておきましょう

令和5年2月7日の
「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)」が最新の通知です

重要部分をピックアップしておきます

いじめは、児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであり、学校及び学校の設置者は、いじめを決して許さず、被害児童生徒を徹底して守り通すという断固たる決意で、全力を尽くすことが必要です。
また、犯罪行為(触法行為を含む。)として取り扱われるべきいじめなど学校だけでは対応しきれない場合もあります。これまで、ややもすれば、こうした事案も生徒指導の範囲内と捉えて学校で対応し、警察に相談・通報することをためらっているとの指摘もされてきました。しかし、児童生徒の命や安全を守ることを最優先に、こうした考え方を改め、犯罪行為として取り扱われるべきいじめなどは、直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めなければなりません。また、保護者等に対して、あらかじめ周知しておくことも必要です。

(「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携等の徹底について(通知)」令和5年2月7日文部科学省)

後記(余談ですがちょっと興味深いこと)

※ここはスルーしても大丈夫です

いじめ防止対策推進法が
策定されたのは平成25年
それまで「いじめ」には
定義がなかったかというと
定義がなかったわけではありません
【児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における定義】
において以下のような経緯で
定義がされてきました

昭和61年度~
①自分より弱い者に対して一方的に
②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え
③相手が深刻な苦痛を感じているものであって
学校としてその事実を確認しているもの

平成6年度~
①自分より弱い者に対して一方的に
②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え
③相手が深刻な苦痛を感じているもの
いじめに当たるか否かの判断を
表面的・形式的に行うことなく
いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと

平成18年度~
いじめに当たるか否かの判断は
表面的・形式的に行うことなく
いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする
当該児童生徒が
一定の人間関係のある者から
心理的、物理的な攻撃を受けたことにより
精神的な苦痛を感じているもの

このような流れになっています

昭和61年までは
定義がなかったようです

私が成人するまで
いじめの定義はなかったようですが
いじめはあった
と感じています

私は
いじめの観衆になった
という記憶は思い出せません
ですが
あったかもしれません

傍観者にはなったことがあります
何もできなかった
いじわるをされていて
泣いている姿を
そのまま見てしまいました

そして
いじめたこと
きっとあったと思います

いじめは
自分がどう思うかではなく
相手がどう感じるか
ということだからです

過去のいじめの定義については
文部科学省ホームページ
いじめの定義の変遷を参照にまとめました

教員採用試験対策とは関係ないので
とばして読んでくださっても大丈夫です



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